先日、Larrabee計画が一旦破棄されたという事を書いた。
もちろんこれは計画の後退というだけで計画そのものが破棄されたものではない。だが、Intelがグラフィックス分野に再び乗り込んでくる時期が遅れる事は間違いのない話で、2大ビデオチップメーカーのNVIDIAとAMDからすれば、一つの脅威が今は過ぎ去ったと言える。
AMDはRadeon HD 5800シリーズで現時点でDirectX 11サポートを唯一行っているメーカーだが、先行した分ユーザーが増えているのは間違いない。残念なのは十分な供給量とは言えない事で、NVIDIAからすれば遅れている現状でのラッキーな側面と言える。
そのNVIDIAは既にFermiという次世代GPUを発表しているが、未だデスクトップ市場の製品の話が聞こえてこない。実際にはいくつかの情報が今年夏前ぐらいから流れているが、公式な発表ではない。
未だ公式な発表がないのは、確定した製品として提供できる時期が見えてこないからなのかもしれないが、そうした流れている情報から次世代製品の形がおぼろげながら見えてくる。
これが次世代GeForceのスペック表らしい。
名称はGeForce GTX 380と360。但し、最上位は385になるという話もある。
このスペック表からハッキリ分かる事といえば、GT300系はGDDR5をビデオメモリに採用したという事と、GPUの微細化プロセスは40nmだという事。
そしてStreaming Processor(以下SP)は280の240個から512個へと2倍強搭載されているという事とコアクロックが1.7GHzに達するという事である。
これらのスペックから導き出された性能だが、表を見るとPerformance SPが1,740GFLOPS、Performance DPが870GFLOPSとなっている。
このPerformance DPというのがよく分からない。しかしPerformance SPが1.74TFLOPSであるとして、もしこの数値が全てだとするならば、現時点でRadeon HD 5800シリーズが謳った2TFLOPSよりも下回る事になる。
となると、これはSPとSPを足した数値、2.61TFLOPSがGeForce GTX 380の性能という事になるのだろうか?
もしそうであるならば、さらに上位の385はもっと上という事になる。
ただ、今回385がシングルコアであるという保証はなく、いきなりデュアルコア製品を出してくる可能性もある。いや、公式には380ですらシングルコアとはどこにも謳っていないのだが、スペック表の搭載コア数などの関係で360と比較している所から考えると380はシングルコアであると考えるべきだろうと思う。
もちろん、こんな数値だけがビデオカードの性能ではないのだが、性能を比較する上ではこうした数値というのは重要な比較要素になってしまうのは仕方のない所。
問題はこの性能をどれだけの消費電力で達成しているか? というエネルギーパフォーマンスも今のPCには重要な要素になるという事だ。
Radeon HD 5800シリーズはピーク時にはかなりの消費電力となるがアイドル時は非常に小さな消費電力になっていて、アベレージで言えばかなりパフォーマンスの高いカードだった。
GeForce GTX 380系もおそらくアイドル時にはそれなりに省電力化されていると思うが、昔からNVIDIA系コアはピーク時の消費電力がハンパないものになっていただけに、そこが気になる所だ。
そしてもうひとつの問題はその価格。
ライバルのRadeon HD 5870が5万円台であった事を考えると、380も同じぐらいになるのだろうか?
おそらくそう大した違いにはならないと思うが、もしこれで4万円台だったりしたら…AMD勢に大きな痛手を与える事になるだろう。
…が、それは多分ないな-_-;
どちらにしても、そろそろその全容が公式に明らかになるのではないかと思う。
NVIDIA初のDirectX 11対応GPUという事で、その注目度は高い。