今回のアップデートでマスク対策が採られてはいるのだが…。
iPhone12以上
AppleがiPhone向けOSである「iOS 15.4」を配信開始した。
目玉機能はマスクを着用したままFace IDを使用出来るオプションが追加されたと言うことで、利便性が格段に向上するとしている。
他にも、Apple Pay、Safariとアプリ内パスワードの自動入力においても、マスクを着用したままFace IDによる認証が可能になるのも特徴で、以前、Apple Watchを利用したマスク利用時のロック解除機能では、Apple Payでの認証ができなかった事を考えれば、随分と便利になったと言える。
FaceTimeではSharePlayのセッションを対応アプリから直接開始可能になり、オフラインの間もSiriが日付と時刻に関する情報について応答可能になった。但しこれはiPhone XS/XR/11以降の対応となる。
他にもEUデジタルCOVID証明書の対応、SafariのWebページ翻訳機能にイタリア語と中国語が対応、等々、機能向上もある。
また、今バージョンから、全てのユーザーを対象に緊急SOSの設定を「電源ボタンを長押しして通報」という動作に変更した。以前の「電源ボタンを5回押して通報」は設定で変更できる機能となり、変更しないかぎりは「電源ボタンを長押しして通報」という動作が緊急SOSの設定となる。
追加された機能はいろいろあるものの、一番喜ばしいのは、やはりマスクしたままFace IDが利用可能というオプション追加だと思うが、残念ながら、この機能を利用できるのはiPhone12以上、つまり現状としてはiPhone12シリーズ、iPhone13シリーズの両シリーズのみの対応となる。
旧来機種は、残念ながらマスクをしたままのFace ID認証はできないので、旧機種を利用している人は話題性に比して、残念度が高いと言わざるを得ない。
iPadOS 15.4
iOS 15.4と同時に、iPadOS 15.4も公開されたが、こちらの目玉機能はなんといってもユニバーサルコントロールではないかと思う。
1組のマウスとキーボードで、iPadとMacの両方が操作可能となり、さらに両者間のファイルのドラッグ&ドロップが可能になった事で、データ転送の利便性までをも賄う事が可能になる。
これはMacとiPadの間の事なので、Windows機との連携ではない事から、Apple製品を主として使っている人への恩恵ではあるが、当然のことだがMac側のアップデートも必要になる。macOS Monterey 12.3が公開されており、このアップデートをMacに適用する事で、ユニバーサルコントロールが可能になる。
ただ…このユニバーサルコントロールだが、本バージョンでも基本的にベータ版での機能提供という事で、正式な対応機能ではない、という事らしい。まだ、機能的に不完全な部分がある、という事なのだろうか?
それと、iPadOS 15.4では、iOS 15.4のようなマスク着用時のFace ID認証には対応していない。
私としてはこれが一番残念な部分で、マスクを利用している環境下でMagic Keyboardを装着したiPad Proをそのまま顔認証でストレートに起動できるとものすごく便利になるのだが、これが出来ないが故に、パスコードの入力をしなければならないという不便さは何とかしてもらいたいものである。
試してみる
私の環境では、マスク着用時のログインはテストできないので、ユニバーサルコントロールを試してみた。
MacBook Proのディスプレイ設定をみると、そこには「ユニバーサルコントロール」の場所があり、
そこで近くに置いてあるiPadを認識させる設定ボタンがあるので、それをONにする。
すると、ディスプレイを追加するボタンに、近くに置いてあるiPad Proが選択肢として選べるようになっていて、それを選択するとディスプレイの追加という形でiPad Proと接続される。
これでMacBook ProのキーボードやタッチパッドでiPad Proの画面をMacBook Proのセカンドモニタのように扱う事ができる。ただ、これだとSidecarという機能と何も変わらない。
ユニバーサルコントロールは、これらの設定が済んでしまえば、同じネットワーク下で接続されているMacとiPadを互いが認識し、近くに置かれている環境下で、キーボードやマウスがそのまま利用可能になったり、コピー&ペーストできるようになる機能である。
なので、一度設定した後、ディスプレイ接続は切断し、MacBook Pro、iPad Pro、共に普通に単独で使用出来る状態で、隣同士に配置する。そしておもむろにMacBook ProのタッチパッドでiPad Proの方へマウスカーソルをグッと寄せていくと…iPad Proの画面に薄い黒丸(iPadのタッチパッドで表示されるカーソル)が表示され、MacBook Proのタッチパッドでそれらを操作できるようになる。
これが出来るようになれば、少なくともキーボードとマウスは共有できているし、互いにファイルをドラッグ&ドロップでコピーしたりできるようになっているハズである。しかも、このコントロールはiPad側のMagic KeyboardでMacを操作する事もできる。結構シームレスに動作するので、慣れないと驚く事も多いと思う。
但し、iPad側はファイルを保存できるのはFilesというアプリの上でのみできると考える。そもそも、ファイルシステムがmacOSとiPadOSでは異なっているので、そのあたりは注意が必要だ。
また、前提として同じネットワークに接続しているという事、Handoffを両デバイス共に有効にする事、同じApple IDで接続している事などの条件がある。
確かに、日頃からMacとiPadを併用している人であれば、とてつもなく便利な機能になるとは思うが、おそらくはMacやiPadでクリエイティブな事をしている人にこそ、必要な機能かもしれない。
ファイル共有だけであれば、サーバ経由でFilesやdocumentsといったアプリで今までも共有化できているので、使い所は結構悩ましいかもしれない。
というわけで、とりあえず新しいiOS、iPadOS、macOSによって、新機能がもたらされた。
私が試せたのはユニバーサルコントロールのみだが、今の私からすると使い所の難しい機能でもある。
それよりも…マスク着用時のログインをもっと手広く可能にしてほしいところである。
セキュリティ的に難しいのかもしれないが。