先日までRadeon RX 480の話ばかりだったが…。
GP106
NVIDIAからGeForce GTX 1060が発表となった。
従来のGeForce GTX 960の後継機として発表されたモデルだが、その性能は旧モデル980に勝るとも劣らないと謳っている。
価格は249ドルでNVIDIAのFounders Editionは299ドルと、たしかに1070よりは安い設定になっている。
ちなみにFounders Editionは日本国内ではそのままで購入する事はできない。NVIDIA.comの直販限定という事なので、購入するには何かしらの別手段が必要になる。主な性能としては、CUDA Coreが1,280基、ブーストクロックが1.7GHz、メモリは6GHzのGDDR5になり、その転送速度は8Gbpsになる。メモリバス幅は現時点では192bitと推測されるが、公式には発表されていない。
また、ブーストクロックを1.7GHzとしているものの、NVIDIAでは2GHzくらいまでは可能だろう、という事である。もちろん保証外の話ではある。
その他のスペックとしては、外部電源が6ピン×1、TDPは120w、インターフェースとしてDisplayPort1.4×3、HDMI 2.0b×1、Dual Link DVI×1という校正になっている。
搭載されるコアは、もちろんPascalアーキテクチャベースのものだが、GP106というGP104をさらに小さくシュリンクしたコアを採用している。
このGP106の制限なのかどうかは不明だが、現時点でSLIには非対応である事が確認されている。
エネルギー効率2倍と謳うミドルレンジクラスのビデオカードだが、
価格帯性能比
私がこのGeForce GTX 1060で最も気にするのは、その価格である。
249ドルと言えど、日本で発売されるとなるとこの価格帯なら間違いなく2万円台半ばから後半に突入する事になると思う。今の円相場から考えればその可能性も十分考えられる。
1070の価格が5万円台後半から6万円台半ばである事を考えると、約60%くらいの価格に収まる事になる。
性能でいうと、1070は旧970との性能差で約1.7倍の性能を持つと言われていた。1060は旧980と同等の性能とすると、価格差と性能差の比較で言えば、若干1060の方がコストパフォーマンスが高い事になる。これはある意味喜ばしい事である。
また、直接のライバルとなるであろうRadeon RX 480と比較すると、これはもう性能的に考えて圧倒的に1060がその上を行く事になる。Radeon RX 480は性能的には旧970レベルであり、それでいて消費電力も970比で若干有利という状態だからだ。ただ、価格に関してはRadeon RX 480が8GBモデルで229ドルで、日本だとそれが32,000円台からとなっているため、いくら円高傾向にあるとはいえ、意外に日本市場では1060も高値で販売される可能性がある。
それでも、NVIDIA側は明言していないが、直近のライバル製品に対して性能は15%、電力効率は75%高いと主張しているらしい。つまり、性能比だけで言えば1060は980程度だという事をココでは暗に言っていると言えるし、同じ微細化プロセスでもAMD製よりもずっと電力効率が高いという事を言っていると言える。
なので、今現時点でGeForce GTX 960以下のビデオカードを持っている人からすると、リプレースする価値は十分あるかもしれない。何しろ、消費電力据え置きで性能は2~3割増し程度と言えるからだ。
快適なゲームのために
新プロセスによってビデオカードの市場が塗り替えられ始めた。
今までのものは価格が高すぎて、対象となる人が少なすぎる傾向にあったが、これで新プロセスによるビデオカードの裾野はずっと広がる事になる。
これで恩恵を受ける事のできる人が増えれば、PCゲームはより表現力を増したものに変わっていくだろうし、また今はそういう進化をPC分野も進めて行かなければならないと思う。
特に今年はVR元年と言われるほど、PlayStation VRによって一気にVRが話題を集めた。AMDの主張ではRadeon RX 480でもVRの映像を扱えるとしているため、性能的には1060でもVRは実現可能という事になる。
今回発売された1060にしてもRadeon RX 480にしても、そのコアはFinFET(マルチゲート)を導入したプロセスで製造されているワケで、それが一般化する事で、従来の性能を凌駕する環境が広く普及する。これでようやくVR環境がより一般化するわけで、業界としてもぜひそういう環境が根付きやすい動きをしてもらいたいものである。
ま、そのためにはやはり何と言っても価格を抑えて行くしかないわけだが…ハイエンドがもう少し安ければねぇ…。