6800HX/HS搭載のPCが発売されてはいるが、15-28Wクラスはまだなのか?
Alder Lake-U対抗製品は?
本来なら、IntelのAlder Lake-U、つまり15-28WクラスのCPUに対抗すべきAMDのAPUは、Ryzen 6800U、もしくは6600Uになるハズである。
これは、Ryzen 6000シリーズが今年3月に発表となった際、どう考えても同時期にIntelコアとして展開していたCPUがAlder Lake-Uだったのだから、どう考えてもこれらが共にライバルとなる製品である事は疑いようのないところ。
ところが、今現在、Alder Lake-U搭載の製品もまだ少ないという状況ではあるが、それでも少しずつ登場してきている中で、何故かRyzen 6800Uや6600Uを搭載した製品が登場してきていないのは、非常に疑問である。
どちらかというと、Ryzen 5825Uやその下位モデルを搭載した製品ばかりが目立ち、本来主流となるべき6800Uや6600Uが姿を現さないのは、Intelへの対抗としても些か時期を逸しているように思える。
AMDからしてみると、サーバ用途の方が主戦場と捉えているのかもしれないが、Ryzenは昔からローエンドやモバイルにあまり力が入っていないように見受けられるところがあり、折角良い製品を持っていても、非常にもったいないと思えるような結果にしかなっていないところがある。
実にもったいない。
製品としては、Ryzen 6800Uも6600Uも発表はされているのだから、何とか市場にもっと出回って欲しいところなのだが、これらを搭載した製品が潤沢に出てくるのはいつ頃になるのだろうか?
Ryzen5000と6000
Ryzen5000シリーズと6000シリーズの違いにおいて、一番大きいのは内蔵GPUのアーキテクチャが異なっているというところである。
CPU部分はZen3とZen3+なので大幅なジャンプアップはないのだが、内蔵GPUはVega系からRDNA2系へと変わっている事から、パフォーマンスは1.5~2倍程度になっていると考えられる。
Vega系も決して悪いアーキテクチャではないのだが、GPGPU系の能力を色濃く持つアーキテクチャで、RDNA2はグラフィック系処理に重きを置いたアーキテクチャと言われている。
それ故、通常使う分にはRDNA2の方が絶対的にグラフィック処理に優れている為、そのパフォーマンスに大きな差が付いてしまう。
もしマイニングとかするのであれば、Vega系でも良かったのかも知れないが…APUでマイニングというのもどうかと思う。よってAPUとしてはVega系よりもRDNA2の方が絶対的に向いていると言える。
それだけに、Ryzen搭載の軽量薄型ノートPCにおいて、Ryzen 6000シリーズの登場は待ち望まれているワケだが、それが出てこないというのが今の状態。
詳しい話をすればもっと違った言い方や解釈になるのだろうが、簡単に言うと、こんな感じである。
AMDが軽量薄型モバイルPCの市場において、Intelに一石を投じる事ができるだけのスペックを持っていると言えるだけに、今のタイミングで製品が出てこないというのは、とても残念な話である。
…というか、近々出てくるのか?
Ryzen 5000系の唯一の利点
前述したように、Ryzen 5000シリーズのAPUにおいて、その内蔵GPUのアーキテクチャはVega系である。
Vega系である、という事は、その唯一の利点と言えば、もうFluid Motionしかない。
性能的にもRDNA2は上回るし、GPGPUの性能にしても今は恐らくプログラム的にRDNA系アーキテクチャでも性能が出るように組まれていると考えられるので、ホントに利点はFluid Motionぐらいしかないと思う。
ただ、この動画を視聴する、という一点でVega系を選ぶというのはアリかもしれない。
今後、この機能は徐々に終息して行くことは間違いない。AMDの新しいコアは間違いなくRDNA系アーキテクチャもしくはそれ以降のものを搭載してくるからだ。
だから今のウチに…という判断ができるようであれば、Ryzen 5000シリーズのAPUを選ぶ意味はあると思う。
どちらにしてもRyzen 6000シリーズのラインナップがもっと揃わないとノートPCは依然としてIntel優勢というカタチは変わらないと思う。
AMDも折角省電力型CPUを出してきているのだから、Intelとは幅広いレンジで戦って欲しいと思う。
ただ…価格的に高いと勝負にはならないとは思うが。