まだ私の注文した製品が届かない状況の中、NVIDIAのGTX 560 Tiの次にくるGPUの情報が流れた。
といっても、公式な話ではない。
NVIDIAの266.7xベータ版ドライバの中に、GeForce GTX 590、GeForce GTX 550Tiの2つの名前が記述されていたのである。
NVIDIAは毎回こんな感じでドライバ内の記述で新製品が露呈する事が多いが、今回もその例に漏れず、といったところである。
GeForce GTX 590はGF110のDual GPUモデルで、GDDR5 3GBのメモリを搭載する製品と言われており、GTX 580のさらに上の最上級モデルとなる。
GTX 550 TiはGF116を使用するモデルで、GDDR5 1GBのメモリを搭載する。このGF116というGPUはGTX 450に搭載されていたGF106の再設計GPUでCUDA Core数は192、メモリインターフェースは128bitとなるコア。消費電力的にも110Wと前世代のGF106をそのまま置き換えたものとなる。
が、そのGF116の性能はただの置き換えとは言えないようで、GTX 550 Tiの場合、Radeon HD 5770との比較で、DirectX11ベースでは35%、DirectX10ベースでは20%高速であるようだ。この数値から考えると、GTX 460に近いものと言えるかもしれない。
DirectX9での比較がない所を見ると、おそらくDirectX9ではAMD製の方が強い…という事なのかもしれない。まぁ、これはNVIDIAの他製品でも同じ事が言えるワケだが。
今回の新製品投入でハイエンドとミドルレンジ、ローエンドがほぼ見えてきた。
ローエンドは先日GT 440が登場したが、今回のGTX 550 Tiの登場でここから派生するミドルレンジ数種類もほぼどの程度のものなのかが見えるわけだが、問題はその価格差にあるのではないかと思われる。
ハイエンドのGTX 590は別としても、GTX 550 Tiの予想価格帯は200ドル前後になるらしい。日本円にすると15,000円強といったところだが、果たしてそのコストパフォーマンスが今の他社含めた製品群と合致するのか? という所に疑問が残る。
たとえば、前世代のGTX 460に近い性能という事は、当然GTX 460がそのままライバルとなる。GTX 460の価格は、GTX 560の登場でかなり下がってきており、すでに2万円は完全に下回っている。
コア以外の性能を見ると、GTX 550 TiよりもGTX 460の方が当然上であるし、ベンチマークを見てもその結果は近似とはいえ、ハッキリしている。自社内での比較でもそうなのだから、対AMD製品群と比較した場合、GTX 550 Tiの価格設定は強気としか思えない。もう少し下げないと消費者の目は止まらないのではないかと思える。
もっとも、そうなるとさらに下のレンジで価格差が生まれないわけだが、その傾向は以前から出てきている問題だ。
まぁ、ラインナップが広がる事は消費者にとって選択肢が増える事でもあるわけで、喜ばしい事ではあるのだが、このままいくと何を買えばいいのか迷ってしまうぐらいに混迷しそうな状態も予測できる。
それは似通った性能で似通った価格帯になるという事に起因するのだが、問題はその迷いそのものが単一メーカーですら起きるという事。
そのあたりのわかりやすさというものを考えた上でのラインナップであって欲しいと思うのは、自作初心者の声ではないだろうか。
わかる人にはわかるから無問題…というのは、これからの自作の道を細くするだけのように思えてならない。そういう所をもう少し考えてくれるとありがたいのだが…。