ま、ある意味、当然ですな(-_-;)
対Intelの切り札?
Ryzen 2000シリーズが発売となり、思いのほか2700Xの性能が高かった事に対し、Intelはおそらく今のCore i7-8700Kで十分とは思っていないだろう。
確かにマルチメディア系では未だにIntel系コアの強さは健在ではあるが、それは全て命令セットに最適化されているという事の結果であって、決してCPUが優秀だからではない。
Intel系コアがAMD系コアに対して優位なのは、その動作クロックの高さであって、メモリレイテンシ性能であって、ワットパフォーマンスの高さである。
それ以外では今の所Ryzen 2000シリーズと互角か下回る結果でしかない。
Intelは多分「8700Kは6コアであり、それで8コアの2700Xと互角に戦っている」と言うかも知れない。
しかし、マルチスレッド性能では間違いの無い差が付いてしまっているし、マルチメディア性能以外では2700Xの方が性能が上回っているのも事実である。
だとしたら、Intelが次に執る手は、やはりCoffee Lake-Sで8コア16スレッドのCPUを投入する事ではないかと思う。この噂は以前から出ていた話である。
当然だが、その噂をAMDが知らない訳がない。
AMDに対抗するIntelの手の内を考えれば、AMDだって8700Kが6コア12スレッドだという事は理解しているし、ならば同じ8コア16スレッドにする事でさらに上位の結果を残せるCPUを作り上げる事ができる事は容易に想像できる。
であるならば、AMDとしては可能性のある8コア16スレッドのCoffee Lake-Sに対抗する駒を持っておきたいと考えるのが当然であり必然である。
もちろん、ここで言う駒とは、第1世代Ryzenには存在していた1800Xの後継である2800Xの事である。
Threadripperとの関係
ただ、問題は2800Xがどのような形で8コア16スレッドのCoffee Lake-Sに対抗するか? という事である。
物理的にさらにコア数を増やして10コア20スレッドにするのか?
それともさらに高クロック化して高性能化するのか?
今の所、高性能化を図るための手法としては、この二択になるだろうとは思う。
だが、このどちらも可能性として高い感じがしないのが問題である。
まず、コア数を増やすという選択肢だが、これをやってしまうとThreadripperとの違いがほぼ無くなるだけでなく、物理的に4コア構成のCCXを使用する事ができないという事である。
つまり、必然的にダイの大きさは大きくなり、6コアのCCXを2基搭載したダイから、5コア+5コアの計10コアのダイを生み出す必要がある。これはThreadripperの手法と同じであり、Zen+世代のThreadripperを製造しないとしていた最初のプランから逸脱する。
また、高クロック化を図る場合を考えると、2700Xの段階で既にTDPは105Wに達しているのだから、より高クロックで動作する選別品を採用しないかぎりは120WクラスのTDPにしないといけない事になる。
そうなれば、タダでさえワットパフォーマンスの悪いRyzenが、さらに非効率なコアになってしまう。
前述の二択では、手軽に最上位の2800Xを投入、というワケにはいかない感じではある。
可能性でしかない
ただ、ここで私が論じている内容も、単に可能性でしかない。
AMD側は2800Xの存在を語ってもいないし、現時点では2700Xを頂点とした4モデルしか発表していない。
Intelが8コア16スレッドのCoffee Lake-Sを投入してきたワケでもないし、全てが机上の空論でしかない話である。
ただ、第1世代の時には存在していた1800Xの後継モデルが単純に存在しないという事実は、高性能モデルから発表する慣例から考えてオカシイというのもまた一つの見方である。
モデルナンバーが消えるならそれは下位モデルであるのが通例だし、ブランドイメージを背負うトップモデルが削られるというのは考えにくい。
可能性でしかない話ではあるものの、そこには従来からの慣例や商習慣から導き出された推論が重なっている。
特に2大メーカーの競争だからこそ、こういった推論が立てやすく、また見えてくるものがあるのである。
Intelが新モデルを発表するタイミングとしては、夏過ぎの秋頃ではないかと思うが、その時、Intelが大々的に次世代モデルを発表する事ができないならば、8コア16スレッドのCoffee Lake-Sの登場は大いにありうる。
そしてその時、多分タイミングを合わせてRyzen 2800Xが颯爽と現れるのではないかと思う。
一体どのようにして高性能化させてくるのか?
そこにも期待がかかるが、IntelとAMDの競争があってこそ、この業界が活気づくわけで、この状態こそが正しい在り方なのではないかと改めて思う次第である。