私としては今のiPhoneXから買い替える予定はないが、もし買い替えるなら? と考えて再検証してみた。
iPhone12 miniの存在
私が今回のiPhone12系の最大の目玉と思っているのは、間違いなくLiDARスキャナの存在である。
5Gはsub6の電波しか影響しないし、しかもその提供エリアはまだまだ狭い事から、私にとっては5Gはまだ時期尚早という意識しかない。
だが、LiDARスキャナは違う。
この機能は搭載されているだけで意味がある。空間を把握する上で、このLiDARスキャナは画期的であり、また機能としては単純な使い方で実に効果的な結果を得られる。
なのでiPhone12系に乗り換えとしても、選択肢は「LiDARスキャナ搭載モデル」が対象になると思っている。
そうなると、イキナリ選択肢からハズレるのがiPhone12とiPhone12 miniという事になる。
Pro系が選択肢になるのは良いが、残念なのはiPhone12 miniのサイズ感を捨てねばならないという事である。
おそらく、私はよほど最新機能が欲しいという人以外なら、今年発表された機種の中ではiPhone12 miniがもっとも売れる機種になるだろうと予想している。
6.1インチの液晶でも悪くはないが、このサイズでも女性の場合はまだ大きいと言える。昨今のアプリの使い勝手を考えると画面は大きい方が有利ではあるが、同時に持ち運ぶガジェットのサイズがどうしても大きくなってしまう。
しかもある一定の大きさを超えたあたりで片手操作が難しくなる。私の場合、iPhoneX、つまり5.7インチでも片手操作は結構キツイ。女性ならなおのこと片手操作は難しくなると言える。
つまり、大きさとしてはiPhone12 miniが最適ではあるものの、目玉機能であるLiDARスキャナはそれには搭載されないという、実にツマラナイ結果。
もし、iPhone12 miniにLiDARスキャナが搭載され、カメラ機能が1ランク上に引き上げられたなら、今年のiPhone12 miniは稀に見る名機と呼べたのではないかと考える。
5Gは全く考えない
今回のiPhone12シリーズは、全機種5G対応と謳っている。
だが、その内訳を知ると実は5Gに対して全対応という事ではなくsub6にのみ対応し、ミリ波には対応していないという事がわかる。
ちなみにsub6とミリ波の両方に対応しているiPhone12は、米国発売のもののみのようである。
ではこのsub6とミリ波の違いというのは何か?
答えは簡単で、sub6は今のLTEの延長上にある周波数帯である3.6~6GHz帯を使用するもの、ミリ波はそれよりさらに高い30~300GHz帯を使用するものである。
電波というのは、周波数帯が高くなれば高くなるほど載せられるデータ量が多くなり、届く距離が短くなるという特性がある。ミリ波のその届く距離というのも1つのアンテナから数十mとかそんなものである。だからミリ波を本格的に利用しようとなると、今のアンテナ基地局数では全然足りないという事になる。
ミリ波のメリットは多大なものだが、距離的デメリットがあまりにも深刻なので、sub6という比較的現在の4G LTE技術に近い規格と合せて利用し、ミリ波のデメリットを補完しているワケである。
だが、そのsub6にしても対応エリアは今の状況を見れば一目瞭然。まったく広がっていない。
これが整うには、おそらくあと数年はかかる。sub6が全国普及するのにもあと2~3年はかかるだろうと言われている。
この状況でiPhone12が5G対応している、と言われても、使えるかどうかわからない機能の事であり、意味はほとんどない。
なので、もし5G対応という目的でiPhone12を買うという人がいたならば、それはまず間違った認識だと言いたい。5G対応のビルなどに勤務している人であれば、sub6の恩恵は受けられるかも知れないが、そうでもないかぎりは無意味である。
キャリアでは買わない
万が一、私がiPhone12シリーズを購入する、となると、私はおそらくdocomoやau、SoftBankといったキャリアでは購入する事はない。
おそらく、Apple StoreでSIMフリーモデルを購入し、今のdocomo回線をそのまま利用する事を考えるだろう。もちろん今契約しているギガライトのSIMがそのまま利用できるかどうかを調べる必要はあるが、キャリアで購入するメリットがまずもってない、という事を知るべきである。
いや、正確に言えばメリットはある。本体購入の割引プログラムを利用することができるからだ。さらにキャリア独自の補償サービスもある。これらを利用するならキャリアにメリットがある事になる。
だが、割引プログラムは端末を後々返却する必要がある。つまり時期がくれば手元に何も残らない、という事である。
また、キャリアの場合、iPhone12を契約した時点で5G対応プランへの変更を促される。おそらく各キャリアの5Gプランの加入数を稼ぐ意味があるのかもしれないが、5G対応プランへの変更が必須とされるのである。
前述したように、5Gへの対応はまだまだであり、一般的に使える様になるにはあと2~3年はかかる。実際には使えないのに5G対応プランの料金を支払わねばならないのである。
なので、私はキャリアからiPhone12を買うのではなく、SIMフリー版を購入し、それに今利用している4G対応プランのSIMを挿す事を考えたワケである。
このやり方の場合、docomoとSoftBankはとりあえず現状の4GプランのSIMを指せば利用する事はできるようだが、auはSIMフリーのiPhone12に4GのSIMを挿しても利用する事すらできない、という事がわかっている。
スマサポ
SIMフリーのiPhone12を使うなら、わざわざキャリアのSIMカードを挿して使うよりMVNOの格安SIMを使った方が価格的にメリットがあるのではないか? と思う人も多いだろうが、キャリア回線のメリットを享受したいという要望があるのも事実なので、挿すSIMカードに関しては人それぞれといったところである。
もし買い替えるなら…
このような事から、とりあえず「もし買い替えるなら…」という視点でいろいろ考えて見たが、買い替えるメリットがほぼない、というのが私の結論である。
性能的にA14 Bionicを搭載しているという意味では魅力的ではあるものの、スマホとして利用する分には現状のiPhoneXでも何ら困った事はないし、今のiPhoneの性能は過剰気味ではないかとすら思う事がある。
ただ、性能過剰でも消費電力が大幅に増えたとかではないので、性能と消費電力のバランスとしては良いのかも知れないが、その為にかかるコストが大きすぎて買い替えには慎重にならざるを得ない。
もしiPhone12 miniにLiDARスキャンが搭載され、かつiPhone13(仮)にminiが存在しないとするなら、iPhone12 miniは購入選択の余地はあったかもしれない。
しかし、実際にはLiDARスキャンは非搭載だし、次期iPhoneにminiが存在しないと確定しているわけでもない。
なので、個人的には次の新機種の出方を待つ方がメリットは大きいかな、と思っている。というか、予算的にはそうそう買い替えできるものでもないだろう。
というわけで、再検証してみた。
人によって条件も異なるので何とも言えないが、私の視点では何が何でも買い替えるという機種ではない。
また、今後のキャリアとの回線契約に関しても今回のiPhone12の対応で考えるところが大きくなってきた感じがある。キャリアとハードメーカーは全く別として考えていく時代になった、という事かもしれない。