今やモバイルデバイスでもPCと同等以上の事ができる時代。
Swift Playgrounds 4、登場
Appleが、iPad上から直接iPhoneやiPadのアプリを作成し、App Storeに登録できる「Swift Playgrounds 4」を12月15日より利用可能である事を発表した。
これは6月に開催された世界開発者会議WWDC 2021で予告されていた事なのだが、先日のiPad OS 15.2のリリースに続いて配信されたようである。
Swift Playgroundsは、開発者や学生がAppleのプログラミング言語「Swift」を学べるアプリで、MacやiPadで提供されていたのだが、App Storeへ登録できるのはMacのみだった。
今回のSwift Playgrounds 4で、それがiPad上からApp Store Connectに直接提出する事ができるようになり、AppをiPadだけで作成、公開、配信する事ができるようになった。
他にも、Appをビルドしながらすぐにライブビューを確認する事ができるようになっていたり、全画面モードでAppを実装してテストす事ができるようになったりと、改善点も多い。
また、Swiftパッケージに基づくオープンプロジェクト形式はiPad用のSwift PlaygroundsやMac上のXcodeで開いて編集できるようになっていて、iPadとMacでのApp開発が今までより柔軟になったようだ。iPadとMacがあれば、2つの環境を行き来できるわけであり、Appの生産性は大きく向上したといえるだろう。
最安のiPadでも動作する
このSwift Playgrounds 4だが、動作はiPad OSであれば動くので、最安で提供されている第9世代iPadであってももちろん動作する。
つまり、価格的には4万円程度のiPadであっても、プログラミング環境が手に入る、というわけである。
iPad OSが15.2以上であればSwift Playgrounds 4は動作するので、従来の環境から比べても安い価格でプログラミングを学ぶことができる環境を構築できるようになった、と言えるだろう。
巷ではRaspberryPiという教育用の格安マイコンも存在するが、プログラムを勉強できる環境を構築するまでが結構大変だったりするので、そうしたハードの準備が必要が無く、アプリをiPadにインストールするだけでその環境が作れてしまうインパクトは、実際問題としてとても大きいのではないかと思う。
PCレスに向かうのか?
スマホやタブレットが高性能化していく今後、どんどんノートPCとの格差は小さくなってきていると思う。
実際、Appleの場合はそのSoCであるAシリーズの性能は既に一般的なノートPCの性能を凌駕しつつあり、iPad ProはM1というMacBook Airにも搭載されたSoCをそのまま搭載しているという状況。もうタブレットがノートPCの性能を超えている状況が生まれている。
既にiPadというタブレットで出来る事とノートPCで出来る事の差は以前とは比べものにならないくらいに縮まってて、タブレットさえあればやりたい事は完結できるくらいの状況になってきている。
こうなると、ノートPCでなくても良い、という状況が生まれてくるわけだが、おそらくこれは使う側の問題であって、PCを使い続けてきた人であればどうしてもやりやすさや理解のしやすさでノートPC主体で考えがちだが、スマホをメインに使っている人であれば、抵抗なくタブレット主体で使っていけると思う。
デバイスそのものの問題というよりは、もう使う側の問題なので、自分が使いやすい選択肢で選んでしまって良いというのが昨今のタブレットの立ち位置になったのではないかと思う。
Appleは、以前にMacとiPadの融合を考えていた節があるようだが、そろそろそうした時代に突入しそうな感じで、そう遠くない時代には融合してしまうだろうと思う。
ひょっとしたら、Windowsもローエンドはタブレットのような方向に向かうかも知れない。MicrosoftがSurface用にSoCをARMで作っているという話もある。実際、Qualcommの新しいSoCはAppleのM1と対抗できる性能を持ちつつある。そうしたSoCを使って行けば、ARM版Windowsがタブレット運用できるレベルで使える時代になっていくかもしれない。
今後、PCが必要という感覚すらも変わってくるように思うと、デバイス側からではなく、使う側から状況の変化が訪れるのではないかと思う。
というわけで、アプリ開発の勉強はiPadだけで完結する時代へと突入した。
これがデジタルデバイスほのパラダイムシフトの一石になるのか、状況を楽しみたいと思う。