センサーをズラして高画質を得るのが流行らしい。
K-3 IIにもセンサーズラシ技を搭載
最近のデジカメ、それも一眼デジカメは、搭載しているセンサーの画素数以上の画を撮ったり、或いは搭載しているセンサーで撮影した画像以上の画質を得るためにいろいろな工夫を盛り込んでいる。
今年2月に発売されたOlympusのE-M5 MarkIIは、1,600万画素のセンサーを0.5ピクセルだけズラして8回撮影し4,000万画素の画像を撮影させるハイレゾショットという機能を搭載した。これは手ブレ補正技術を利用したものらしいが、センサーを絶妙にズラして複数枚の画像を撮影して合成するという事で実現している。当然、手ブレ補正は効かなくなるし、三脚必須の大技である。もし三脚を使わずに使うと…それはもう見事にボケた画像が出来上がる。
そして今回、PENTAXのK-3 IIにもこのセンサーズラシ技が搭載された。
5月22日に発売されたばかりのこの機種に搭載されたセンサーズラシ技は、E-M5 MarkIIのものとは異なり、センサーの画素以上の画を得る為の技術ではなく、より高画質を狙ったものになる。
つまり、この機能を使用しても搭載しているセンサーの2,400万画素の画像という事に違いはないのだが、その出来上がる画像の画質にあまりにも違いがありすぎるくらい高画質な画像が出来上がるのである。
リアルレゾリューション
PENTAXがK-3 IIに搭載したセンサーズラシ技は“リアルレゾリューション”と呼ばれるのだが、この機能は実にPENTAXらしい技術に裏付けされたものである。
今のデジカメに搭載されているイメージセンサーは、光を感知するセンサーの上にRGBの3色のフィルターを付けて、それぞれのセンサーにR用センサー、G用センサー、B用センサーと役割を持たせている。Gのみ他2色より倍の数のセンサーを並べているため、実際はR、B、G、Gの4画素でフルカラーを読み込む事が可能な状態になるのだが、これだと実際の画素数は搭載している画素数の1/4になってしまう。
そこでデジタル処理にはなるのだが、各画素をデジタル補完させる、つまり実際には違う色で得た情報をデジタル処理で別の色に置き換える事で補完し、搭載している画素数の画像を得ているわけである。もともとリアルに得た色情報が隣の画素にあるので、その情報を上手く活用しての補完であるため、この方法でも間違った画像にはならないのだが、補完しているというその事実が、リアリティを奪っているという事実はある。
そこでPENTAXは「だったらリアルにその色情報を得ればいいじゃない」という、実に単純極まりない発想方法で、リアルレゾリューションなる技術を投入した。
つまり、ホントに1画素ずつ4回ズラして撮影し、その画像を合成する事でリアルで得た色情報の画を生み出せばいい…という事である。
もちろん、言葉にする程簡単な事ではない。高速に、しかも正確に1画素ずつズラして4回撮影したものを合成するわけだから、そのセンサー制御はかなり難しい。しかも手ブレなど起こそうものなら、作られる画像は簡単にブレてしまう。だから三脚必須だし、しかも手でシャッターを押しては上下振動が加わるため、それでもちゃんとした画は得られない可能性は高い。
この辺りは、OlympusのE-M5 MarkIIのハイレゾショットと同じで、剛性のある三脚にリモートレリーズを使うぐらい神経質になった方がいいだろう。
また、被写体としても動くものはダメだ。とにかく動かない被写体を振動なく撮影する必要がある。
驚くべき高画質
そうしたシビアな条件で撮影されたリアルレゾリューション使用の画は、実に高画質である。
デジカメプラス ITmedia
http://camera.itmedia.co.jp/dc/articles/1506/05/news163.html
恐ろしいまでの色の正確さと、ディティールの細かさを持つ反面、やはり指でシャッターを切っても上下にブレる、恐ろしいまでのシビアさを併せ持つ禁断の技だと言えよう。
…こんなの、機能として持っていても、私などは使う機会がないのではないか? とさえ思えてしまう。
ある意味、E-M5 MarkIIのハイレゾショットよりもシビアかもしれない。
おそらく、E-M5 MarkIIのハイレゾショットよりもシビアなのは、イメージセンサーを動かすという方式そのものがPENTAXとOlympusで異なるからだろうし、Olympusはイメージセンサーを動かすというよりは手ブレ補正機構を上手く利用しているという所に大きな違いがあるのかもしれない。
