先日、SKY-CXHDMIP-60Fという2048×1080/60fpsのキャプチャができる製品を紹介したが、いろいろ問題があって私には導入できない話をした。
やはりネックはHDCP
コンシューマ機の映像をキャプチャしたい。
ゲーム実況放送や動画をアップしている人からすると、まず目的はいかに綺麗な映像をキャプチャするか? という所に落ち着く。
最近のコンシューマ機は映像出力は完全デジタルのHDMIで、しかもフルHD/60fpsという解像度であるため、ちょっと前のキャプチャ機器では全てを吸収しきれない。
しかも、Blu-rayの映像メディアなどを再生できる機能が付いていると、映像ソフト保護の観点からHDCPというプロテクトがかかり、キャプチャそのものができない。これは今までにも何度も書いてきた事だ。
これらを考えると、、現時点ではPS3とPS4は、普通のキャプチャユニットではキャプチャできないし、仮にHDCP問題をクリアしたとしてもキャプチャユニット側が1080p/60fpsに対応ていないとフルHDで60フレーム動画をキャプチャする事ができない。
なので、先日挙げた「SKY-CXHDMIP-60F」ではHDCP問題でキャプチャができないワケで、これを使おうと思えば何かしらの形でHDCPを解除してやらないといけない。
ちなみにHDCPを解除するという事は法的な問題に抵触するため、各自の責任のもと行うしかないのだが、やり方としても普通はHDCPがクリアされるスプリッター(分配器)を通すしか方法がない。
なんだか非常に面倒な事をしないと、PS3やPS4でキャプチャする事ができないのである。
まぁ、スプリッターを通すだけ、と言い切れる人には難易度が低いのかもしれないが、そのスプリッターにしても、ある特定の確実性の高いスプリッターが簡単に手に入るのなら良いが、実はそのHDCPをクリアするスプリッターは類似品が多く、パッと見は判別が付かない。ある特定の販売店から出荷されているモノはクリアできる…という情報もあり、Amazon.co.jpでその販売店が出品している製品を購入しても、Amazon.co.jp側で他の販売店が出品しているものと同じという扱いを受けて、違う販売店のものが送られてくる可能性があるという、実に運の要素が強いスプリッターなのである。もうむちゃくちゃな話である。
確実性の高い製品は?
そこで私もいろいろ探してみた。
HDCPがクリアされて、なおかつ1080p/60fpsのキャプチャが可能な製品はないのか?
すると、一つだけ該当するものがあった(正確には2つ)。
それが『MonsterX U3.0R』というUSB3.0接続のキャプチャユニットであった。
もちろん、このユニットにも問題はある。今現在販売されている同ユニットは、ドライバが改善されていてHDCPがクリアできなくなってしまっている。ところが、そのドライバを発売時期ごろのものを使うことでHDCPクリアが可能になるというのだ。
PS2のDVD再生機能のリージョンフリーのようなパターンだが、要するに最初に提供したドライバではHDCPの制御が行われていなかった、という事なのだろう。
また、この『MonsterX U3.0R』はUSB3.0接続と言ったが、実はこれにも落とし穴があり、ASMedia製のUSB3.0のコントローラーだと上手く認識・動作せず、ルネサスかIntelのコントローラーが必須になる。
こうした問題が残りつつも、ここまで問題がハッキリしているのであれば、要はこれらの問題をクリアさえしてしまえば実現は可能という事になる。
運まかせのスプリッター探しとは根本的な問題が異なる事を考えれば、こちらの方がより現実的な回答になるだろう。
だが、一番の問題は昔のドライバが手に入るか? という事である。USB3.0のコントローラーは、最悪外付けのUSB3.0拡張カードで対応できるが、ドライバは入手できないと解決策がない。
おそらく、いろいろな情報を入手して『MonsterX U3.0R』を手に入れたとしても、ドライバが手に入らないというところで躓く人は多いかもしれない。何しろ、メーカーの公式サイトでは既に旧版のドライバは公開されていないからだ。
ネットは広大である
『MonsterX U3.0R』を入手しても旧版ドライバが手に入らないという人、諦めるのはまだ早い。
世の中には、いろいろリリースされたドライバやアプリケーションを保存する所があり、メーカーでなくてもそういったアーカイブサイトでドライバが入手できたりするのである。
