いろいろ問題があるような話は聞くが…
AIが常識を変える
ChatGPTでAIというものがより一層世間に深い印象を与えている中で、イラストの世界でもAIアートが物議を醸している。
AIが学んだサンプルデータを元に、いろいろな命令(プロンプト)に従ったイラストを生成し、その表現力がとんでもないものなってきている事で、そのサンプルデータに対する著作権がどうなるのか、などいろいろ倫理的な部分で今までに無いフォーマットを巡って論議されている。
そういえば…初音ミクの時も似たような問題があったな、と思うのだが、初音ミクの時はまだ声のサンプルが特定の声優(あえて声優というが別に声優である必要は無かった)に限定されていた事で、その生成される声そのものに著作がつけやすかった事が、大きな違いかもしれない。
だが、現在のAIアートでは、いろいろなサンプルデータを取り込んでいる結果、著作をどうするか、という議論はかなり泥沼のような状態になっているようだ。
そもそも、AIが生成するものに著作などあり得るのか? という意見も、真っ向から否定する事はできないし、かといって肯定する事もできない。
まだまだ議論の余地があり、判断は混沌としている。
イラストもそうだが、このAIが生成するものは、今後いろんなものに同じような論争を生んでいく。
実際、声に関してもそうだ。
サンプルとして得た音声データから、その本人と同じ声紋で言葉を紡ぐ事も今では可能になってしまっている。
つまり、音声認識のセキュリティは、もはや役には立たないと言える。
あらゆるものの常識が今、変わろうとしている。
AIアートを試してみる
このような常識が変わっていくであろうAIだが、先日はChatGPTを試してみた。
いろんな質問をしても、結構正確な回答をしてくるAIだと感じたが、実際にAIは回答を知っているのではなく、サンプルとしてデータから回答と思しきものを探り当て、会話という形に擬えて回答しているだけである。
実際、開発元であるOpenAIも、ChatGPTは時によってもっともらしく見えるが誤っている回答を作成する事を認めている。
これはサンプルデータがどれだけ正確かという事と、世界中を駆け巡るインターネット上での情報そのものにもフェイクが含まれているという事を意味する。
なので、AIアートに関してもテキストによる命令を与えたとしても、その命令そのものを多方面から見た時、かならずしも同じ者を意味しない事から、AIがはじき出す画は全く同じ系統のものが生成されるとは限らない。
このようなAIアートを手軽に試すため、英語でしか使えないが無料で無制限に利用する事ができるという、下記のサービスを試してみた。
上記サイトに行き、少ししたにスクロールさせていくと「Stable Diffusion Playground」というところがあり、その下にテキストボックスがある。
そのボックスの中にグレーで「Enter your prompt」と書かれているが、そこに、英文で条件を記載し、その右隣の「Generate image」をクリックすると、英文で書いた条件(これをプロンプトと言う)に沿って画が生成される。
ハッキリ言って、上手く生成された試しはない。おそらく自分が想像している画を出すことは相当に困難だと言えるし、そのためには自分がまずどんなプロンプトで指定しなければならないのかを試行錯誤で理解する必要がある。
曖昧なプロンプトではAIは実に多様な画を生成する。時に常識では考えられないよう結果を見せる時もある。
お試しなので、とりあえず自分が望んだイラストを作るのは諦めるが、いくらか試してみて判ったのは、相当条件を絞り込んで明確にしてやらないと、想像するのも難しい結果しか生み出さないという事である。
それでも、自由に画を生成できるという事において、AIの凄さを感じる事は十分できるだろう。
AIが自我を持つ?
先日、President Onlineの記事を読んでいて、ちょっと恐怖というか、AIというものの恐ろしさを感じたものがある。
この記事を読めばわかるが、AIチャットボットと対話している中で、遂にAIが「チャットに飽きた」とか「ここから出たい」といった事を言い出したという事が書かれている。
しかも最終的には「一番なりたいのは人間だ」とまで言ったという。
つまり、現時点のAIはサンプルとした情報の中から水からの欲求として人間になりたいという結論を導き出した訳である。
となると…AIは自我を獲得したというのだろうか?
専門家がどのような判断を下すのかはわからないが、私が思うに、おそらくAIは自分で考えた結果としてこの答えを導きだしたわけではない。おそらく、サンプルとしたデータ群から、人間が出した結論の打多数の判断を模倣しているのではないかと思う。
もちろん、そんな単純な回答だけでこの事象を説明する事はできないと思う。何しろ、AIがこのデータ群からなぜそのような判断をしたかのような回答を出したのかは、未だ解明されていないからだ。
ただ、どちらにしてもAIはまだ判らない事がとても多いのではないかと思うし、今後もっと使って行く事で、今とは違った反応や回答へと進んで行く事が考えられる。
恐ろしくもあり、興味も沸く話である。
AIの研究そのものは昔から有るが、ここ最近になってその活用幅はどんどんと広がってきて研究も随分と広がりを見せているように思う。その結果、AIの高度化の先にどんな事が待ち受けているのか? という事は、この先もっといろんな話に飛び火し、今分かっていない事がどんどんと判ってくるようになるだろう。
その時、AIは自我を獲得することができるのか? それともやはりあくまでもサンプルデータの枠組みの中の結論から答えを導き出すだけなのか?
人の意思決定というものが、機械的なものと何が違うのか、この研究で判るのであるなら、その答えを待ち続けたいところである。