家の隣に変電設備が必要なレベルに突き進んでいくというのか?
これはもう民生用じゃないだろ
NVIDIAの次期GPUである、GeForce RTX 40シリーズだが、数多いリーク情報の1つによると、RTX 40シリーズは、450W、650W、850Wの消費電力の製品が存在している、という話が出てきた。
https://twitter.com/greymon55/status/1496509701273833475
もちろん、この消費電力が本当だとしても、それらは限りなくフラッグシップに近い製品と捉える事ができるので、ミドルレンジ以下ではもっと低い消費電力にはなるだろう。
だが、パワーユーザーは性能最優先でパーツを見る。
そうなれば、そうした人達は自ずとGPUだけで450W以上が当たり前の世界へと突入する事になる。
CPUも高性能なものは消費電力が上昇を続け、いまではTDP(そもそも最近はTDPという考え方も変わってきているが)も125Wは当たり前と捉える時代に来てしまっている。
逆にTDP 95WとかのCPUを見ると安心してしまうぐらいの時代に突入しているわけで、如何に最近のPC業界が消費電力に対して麻痺してきたかが見えてくる。
仮にGPUが単体で850Wの電力を必要としたなら、PC全体の消費電力は軽く1,200Wを超え、ちょっとした拡張要素を加えたならば、1,500Wを超えてくる。
日本の家庭コンセントは、おおよそ単体で1,500Wが限界だから、運用するとしたらもうギリギリのところに来る事になる。
電気代も高く付くだけでなく、場合によっては変電施設を隣接させないと安心できないレベルになってしまうなんて心配も、笑い話にならない時代がやってくるかも知れない。
微細化で省電力化できない?
一昔前は、半導体の製造プロセスの微細化が進むと、消費電力が下がり、性能が上がるという時代だった。いや、正確に言うならば、消費電力が同じならば性能が1.3倍にはなり、同じ性能なら確実に消費電力が下がる、という時代だった。
なので、総合的には多少電力が下がり、性能も1割ほど向上、という事が微細化で起きて、半導体の性能はどんどんと上昇していった。
しかし今はどうかというと、微細化が進むと確かに低クロックかが進み、消費電力が下がりはするが、それだと性能が上がらないので、性能を上げるために電圧をかけていくと、結果的に熱が一点に集中してそれを冷却するのに苦労する、という状況が続いている。
しかも、Intelは性能を稼ぐために動作クロックの引き上げを執拗に実施し、性能的にはAMDを超える事ができたが、その分発熱と消費電力を犠牲にしてきている。
今やCPUやGPUが80~100度で運用されるのは当たり前、という時代といっても過言ではない。
だが、一方で一定の性能さえあれば十分という人からすると、ローエンドかつマルチタスクなコアでの運用を目指しても、TDP 65W以下という構成で作り上げたPCでも性能的には十二分で、ノートPCなどでは28Wどころか15W程度でも十分な性能が出せる時代にもなった。
問題は、ハイパワーを必要とする事とそうでない事の境目にあり、それはCPUだけでなくGPUも同じだという事である。
技術開発の方向性
最近のPCパーツは、とにかく高性能化の為には電力消費を増やしてでも性能を引き上げ、それによって発熱が大きくなっても水冷でも何でも使って冷却すればそれで良い、といわんばかりの方向性に私は見えて仕方がない。
おそらく、ほとんどの人はそうした大消費デバイスによる高性能よりも、ワットパフォーマンスに優れた製品の方が必要だと感じているように思うが、何故かメーカーはそうならず、とにかくライバルに勝つには絶対性能を引き上げろ、というスタンスで新製品を出してくる。
確かに絶対性能はその効果が簡単に見て取れ、インパクトもあるのだが、実運用という面で見るととても厳しいと言わざるを得ない。
しかし、製品の全てがハイエンドというわけではなく、そこにローエンドまでちゃんと製品展開してくれれば良いのだが、残念だが最近のメーカーはローエンド製品の展開が非常に遅く、ハイエンドばかりが先行する。これが余計にメーカーの技術偏重に見えているのだろう。
多様化する製品要求を満たす意味で、GPUなどはローエンドでもメモリ増量版とかを出す事で、製品展開の幅を稼ぐ事ができるように思うのだが、そういう方向にはいかないのだろうか?
何はともあれ、850Wとかいう消費電力のGPUを受け入れられる人が、世の中にどれだけいるのか、甚だ疑問である。
参考記事:Gaz:Log
https://gazlog.com/entry/nvidia-geforce-rtx4000-rumors-central/