先日も記事にした巷で話題のGoogle日本語入力を入れてみた。
誤変換に強いだけでなく、ネット上で使われている単語に強いため、時事的な語彙にも強いというのがグーグル日本語入力の強みだが、私が普段使っているATOKは日本語入力システムとしては老舗であり、かゆいところに手が届くシステムとしては既に完成された領域に達している。
このATOKからGoogle日本語入力に乗り換える人も出てくるだろうと思うが、果たして私は乗り換えることができるのか、試してみた。
まず最初に言っておくと、ATOKとGoogle日本語入力は同じインプットメソッドエンジンではあるが、似て非なるものだと私は感じている。
ATOKは昔からのシステムであるため、その挙動に不思議なものは一切ないが、Google日本語入力はどうもその動きがぎこちない。
まだ入れたばかりだからそう思うのかもしれないが、長文を打つのには案外不向きなのかも…。
具体的に表現するのが難しいのだが、変換候補の学習がイマイチというか、名詞の学習はほぼ万全だが他品詞の学習がイマイチっぽいものを感じた。
ここら辺、ATOKの日本語研究は長年のデータの蓄積の上に成り立っているという事の差なのかもしれない。
それでもGoogleもネット上では莫大な語彙データを持っているため、それらがうまく活用できるようになると、ATOKの優位性は簡単に覆されるのかもしれない。
使用感だけで言えばこんな感じだが本当に差が出るのはGoogle日本語入力で言うところの“サジェスト機能”にあるように思う。
ATOKでは予測変換という言葉になるのだろうが、Google日本語変換ではサジェスト機能といってネットと一部連動(してるよう思える)している感じ。
ネット上では一般の人からすると「何で?」と思うような言葉が流行する事があるが、Google日本語入力ではそれらネット上で話題になった言葉を予測変換候補として表示する。
例えば…
これはストライクウィッチーズ関係の名言だが「ぱんつじ」と入力した時に出てくる予測変換候補。
…一般人には理解できまい(爆)
さらにこんなのもある。
この言葉は天空の城ラピュタに出てくるムスカの名言。
「ひとがご」と入力すると予測候補に出てくる。
他にも「おれの」と入力すると…
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」とか「俺の嫁」が候補に出てきたり、
「ずっと」と入力すると「ずっと俺のターン」という言葉が候補に出てくる。
これはすべてネットで話題になりよく使われる言葉である。
引用元は…ほとんどがアニメであったり、ゲームである事がほとんどで、時に2ちゃんねる発の言葉や、最近ではニコニコ動画発の言葉なんてのも候補として出てきやすいように感じた。
最終的にどれぐらい実用度があるかというと…もちろん個人差はあると思うが、私の主観的な思いとして、ネットへの書き込みをする人は間違いなく「使える」という事。
少なくともBlogを書いている人や、TwitterにPCから書き込みしている人はその使い勝手を享受できるだろうと思う。
逆に家庭でもPCで仕事の文書を書いたりしている人には問題があるように思う。
何しろ予測変換でかなり変な変換語句があり、それが上位候補として出てきやすいGoogle日本語入力では仕事文書で入力事故が起きる可能性がある。
ただ、仕事で使うにしてもMS-IMEを利用しているというのであれば、Google日本語入力に乗り換える意味は多少あるかもしれない。
仕事で適切な言葉の入力が必要であるとか、専門用語を多用するとかであれば、専門辞書データとATOKという組み合わせが最強である事は今までと変わらないと思う。
で、私は? というと、やはりATOKかな? と思ったりする。
たしかにGoogle日本語入力は面白いのだが、一つだけ問題がある。
それはATOKはカタカナ英語入力という機能があるのだが、Google日本語入力にはソレがない。
カタカナ英語入力というのは、たとえば「すたーと」と入力すると「start」と英単語変換してくれる機能で、基本的な英単語をカタカナから変換してくれる機能である。
この機能そのものはMS-IMEにも搭載されている。
なぜGoogle日本語入力には用意されていないのか気になるところだが、まだβ版という事で省かれているのだろうか?
もしその機能が搭載されたなら、私もGoogle日本語入力に乗り換えてもいいかなと思ったりする。
あと、これもMS-IMEやATOKで標準的に搭載されているのだが、郵便番号辞書がない。日常汎用的に使おうと思ったら、このあたりも吸収していかないと、標準的な日本語入力システムとしての利用はないかもしれない。
ちょっとした事だが、ATOKでは「きょう」と入力すると今日の日付が入力されるが、Google日本語入力もこの機能は搭載していた。ちなみに「きょう」だけでなく「あした」「あさって(みょうごにち)」「きのう」「おととい」も使える。
このような機能を搭載しているという事は、もっと汎用的に使われる入力システムとして検討されているように思えるため、カタカナ英語辞書機能と郵便番号辞書もぜひ搭載して欲しいものである。
最後に。
MS-IMEしかインストールされていない人や使っていない人は、Google日本語入力に切り替える意味は十分にある。
前述のいくつか未対応の機能が気に入らないという事がなければ乗り換える事をオススメしたい。