ココでは詳しく書かないが、ネットでいろいろ調べれば比較的難しくなく、その場所と方法の情報が手に入るハズである。
とにかく『MonsterX U3.0R』という文字列で検索してみるのだ。情報は必ず落ちている。
但し、そうしたアーカイブサイトでも確実にデータが残っているとは限らない。ちなみに私が確認したところでは…今はまだデータが残っていた(中身は解らない為多分大丈夫という判断でしかない)。
世の中にはいろいろなところに「人柱」と呼ばれる、実験部隊がいる。
かつての私もその一人だったが、世界は広くて私などよりもっと深いレベルで人柱的実験をしている人達がいる。
メーカーのあら探しみたいな所もなきにしもあらずだが、便利に使える手段を模索しつづける彼らの情報は、ある意味とても参考になり、ある意味ちゃんと吟味しないと意図しない結果を招く事になる。それでも利用価値がある事に間違いはなく、その情報をどう使うかは受け止める側にある。
最近、こうした情報が氾濫し、また見つけやすい事もあって、人柱的情報を利用しやすい環境にあるが、それを行った事で被害を被り、ぼやく人が多い。そもそも人柱的情報は実験だという事をちゃんと理解した方がいい。まして、人柱で利用する製品だって個別に差がある以上、同じ方法で同じ結果が得られる可能性が100%ではないのだ。
そういった事を理解した上で、メーカーが想定しない使い方で便利にしていく…それが人柱だという事をもっと知るべきだと私は思う。
話を戻して…
PS3とPS4をフルHDかつ60fpsでキャプチャするには、現時点では『MonsterX U3.0R』を利用するのが一番手っ取り早そうである。
もちろん、HDCPをスルーさせる事のできるスプリッターを持っていれば、他の1080p/60fpsキャプチャ可能なユニットでもOKだが、そうでなければ現時点では他に道がない。
しかしXbox360のHDMI接続では、ゲーム画面のみHDCPが解除されるという仕組みになっているようで、Microsoftの方がこの分野では先に進んでいると言われている。
SCEはこの対応が遅れていて、PS3では依然として全てにHDCPがかけられているわけだが、この対応にも一定の変化が訪れそうである。
現時点ではまだ未対応だが、日本時間の本日、次回のファームウェアアップあたりでPS4のゲーム画面に関してHDCPが解除される旨の発表が行われた。
もともと、PS4はシェアボタンによる一定時間の動画キャプチャは可能になっていて、そのデータをPS4単体でSNS等にアップロードが可能になっているが、今回は動画編集機能も強化、Ustream等の生中継等の機能を備えるようだ。
これでPS4は『MonsterX U3.0R』を使用しなくてもキャプチャはできる事になる。単純に1080p/60fpsをキャプチャできるユニットがあれば良いのだ。
但し、同時にPS3からHDCPが解除されるかどうかまでは解らない。ハードウェアの仕様が異なるため、PS4が出来たからと言ってPS3も簡単にできるとは限らない。
そう考えれば、結局、確実にPS3のHDMI映像をキャプチャしようと考えるなら、やはりHDCP問題を解決するしか方法がないのである。
とりあえず予算のある人は『MonsterX U3.0R』を購入してみては如何だろうか?
そしてドライバを何とかして手に入れ、環境を整えるのが良いと思う。
もしUSB3.0の相性に不安を感じるなら、ルネサスコントローラー採用の拡張カードも合わせて導入すれば良い。ルネサスの第二世代USB3.0チップ“D720201”もしくは“D720202”を搭載している拡張カードならまず間違いないだろう。
いろいろ考えると、ネットによる生放送等をやろうと思うと、随分と敷居が高い事を再認識する。
昔から比べれば手軽になったとはいうものの、それでもキャプチャそのものをハイスペックで行おうとすれば、何かしらが障害になる。
実際、PS3の配信中継を見ていると、映像がハッキリしている人とぼやけている人がいる事に気づく。おそらくハッキリしている人はHDCPをスルーさせた映像で配信をしていて、ぼやけている人はアナログ信号に落とし込んだキャプチャーで配信しているものと思われる。
この違いに大きな差がなければ問題はないのだが、驚く程に差がある(少なくとも私の見た感じで)。
PS4では、こうした問題がなくなる事はほぼ確実となったが、まだまだメインに居座っているPS3は、まだしばらくこの問題と付き合っていく必要がありそうだ。