Intel NUC Compute ElementがCES2020で発表されて以降、少しずつ姿が見えてきた。
モジュラー式システムボード
IntelがCES2020で発表した「Intel NUC Compute Element」は、ミニPCや統合システムを比較的簡単に構築する為の仕組みとして考えられた、モジュラー式システムボードになる。
CPUとメモリ、インターフェース類と通信システムなどを搭載したものでシステムボード、シャーシと組み合わせる事で、小型デスクトップPCや統合システムを作る事ができる。
Intelは「Intel NUC Compute Element」を中核にしてシステムボード「Intel NUC Board Element」、シャーシ「Intel NUC Chassis Element」というIntel独自の製品を想定しており、それらを組み合わせて「NUC(Next Unit of Computing)」を構築できるとしている。
この構想のメリットは、CPUが古くなったり、メモリが不足したりした場合は「Intel NUC Compute Element」のみを入れ替える事で、PCそのものをアップグレードできる事であり、そこを最大の利点としている。
自作PCの世界では、CPU、マザーボード、メモリ、ストレージ、GPU、電源、ケースがあれば完成したPCが構築できるよう構成されているが、実際にはマザーボードに多くの機能が集中しており、このマザーボード内の機能を切り離したりする事は非常に困難であり、また交換する際にも結構な手間がかかるのが通例である。
「Intel NUC Compute Element」は、それらをもっと簡単にする事を目的としている側面があるため、いわゆる自作PCとは似て非なるモノ、と考えた方が良いだろう。
第11世代Core
現在IntelがNUCとして想定している「Intel NUC Compute Element」に使われているコアは、第11世代のTiger Lakeが搭載されたものになる。
それぞれ、現時点では6ラインナップがあり、以下のようになる。
・「CM11EBC4W」Celeron 6305/4GB
・「CM11EBi38W」Core i3-1115G4/8GB
・「CM11EBi58W」Core i5-1135G7/8GB
・「CM11EBv58W」Core i5-1145G7/8GB
・「CM11EBi716W」Core i7-1165G7/8GB
・「CM11EBv716W」Core i7-1185G7/16GB
自作PCとの違いで最大の問題は、「Intel NUC Compute Element」単体ではメモリの増減ができないので、現時点では16GB以上のメモリは搭載する事ができない。
おそらく、32GBの選択肢がない理由は、もっとCPUがハイパフォーマンスだとあり得るかも知れないがこのコア性能のもので32GBのメインメモリを必要とする想定がないという理由ではないかと思われる。
実際の製品としては、単純な小型PCに見えるもので、使い勝手としては小型PCをデスクトップで使用する、という極々当たり前な使い方になる。
見た目からは特別感がまるでないのは、モジュール式と歌いながらも、それらを交換する手順が容易ではないからだと言える。
今のままだと、単にIntelが自作PCのパーツをある程度纏めてユニット化しただけ、という感じなので、有効性があまりない。
これなら私は自作PCでいいかな…と思ってしまうが、それは自作PCの組立の経験者だから言える事であり、未経験者からすれば、少しでも纏まっていた方がわかりやすいだろうから、Intelのこの構想はいままさに試験段階、という感じなのかも知れない。
もっとユニット化を簡単に
なので、現時点で「Intel NUC Compute Element」に対して言えることは、今のままだとその存在意義は実に曖昧で不安定だという事。
もっと身近にカスタマイズできるユニット交換型PCを考えるなら、ファミコンカセットを入れ替えるぐらいの手軽さで交換できないと意味がない。
ケースを開けて、ユニットごと取り外し、そのまま新しいユニットをスロットにさしてケースを閉じる…これぐらい簡単にしないと、本来の意味は得られないのではないかと思う。
このような仕組みにする事で、ノートPCでも同じように組み合わせで性能を入れ替えられるものが作れるようになる。
そうすればグレードアップで商品寿命が延びる製品になるので、環境的にも良いだろうし、何よりOS等の設定をゼロからやりなおす必要が無くなる。
おそらくIntelの目指す先は、そのような製品ではないかと思うので、そうした新たなフォームファクタをぜひ生み出してもらいたい。
ま、私は自作PCでいいけど(爆)