最大28コアのプロユース向けが刷新。
28コア/56スレッド
Appleが6月3日(現地時間)、プロ向けデスクトップである「Mac Pro」のスペックを刷新した。
新型筐体は、ちょっと見た目にグロいと思う人が出てくるかもしれないようなエアフローに優れたものになった。CPUはXeon Wとなり、最小構成で8コア16スレッド、最大構成で28コア/56スレッドになり、搭載メモリも32GBから1.5TBまでと選択肢が広がった。
ビデオカードには、独自規格のMPXモジュールが採用され、75Wの供給が可能なPCI Expressスロットに加えて475Wの供給が可能な独自のPCI Expressコネクタを備えた。
これにより、1GPUあたり14TFLOPSの演算能力を誇るRadeon Pro Vega IIを1枚のカード上に収め、このカードを2基接続できる事で1システムあたり最大4GPUの搭載を可能にした。カード同士の接続にはAMDのInfinity Fabricを使用するという。
8Kビデオ編集用に、100万ロジックセルで構成されるFPGA「Afterburner」を搭載し、1秒あたり63億ピクセルの処理が可能だという。3ストリームの8K ProRes RAW(30fps)、または12ストリームの4K ProRes RAW(30fps)をハンドルできるようになる。
また、セキュリティコプロセッサとして、最近のApple製品に搭載させている「T2」を搭載し、ストレージの暗号化、及びセキュアブートが可能になる。
ストレージは最大4TBまで選択でき、拡張スロットは2基のMPXまたは4基のPCI Express x16(排他利用)、PCI Express3.0 x16、PCI Express x8、PCI Express x4を持つ。
他インターフェースとしてUSB3.0×2、Thunderbolt3×4、10Gbit Ethernet×2、IEEE802.11ac、Bluetooth5.0を備える。
電源は1,400W、その筐体総重量は18kgにも及ぶ。
IntelとAMDの合わせ技
今回のMac Proも含めて、Apple製品は基本的にCPUがIntelでGPUがAMDという構成を執る事が多い。
今回のMac Proも全く同じで、CPUはIntelのXeon W、GPUはAMDのGCNアーキテクチャのVegaを採用している。
何故このような構成なのかはハッキリとは分からないが、言える事はCPUはマルチメディア系処理に強いIntel製で、GPU周りはGPGPU性能が高いAMDを採用している、と言える。
なので、もしZen2のコア性能がIntel製のマルチメディア性能に迫るものがあるならば、AppleはZen2ベースのAMDコアを搭載していた可能性は高い。
それに、搭載しているGPUとの接続も特殊な接続になっているので、個人的にはCPUもAMDコアにしてしまった方が、システム全体の繋がりももっと楽に構成できるように思える。
ただ、Appleは長い間Thunderbolt3コントローラーをIntel製CPUに内蔵するように働きかけてきた経緯もあり、そのThunderbolt3はIntelとの共同開発だった事もあるので、企業間の取り決めのような感じで何かしらのしがらみはあるのかもしれない。
どっちにしても、プロユース製品が刷新された事で、よりハイエンドな処理をMacで行う事ができるようになった意味は大きい。
映像処理系は規格が先に進んでもそれを制作する側がそれに追従しないと意味がない。
ここ最近は昔よりも映像処理側が後手に回る事が多いので、このMac Proによってそうしたバランスの悪さが少しでも是正されれば新たな作品が生み出されるのではないかと思う。