「任天堂の倒し方知らないでしょ? オレらはもう知ってますよ」
この言葉、既に何度も使わせてもらっているGREEの面接官の台詞だが、そのGREEが「本当に大丈夫か?」と言いたくなるような状況に陥っている。
現在、大阪オフィスの閉鎖を決めたGREEは、次にいよいよ正社員のリストラに着手する。
早期退職者希望、という形で募集をするのだが、その数は200名というから結構な数だ。しかし募集をしてもGREEには退職金制度がないため、今回の募集に際して特別転職支援金が支給されるようだ。
その金額は年俸の半額程度というから、決して少ない金額ではない。GREEはこの支援金と再就職斡旋費用などを合わせて会計上11億円の引当金を積むようだ。
ただ、今回の早期退職希望者は、開発や営業部門は該当せず、管理部門が対象という事もあって、募集にどれだけの人が応じるのかが微妙に思える。ま、本当にデキルヤツなら早々に見切りを付けるかも知れないが。
同じソーシャル系を扱うDeNAに対してGREEがこんなに厳しい状況になっている最大の理由は、今まで採ってきた方針と実際に雇用した社員数の違いによるものと考えられる。
GREEは国内事業に関わる単体従業員が1,762名、対してDeNAは1,074名と1.7倍もいる。これは事業拡大に伴う採用戦略を進めた結果で、実際は思っていたよりも収益が伸びなかったという結果が、今の自体を生んだと考えられる。
まぁ、実際展開しているSNS系のゲームの出来を見ていれば、収益が伸びるかどうかなんてものはよく分かる。似たような(いや、ソックリな)ゲームシステム、面白味のないリアクション、常に課金へと誘い込む手法…どれも普通の人ならお付き合い程度にしか触れられないトリガーアクションしか仕掛けられていない。そもそも、それをゲームと謳って良いのか? とすら思える時がある。
もちろん、GREEが行っている事業はソーシャルゲームだけではないハズだが、一番の問題は何をしているのかを知っている人がいないという事。いや、知っている人はいるかもしれないが、GREE=ソーシャルゲームというイメージしか出てこない(少なくとも私は)。
他の事業が上手くいっていれば良いが、もしそうでないなら、あまり知られていない、しかも上手くいっていない事業なら、その事業を今後どうするかを考えないといけないだろう(そんな事はわかりきっている事とは思うが)。
こうしたリストラ劇を見ると、私的には随分と短期的な解決策に乗り出したな、と思えてしまう。
昔の偉い人は言いました。人は財産である、と。
この言葉でも分かるとおり、人材は人財であって、それを切ってしまうという事は未来に向けた財産を放棄することになる。
日本の電機メーカーがリーマンショック以降に苦しみ、執った手段がリストラで、そのリストラで海外メーカーを強力な存在にしてしまった事実がある。日本の電機メーカーを解雇となった人が、外資系電機メーカーに転職した、という事である。
もちろん、中にはヘッドハンティングという、もっと直接的な話もあっただろう。
リストラが引き起こす問題は、短期的には業績という数字を補正する力はあっても、後から倍返しを喰らう諸刃の剣。GREEの田中社長もそのあたりはよく分かっているとは思うが、問題はその覚悟を背負ってなおかつ体制を永続・繁栄させられるか? という所にある。
GREEの苦難はまだまだ続きそうな、そんな予感がする。
IT企業の光と影は、実にドラスティックだという事を証明する、一つの例にならない事を祈りたい(中には例になってしまえという人もいるだろうが…)。
そもそも、倍返しを食らうほどの技術が有るのかどうか…。
殆ど、同じようなシステムで、版権素材だけかえているものが大半なのに。
そして、あの社長がそんな覚悟があるか微妙ですな。
さっさと会社を見捨てて、違う会社を作って別のことをしてそうですわ。
個人的には、なくなって欲しい企業ナンバーワン。
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私としては単純に潰れてしまえ、とは思えないかな。
少なくともIT関係で一時代を作った企業だし、ITを中心として常に移り変われる企業として範を示すようなスタイルになってくれれば、これからのベンチャー企業にとっても参考になるだろうし。
一番重要なのは、会社の起業と経営は別って事。
田中社長は起業家であっても、経営者ではない可能性もあるワケで、そうなればとっとと別人に会社を売却してあたらしい開拓をしてくれる方が世のため人のためなのかもしれない。
ま、考え方次第でどうとでも取れる話だけど。
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