2年半ぶりにガンダムの新作が放送される。
まぁ、この場合の2年半ぶりというのはTV放送の事で、OVAを含めれば現在はユニコーンが絶賛展開中な訳だが、新作の中身を知ると「ユニコーンの方が数倍もガンダムらしい…」と思ったりもする。
今回のガンダムAGEは、親子三世代に渡って展開する物語だそうで、その期間なんと100年。1世紀を物語にしたストーリーは確かに初めての事かもしれないが、1世紀もあればテクノロジービッグバンが起きる可能性も高いわけで、本当に三世代にわたっての物語で問題がないのかが気になる所である。
今回のストーリー/シリーズ構成は、何とあのゲーム開発会社のレベルファイブの社長である日野晃博氏が行うという。…正直「大丈夫?」とも思えなくもないのだが…。日野氏のシナリオといえば「白騎士物語」を思い出してしまうわけだが、あのストーリーにはほとんど“ひねり”というものがなかった。よく言えばスタンダード、悪く言えば先が読める単純なシナリオだったと言える。そういう意味では、日野氏がシナリオを書くという事はわかりやすいシナリオという意味なのかもしれない。
そしてメインビジュアルがコレ。
…ガンダム00の時も最初はガンダムのデザインがダメダメだなぁ、と思っていて途中でアリかもしれない、と変わったが、今回もそうだというのだろうか?
正直、個人的に今の時点でこのガンダムは「ちょっとなぁ…」という感じである。
しかし、ビジュアルももちろん気になる所だが、それ以上に気になるのがストーリー。
先ほど日野氏のシナリオはわかりやすいシナリオだと言ったが、設定としてどうしてこうなった、と思える所がある。
とうとうガンダムの世界で“正体不明の敵『UE(Unknown Enemy=アンノウン・エネミー)』”が登場した。
ガンダムは基本的に敵の立場で考えても戦う理由が理解できる作品だった。それは今までの敵があくまでも主人公サイドから見て敵というだけであり、おなじ人類だったからでもある。
しかし今回は正体不明の敵、つまり宇宙人なのか宇宙怪獣なのか、未知の生命体が敵となってしまうと、人類生き残りをかけたストーリーになってしまい、人類の視点からしか見えない展開となる。ある意味“勧善懲悪”であり、リアル路線からは大きく外れてしまう事に。
これをガンダムと捉えて良いのか? という思いが出てくるのは、ファーストガンダムをよく知る世代なのではないかと思う。
ガンダムはあくまでもリアルロボットストーリーであり、そこには戦争という人類の悲劇を描いていくのがスタンダードであり、絶対のものだと言えるが、今回は(現時点で)それから大きく外れる事になる。
これはファーストガンダム世代からすれば相当に異端な事である。
他にもいろいろとファーストガンダム世代からみて「これはちょっと…」と思える設定が多数ある。ひとつひとつ書いていくとキリがないのでやめておくが、これが今の世代に向けたガンダムという事だと思うと、ガンダム一人歩きの今の時代はもう誰も歯止めが効かない存在なのかなと思えてくる。
とりあえず10月から始まるという事なので、1話は見てみようと思うが、今回はガンダム00よりも最初から見るモチベーションがイマイチな感じである。
余談だが…センチネルをアニメ化してくれないなぁ…。
かつてはこの台詞は業界でも禁句と言われた禁断のプランだったのだが、今ならその呪縛も解けていると思うのだが。OVAでも良いので、動くセンチネルを見てみたい…そう思っているのは私だけではないと思う。