日本通信から、docomoのFOMA回線のMVNOサービスをnanoSIMで利用する事ができる“スマホ電話SIM”が発売となった。
もともとこのプランそのものは存在していたようだが、nanoSIMの提供を追加する事でSIMロックフリーiPhone5を利用する事を想定したものと言える。その中身はデータ通信ができない無料通話分込みの基本プランに、必要に応じてデータ通信オプションを追加するnanoSIMのパッケージとなっている。
基本プランとなる音声プランは、月額1,290円の“プランS”(無料通話1,365円分。超過分は通話料21円/30秒)、月額2,290円の“プランM”(無料通話分2,835円。超過分は通話料18.9円/30秒)、月額3,710円の“プランL”(無料通話分5250円。超過分は通話料14.7円/30秒)の3種類。
この基本プランにデータ通信オプションを付けるのだが、このオプションは2種類から選択する事になる。一つは通信速度が200kbps制限で使い放題の“U200”(月額1,690円)で、もう一つが下り最大14Mbpsの高速通信を2Gバイトまで利用できる“2GB定額”(月額2,990円)となる。
つまり、最小構成であれば、“プランS+U200”となり無料通話1,365円を含む通信速度200kbpsのサービスが2,980円という事になる。
この無料通話価格とデータ通信速度で問題ない、という人であれば、これが最安値の運用プランになるとは思うが…どちらにしても微妙なところではないかと思う。
カンの良い人なら気づいたかもしれないが、データ通信の下り14Mbpsというのは、FOMA回線の速度であり、この日本通信の“スマホ電話SIM”のサービスではLTEであるXi(クロッシィ)は利用できない。
しかもMVNOである以上、今の私が所有するSIMロックフリー版第3世代iPadと同じようにテザリングにも対応しない可能性が高い(この確認には人柱が必要だろう)。
これらのデメリットと価格を天秤にかけたとき、この選択が正しい選択なのかどうかは、間違いなく個人の判断によるところになるだろうが、私なら間違いなくNGである。
理由は単純。通話とデータ通信でのミニマム構成で2,980円という事は、通話で無料分を使い果たせばそれよりも価格が跳ね上がり、またデータ通信においても、理論値14Mbpsのサービスを受けようと思えば4,280円とサービス内容に比して高くなる。
iPhone5をSoftBankやauで契約すると、確かに月額価格はそれよりも1.7~2倍と高くなるが、こちらはLTE対応でテザリングも対応、しかも通話に関してもSoftBankなら同じSoftBank同士であれば条件付きとは言え、通話料もかからないというパターンもある(auにもある…と思う)。
そう考えれば、一定の快適さと最終的な支払額を吟味すれば、おそらく今回の“スマホ電話SIM”は私が望むプランにはなれない。
データ通信のみで利用すると割り切ればMVNOも悪い選択肢とは思わないが、通話というものがついて回る電話の場合、私は残念ながらMVNOでそれを補おうという気持ちにはなれない。
選択肢の一つという意味ではこういうプランもアリなのかもしれないが、デメリットを考えた上で選択する必要があるだろう。
日本通信 スマホ電話SIM
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