今日、知人宅に無線LANを設置する手伝いをしてきた。
BUFFALO製の“WHR-HP-GN”というルーターで、価格改定後の標準価格は5,300円。
ルーター機能としては手堅い仕様でスイッチングハブ部は10/100MbpsのLANポートを4つ搭載し、無線LAN機能としてIEEE802.11 b/g/nを搭載、最大150Mbps(理論値)の無線通信を可能とする製品である。
価格から考えるとまぁイイ感じのルーターではないかと思う。
で、このルーター、BUFFALO製品という事で、簡単にセットアップできるPC用ツールとAOSSやWPSによる簡単無線LAN設定が可能な機種。
当然、初心者でも問題なくセットアップできる製品として売りだされている。
しかし…この製品に限らず、最近発売されているルーターは本当に簡単にセットアップできる仕様になっているのだろうか?
まず結論から言うと、ある程度PCの設定が自分でできる人にとっては、多分簡単にセットアップできる製品だと思う。
問題は“ある程度PCの設定が自分でできる”という事。
つまり、このルーターの設定は簡単にできたとしても、問題はそのルーターを使用する為のPCの設定ができるかどうかで簡単かどうかが決まると言える。
今回私が手伝いに行ってきた所では、ルーターの設定はマニュアル通りにおそらく出来ていたのだろうが、PC側をあわせる設定で止まってしまっていた。これは何も使う側に非があるわけではなく、要するにルーターだけ使用可能状態にしてもうまくいくとは限らない事を意味している。
そして機能のほとんどを自動設定にしてしまう事で、勝手に設定されてしまう部分で不具合が出てしまった時、果たしてマニュアル通りに設定している人がその不具合に対処できるのか? という所にも問題は残る。
PSPなど、最近はネットに直接つなげられる無線LAN機器が増えているが、そういった機種はほとんどの場合通信チャンネルは固定になっている。だが、ルーター側は有効なチャンネルを割り当てようとチャンネルを切り替えたりする事がある。そうなったとき、無線LAN端末はチャンネルを失って通信遮断なんて事があるらしい。これは自動設定にしているがゆえの問題であり、そこまでの対応をマニュアルだけでは補完する事ができないという事でもある。
今回、私が設定したとき、そうした簡単設定は一切使用しなかった。
しかもBUFFALO製の設定ツールすら使わず、ブラウザから直接ルーターにアクセスしてルータの設定をしてしまった。
BUFFALO側としては、設定ツールを使用する事でより簡単に自動設定できるようにしているのだろうが、そうした設定ツールは結局はユーザビリティを固定してしまう事で自動設定してしまうだけにとどまり、結局問題が起きたときそれら設定ツールで対処できる事は総じて少ない。
最終的にはブラウザで直接ルーターにアクセスして、細かい設定を見ていくしかないのが実情だ。
ならば、最初からブラウザ上のメニューを工夫した方が良いのではないか? と思ったりする。
個人的に、わからない人の為にすべてを自動設定にするのではなく、通信設定の意味を理解しやすいように誘導するマニュアルを準備する方が良いのではないか? と思ったりする。
私が初めてルーターを買ったときは、まだそんな簡単設定なんてものはなかった。
一つ一つメニューを詰めていき、自分でセットアップしていった。
NTT-MEのMN8300Wの時ですら、自分で自宅サーバを公開すると時に、GapNATなんて今まで使ったことのないものを使うため、わからないながらも一つ一つ設定していった記憶がある。
だが、その設定した実績が今に生きているのも事実で、今では大体のものがマニュアルなしで設定できる。
もちろん得手不得手があるため、万人が理解できるとは考えにくいが、ほとんどのケースで大体の人は説明さえちゃんと分かっていれば設定できてしまうのも事実だったりする。
どうもこのあたりの考え方がBUFFALOは特にアメリカンで、よく言えばユニバーサルデザインっぽい考え方、悪く言えば分かる人にだけ便利に使えればあとは簡単に済ませてしまえばいい的な考え方、と言える。
私も最近ルーターを新設したばかりで、設置したのはNECのAterm WR8700Nイーサネットコンバータセットだが、こちらは専用の設定ツールも付属しているが、簡単設定マニュアルにはそれらのツールを使っての説明はなく、ブラウザでメニューを立ち上げる説明が書かれている。
もちろん、らくらくネットスタートやらくらく無線スタートなんていう機能も付いているが、それらを使用するとしてもすべてはブラウザのメニューで行う事を推奨しているような作りになっている。
この使用するツールを減らしていくという行為は私的には実に好ましく見える。
コレの設定をするために専用設定ツールがあり、また違うものを設定するために別のツールを…なんていうのは非常にナンセンスだ。
何をもって簡単設定か? という事を今一度見直す必要はあるのではないかと思う。
というワケで、今日はとりあえず違うルーターの設定をしてこんな事を感じた。
使用する人の熟練度にもよるが、一部ではまだ敷居が高いのがこうしたPC関係の設定部分だという事を再認識すると共に、そうした設定から開放される日が本当にくるのか? という事に疑問を持った。
Appleは昔、一番最初のiMacを売るときに「iMacなら3つの行動で即ネットに繋がる」と説明していた。
もちろんコレは宣伝文句以外のナニモノでもないわけだが、そういう時代が本当にやってくるのか、私には未だ疑問に思えてならない。
まぁ、PCの設定含めて本当に何の問題もなくすべてが設定できる世の中になってしまうと、確実に職を失う人たちが出てくるわけで、そういう意味ではすべての設定が自動になる日は永遠にこないだろうなと思ったりする。
つまり、PC関係がこうした複雑な設定となった事で新しい職業が生まれたわけであるから、これも一つの経済効果なのかもしれない。
ものは言い様ではあるが…。
最近のMacもそういう傾向が非常に強いです。
箱から出して最初のセットアップでネットとメールを設定できるようになっており、ご丁寧にMobilemeの申し込みまでできるようになっておりますので、何も知らない人は金を払ってそれをつかっとけっていう感じですね。
なのでサポート現場としてはそこらへんをすっ飛ばして、何もしないで終わらせた上で改めて設定を開始するという・・・
この仕事をしている立場から言えば、この二重構造のおかげで飯がくえている部分もあるので悩ましいですねw
返信
たしかにサポセンの人たちは難しい設定がある事で仕事になってるから、こういうのは必要悪みたいなものじゃないかと思う(悪というのは言い過ぎだけど)。
そして時々思うのは、私の場合、今の仕事やってるより、こういう仕事をする方が向いているんじゃないかと(爆)
専門職ではないけれど、昔からいろいろ触ってるからある程度は分かるんだよね…これまもた悩ましい事だw
返信