新型が登場したのかと思いきや、まさかの再販。
FiiOブランドのBT機器
エミライがFiiOブランドとしてBluetooth送受信機能を備えたUSB DAC「BTA30」を再販すると発表した。
これは昨年12月に発売されたBluetooth対応USB DACで、当Blogでも記事として取り上げた事がある。
今回の再販は、部材の継続的調達が困難との事で、在庫限りの数量限定販売となる製品のようで、もしどうしても欲しい、という人であるならば、急いで情報をキャッチして対応した方がよいだろう。
「BTA30」は、DACチップにAKM製「AK4490EN」を採用し、Bluetoothチップにクアルコム製「CSR8675」を搭載した製品。Bluetoothは5.0準拠で、受信機としてはSBC/AAC/aptX/aptX HD/LDACコーデックに対応する。送信機としてはSBC/aptX/aptX HD/aptX LL/LDACに対応となり、AACコーデックは送信できないかわりに、aptX LLでの送信が可能。
LDAC送信時の使用時の条件として、音響ソース機器と光/同軸デジタル端子経由で接続されている必要があり、その条件さえ満たせばLDACによる送受信が可能な希有な機器と言える。
他、マルチポイント接続にも対応し、受信/デコードモードでは同時に2つのデバイスを接続できる。どちらのデバイスの音源もBTA30で再生する際に自由に切替えられるようになっていて、送信モード時は2つのデバイスに同時に音源をBluetooth送信できるという特徴を持つ。
BTA30の入力端子は、光/同軸デジタルとUSB-Cを備えており、同軸デジタル入力時は最大192kHz/24bitのPCMと、DSDのネイティブ変換に対応する。光デジタル入力時は最大96kHz/24bit、USB入力時は最大48kHz/16bitまでのデコードができるようになっている。
逆に出力端子はRCAアナログ1系統、光/同軸デジタル1系統を備えており、有線接続での出力にも対応しているのが特徴になる。
PCでLDACを使う
この「BTA30」は、私が知る限り、PCでLDACを利用するほぼ唯一の方法ではないかと思っている。いや、正確には他にも方法はあるのだが、おそらく一番手っ取り早いのがこの「BTA30」を使用する方法と言える。
LDACによるBluetooth接続は、ソニー製のワイヤレスイヤフォンでは当たり前のように搭載される機能だが、これに接続できる機器は今までスマホぐらいしか存在しなかった。
Windows PCではaptXやAACぐらいまでがようやく対応できるコーデックなのだが、「BTA30」をUSB DACとして利用する事で、「BTA30」とソニーヘッドフォンの間をLDACで接続する事で、Windows PCとソニーヘッドフォンをLDACで接続できるようになる。
但しこの場合、Windows PCと「BTA30」はあくまでもUSB DACとして接続しているのみになるので、ソニーヘッドフォンの操作はWindows PCと連動はしない。
単純に音楽ソースの伝送がLDACで伝わる、というだけの事なので、本当の意味でWindows PCとソニーヘッドフォンがLDACで接続、連携した、とはならない事に注意である。
LDACをもっと普及させて欲しい
WindowsのBluetoothでLDACを利用可能にする方法として、直接Windowsで接続できるようになっていれば、本機器は単純にUSB DACという位置付けになるはずである。
本来ならば、それが正しい接続方法なのではないかと私は思う。ソニーがもっとがんばってMicrosoftに働きかけてくれれば、LDAC機器をWindowsで積極的に使っていけるようになるはずであり、多くの人はそれを望んでいるのではないかと思う。
Windows11では、このBluetoothオーディオのコーデック対応が見直されるという話があったと思うが、ぜひこのLDACへの対応を進めて欲しいと思っている。
対応する機器が数多く存在していても、送受信する相手側に対応機器がないとなれば、その規格は無用の長物と化す。
折角どんなに優れたヘッドフォンやイヤフォンが存在していても、その通信ができない事で用途が限定されるのは実に悲しい話である。
ひょっとしたら、対応に向けていろいろ手を打っているのかも知れないが、何か特別難しい問題などあるのだろうか?
もし問題があるのならば、その問題などを公開し、外からの協力者を集めた方が、技術課題はクリアできるのではないかと思う事もある。
ソニーの柔軟な対応を切に願うばかりである。