PENTAXは、従来からイメージセンサーを動かすという事に関しては実に変態的(もちろんホメ言葉として)な側面があり、イメージセンサーを動かして構図の微調整を行ったり、自動水平補正をしたり、モアレの発生を抑制する為に絶妙にセンサーを動かしてローパスフィルターを入れたのと同じ効果を持たせたりと、実に多彩な技術を投入してきている。
その極めつけがこのリアルレゾリューションと言える。
但し、前述したように諸刃の剣で、絶対安静状態でないと使えないという問題はあるが…。
これでもスゴイが今後に期待
E-M5 MarkIIのハイレゾショットも全く同じだが、こうした技術は今登場したばかりのものであり、それを実現している事自体もスゴイ事ではあるのだが、私としては今後に更なる期待をしたいと思っている。
Olympusの場合でいうなら、手ブレ補正5段階分のウチ、2段階分を手ブレの余地に残しておき、3段階分でハイレゾショットとして画素をズラして撮影する…なんて事を現実的に可能にできる可能性もある。
PENTAXにしても同じである。何かしらの技術で、ブレが生じてもブレない画を得る方法を模索してくる可能性がある。
特にボディ内手ブレ補正を持つメーカーは、こうした技術は他社より有利に事を運べるのも事実で、その技術を今後も磨き続けていけば、今まで不可能と思った事が可能になる可能性もあり得る。
逆に、レンズ内手ブレ補正をメインにしているメーカーは、手ブレそのものはレンズに任せておくこととして、センサーを動かす技術を投入する事で出来なかった事が可能になる可能性もある。
どのメーカーにしても、今後さらなる高画質を得る事ができる可能性は十分ある。
今は、イメージセンサーそのものを作っているメーカーは限られたメーカーだけであり、特にSonyが強いとされる。いや、実際Sony製のセンサーを搭載したデジカメやスマホは非常に多い。
であるなら、そのセンサーを使って他に何をさせるのか? という事をいろいろ模索していくと、今後は今まで考えていなかったような手法が生み出される可能性がある。
そうした次世代の技術ももちろん興味はあるが、今出てきたこのセンサーを動かす事で得られる高画質を、今後はさらに安定領域に持ち上げる事で、もっと使いやすい技術へと昇華していって欲しいと思う。
そう考えると、スマホに随分と技術的に迫られてきているが、デジカメの世界もまだまだ進化の余地はあるんだな、と思えてくる。
今後に期待しよう。
PENTAX K-3ユーザーの私にはかなり気になる機種ですわー。
なので、店頭でいぢってきました。
デザインやサイズは無印K-3とほとんど同じ。
内蔵フラッシュがGPSに置き換わったくらい。
飛道具のリアル・レゾリューションも試してみました。
勿論手持ちは不可能なので、台の上に載せて手で抑えて、静かにシャッターを押してみた。
ミラーアップしなかったからか、それとも抑えた手がブレたのか、直線の縁がファスナーの様にギザギザになってしまったw
これはかなりシビアだわ。
でも、それでも背面液晶での拡大8.3倍(等倍)以上に拡大しても、綺麗で繊細に描写してるのは凄まじかった。
アレ、バッチリ撮れたときは洒落にならない絵が出てきそうだ。
明け方、風が無くて凪いだ湖面に映る山や空を、リアル・レゾリューションで撮ったらどんな写真が撮れるのか、ちょっとゾクゾクしますね。
…でも、流石に買い換えませんがw
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リアルレゾリューションでの撮影は、相当シビアらしいですね。
三脚必須といいつつ、脚の細い三脚ではダメで、風も警戒しないとダメというぐらいシビアだそうです。そうなると、リモートレリーズを使うしか道はないような気がします。
何しろ、シャッターが電子シャッターに固定されるそうなので、それぐらいの振動でもダメって事なんでしょう。
リアルレゾリューションの真髄はその色の正確さにあると思います。
ここぞという一枚に効果のある機能だと思うので、時間をかけてじっくりと撮影する人向けの機能でしょうね。
…私には使いこなせないわw
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