ようやく発売が見えてきた。
予約は10月27日
Intelより日本国内のCoffee Lake-Sの発売に関して、10月27日午前0時より予約受付開始という情報が発表された。
また、この予約開始から5日後の11月2日午前11時には正式に販売になり、順次下位モデルも発売となる。
また、それと連動して今まで発表されたのみで発売が見送られていたZ370チップセットを搭載したマザーボードの発売も各社より始まると報じられ始めた。
10月27日に予約開始というあたり、奇しくもiPhone Xと同日というのが、狙ったのかそれとも偶然なのか…。
ただ、この予約開始日と販売日の発表はあったものの、価格についてはまだ正式なアナウンスがない。
おそらく、各ショップから発表されるまで不明なのかもしれないが、359ドルという米国価格からどれだけ国内価格が引き上げられるのか、気になる所である。
正直、私はCoffee Lake-Sの国内販売はもっと後だと思っていた。もともと周辺でも11月半ばを過ぎたあたりになるだろう、場合によっては11月末になるかも…なんて話だった。
それに世界的な需要に対しての供給が追いついていない現状を考えると、もっと時間がかかると踏んでも仕方のない話である。
なので、私の予想ではAMDのRadeon RX Vegaのベンダーオリジナルカードの登場と同時期か、それよりも後になると予測していた。
だが、実際は逆で、Coffee Lake-Sの方が先で、Vegaのベンダーオリジナルカードはまだその姿を見せていない。
そう考えると、Vegaの歩留りは相当悪いと言えるのかも知れない。
8700Kを迷い始める
実は、メインPCとして想定したCore i7-8700Kに関して、最終的にそうするかを迷い始めている。
理由はその消費電力の高さである。
Ryzen7 1800Xと比較して、ケースバイケースで大凡8700Kの方が若干省電力になる…と言われていたりもするのだが、8700Kの消費電力が異様に高い事に今更ながら気付いて、迷っているのである。
確かに性能は7700Kと比較しても高いが、7700Kの性能を倍増させる為に消費電力を3倍にしているベンチマーク結果もあったりして、Intelの「意地でもRyzen7 1800Xを超えてやろう」という執念のようなものを感じる。
これにRadeon RX Vegaを組み合わせた時、その消費電力は一体どれだけになるのか? という事を考えると、自分でもこの組合せでいいのか? という不安を感じ始めた。
…まぁ、私の場合はIvy Bridge世代の3770Kを使っているため、当時の性能を引き出すために今のCPUよりは電力を喰っているだろう事を考えれば、驚く程の電力増には鳴らないかも知れないが、それでも3770KはTDPが71wであり、8700Kの95wよりは小さい。消費電力とTDPはイコールではないから、性能を引き出す為に8700Kはバカスカ電力を消費する可能性は高い。
となれば…Vegaとの組合せは結果的に恐ろしいまでの電力喰いシステムになる可能性は非常に高いと言わざるを得ない。
熱処理
ただ、この消費電力の増加をある程度許容できるとした場合、8700Kはオーバークロッカーからは受け入れられる可能性もある。
それはヒートスプレッダとの接合が、ソルダリングである可能性があるからだ。
ここ最近のIntel CPUは、コストを下げる為なのか、ヒートスプレッダとの接合にサーマルグリスを使用しているケースが多い。グリスなので何れは劣化する可能性もあり、またCPUの発熱を逃がす上でソルダリングよりも効率が悪いのがグリスの最大の問題で、それ故にオーバークロッカー達は殻割りをするのである。
殻割りし、液体金属を使用してグリスよりも熱伝導率を上げ、それによってオーバークロックの熱を冷やすという事をオーバークロッカー達はしているわけだが、そもそも元からソルダリングであれば殻割りする必要が無い。
8700Kは、そのターボブーストの効き具合から考えて、内部はソルダリングである可能性を否定できない。何しろ、時に150wクラスの電力を消費する8700Kだから、その時に発生する熱は凄まじいものになる。これを効率良く冷やさないとリミッターによってCPUは途中で働くのを辞めてしまう。
Ryzen7 1800Xを超える性能を引き出し、維持するためには、どうしても発生する熱を効率良く冷やす為の手段を執らなければ、比肩しうる性能は維持できない事を考えると、8700Kはソルダリングである可能性が高いのである。
もしこういった理由でソルダリング処理されているようであれば、一部のオーバークロッカーからはそれを歓迎する向きはあるかもしれない。
電源まわりの強化
こういった事を考えて8700Kを運用するとなると、まず電源ユニットから真剣に考えた方が良いといえるかもしれない。
もっとも、内蔵GPUで運用するという人であれば、そこまで本格的に電源ユニットに力を入れなくても耐えられるとは思うが、これにディスクリートGPUを組み合わせる場合は注意が必要である。
特に私のようにVegaの導入を考えている人は、瞬間的であっても、相当に高い消費電力を覚悟する必要がある。電源ユニットはできるだけ電力効率の優れた、容量も余裕のあるものを選んでおかないと、供給される電源に問題が出る可能性がある。
当初、私は700wの80Plus Platinum電源レベルでいいかな、と考えていたが、正直今だと850wくらいないと安心できないかな、と思っている。
できるだけ変換効率の高い、80Plus Gold以上の電源で850wというのは、最近のPCとしては電力大喰いの部類でしかない。
しかし、消費電力の大きな8700KとVegaを同時に運用しようとすれば、そうした対策は自ずと必要になってくる事は容易に想像できる。
8700K以外の選択肢
仮に8700K以外の選択肢を再検討するという手もある。
振り出しに戻ってしまう可能性もあるが、あえてRyzen7を再検討したり、或いはK番のないCore i7 8700、もしくはCore i5の8600Kなど、下位モデルを再検討したり、一世代前の7700Kをチョイスといった道も考えられる。
もちろん、そうする事で確実に性能は8700Kを下回る事になるが、Ryzen7 1800Xであれば驚く程の性能低下ではないし部分的には性能がアップする可能性もある。
ただ、Ryzen7はTDPは95wとしていても実際は100wを超え、140wくらいまである事をAMD自らが認めているため、そもそも電力の問題で8700Kより優位という事はあり得ない。それではRyzen7 1800Xを選ぶ理由にはならない。
となると、案外良いバランスなのが7700K、もしくはCoffee Lake-SのCore i7 8700やCore i5 8400といった、K番ではないシリーズが傑出してくる。
絶対的性能を得る為には、そうした電力消費が必須と割り切るか、それとも適度なバランスで性能と消費電力を調整するかで、選択肢が分かれそうである。
そうした面で再び迷い始めてはいるが、今の環境でも750wの80Plus Platinum電源での運用なので、そうそう心配する必要はないかもしれない。
一番の問題は…Vegaのベンダーオリジナルカードがいつ登場するかという事と、それに連動して私がいつメインPCをアップデートできるか? という時期的な問題である。
それが明確になるまでは、ひたすら方向性のベクトルは揺れ続けるのかも知れない。