昨日、iPadの事をちょっと書いたが、早速というか、やはり同じような事を考えているテクニカルライターがいた(リンク先記事の冒頭部)。
「大げさに言えばコンピュータの歴史が変わると思う」
まさにそうだと思う。
Appleのスゴイところは、こうした変革の先端を切り開く所にある。
そしてその変革の先端は、デジタルデバイスに詳しい人に向けられたものではなく、どちらかというと一般層に向けられている。絶対的人口を考えれば当たり前の事なのだが、こうした電子デバイスの新型が登場すると、まず最初に騒ぎ出すのが電子デバイスに詳しい人々だから、評価がその人達主導で行われてしまうのは仕方のない話なのかもしれない。
実際、iPad発売前は結構辛口な評価が多かった。
ところがいざ発売してみると、それら辛口な評価とは裏腹に、いろんなアプリやサービスが現れ始めた。
要するに、辛口な評価をしていても、誰も無視を決め込む事など出来なかった、という事ではないかと思う。
iPadへの対応を謳った、あるいはiPad用に発表されたアプリはいろいろあるが、私が紹介する事であるため、一般的なアプリの紹介はせず、特にゲーム関係をピックアップしていきたい。
タイトーがiPad用ボードゲーム「森田将棋 HD」を米国で配信開始した。もちろん欧州や日本でも配信が予定されている。世界コンピュータ将棋選手権優勝の実績を持つ、森田和郎氏が開発した思考ロジック「森田至高」を搭載した将棋ゲームで、インターフェースを考えれば実に真っ当なアプリケーションではないかと思う。価格は3.99ドル。
また、カプコンからかつてiPhone/iPod touch用に公開されていた「バイオハザード 4」のiPad Editionが配信開始された。価格は12.99ドル。iPadの高解像度用にグラフィックを調整したもので、日本でもiPadの発売に合わせ配信開始となる。
そして、これはまだiPad用に調整されていないのだが、ラブプラスのアプリもiPhone/iPod touch用として公開された。
寧々さん…随分綺麗になって…(爆)
日本専売のアプリで、キャラクター毎に3本公開される。
「ラブプラスiN」は姉ヶ崎寧々、「ラブプラスiM」は高嶺愛花、「ラブプラスiR」は小早川凛子となっていて、内容はゲームではなく、ユーティリティカテゴリで配信される、単純にDS版の移植ではなく、iPhoneオリジナルの内容で、どちらかというとiPhone/iPod touchでなければできないような内容で構成されている。
その内容を簡単に説明すると、要するにPCでいうところのデスクトップキャラクターといった感じ。
キャラクター画面をタップすると、その時刻に合わせたメッセージを話したり、現在時刻を教えてくれたりするというのがそのメインの機能であり、これだけだとちょっとガッカリ的なアプリといえる。
だが、もちろんこれだけではない。
iPhone/iPod touchといえばARが最近話題だが、当然そういったキャラクターと現実の風景を合わせた写真が撮れるAR機能が搭載されている。
ARマーカーというものを置き、その場所を端末で撮影すると、その場所にキャラクターが表示されるという仕組みで、それをうまく活用することでキャラクターと一緒に写真撮影が出来たりする。ま、言葉で説明してもよくわからないだろうが、ココを見てくれれば瞬時に理解できるだろう。
簡易的プリクラ…そんな言い方ができるかもしれない。
ちなみに現時点では前述したようにiPhone/iPod touch用アプリだが、夏ごろにiPadにも対応したユニバーサル仕様となる。
私はこのiPadの登場が少なくともゲーム業界に一石を投じる結果になるだろうと思っている。
というのは、今までPSPやニンテンドーDSはiPhone/iPod touchをはじめとしたスマートフォンが仮想的という感じで語られていたし、私もそう思っていた。
だが、日本国内に限って言えばその動きはあまり見られず、未だ専用機が主力という環境であり、日本人的感覚を超えた人たちが、こぞってPSP&NDS vs スマートフォンの図式を謳っていた。
しかし、iPadの登場で国内はPSP&NDS vs iPadという図式が出来上がるのではないかと感じたりする。その起爆剤が前述のラブプラス アプリであり、もちろん他のアプリも登場してくればその動きは加速すると思っている。
iPadは確かに大きさ的にはいわゆるモバイル機器から比べて持ち運びに向いていないし、価格も若干ながら高いし、純粋なゲーム機ではないため比較対象にならないという見方もできる。
だが、逆の言い方をすれば、カバンに入るサイズだから持ち運ぶ事はできるし、ゲーム以外の事もできるから高くても付加価値があるし、何よりモバイル機器より遥かに高い解像度と綺麗な液晶パネルで、今までのモバイルゲーム機では実現できなかった事が可能になる端末でもある。
その付加価値部分をユーザーがどう受け止めるか?
ポイントの一つはココにある。
そしてもう一つのポイント、実はコレが大きい。
ゲーム開発メーカーにとって、iPhone/iPod touch/iPadのアプリケーション開発費用が安いという事だ。
そして発売されるアプリの単価も安いから、ユーザーも買いやすいという事だ。
配信というスタイルを採っている関係で、在庫がないというのも、販売会社にとっては大きなメリットになる。
そして何より、そうした配信による販売である事が当たり前として受け入れられているため、ユーザーも抵抗なく買えるという事。制作から購買まで、すべてが低コストを実現しているところに、最大のメリットがある。
あとはiPhone/iPod touchかiPadかの問題だが、前述したモバイル機器にはない魅力がそこに付加価値をつける。
ニンテンドー3DSが3Dに向かう今、iPadも次世代あるいはその次の世代機は3D化するのではないかと思ったりする。
もし、3D対応のiPadが登場したなら、ニンテンドー3DSなど比較にならない綺麗なコンテンツが登場する可能性もある。シャープが先日発表した視差バリア方式の液晶なら、2Dと3Dを切り替えられるわけであり、3Dが不要なら2D表示すればいいだけの事。持ち運びという点には賛否両論あるだろうが、画面は綺麗で精細な方がいいに決まっている。
今のところPSP2は3Dには対応しないという話も何かで見たが、iPadの魅力を超えられるだけのスペックを持っているかはかなり微妙だ。価格的にはメリットはあっても、提供されるソフトに大きな差をつけられる可能性も否定できない。
と言うわけで、現時点で私はかなりiPadに興味があったりする。
右サイドにポメラのDM-20を紹介しているが、モバイル端末でテキストを書きためたりするだけでなくもう一歩いろんな事ができるデバイスとしてiPadを選択するという手もあるだろう。
というか、時代は確実にそちらに向かっている。
これは私がどうこうという問題ではなく、全世界の方向性のように思えてならない。