東北地方太平洋沖地震で、東北地方が壊滅状態となった今、日本の製造業は著しい危機に瀕している。だが、実のところその危機は東北地方に限った話ではない。
むしろ、国際競争力を問われる大企業は、東北地方から部品などの供給を受けていたケースが多いため、その影響はかなり大きい。
特に電子部品関係は致命的とも言える被害らしく、そういったOEMの仕事を東北地方がまかなっていた事に問題がある事を露呈した形となった。
私がつとめている金属切削業にしても同じで、東北地方に依頼していた部品を別の所で調達できないかと、いろいろな企業から問い合わせが来ている。
だが、全体の生産力は変わらない…というか、計画停電で以前より落ち込んだ生産力で、さらなる仕事を請けきれるかというと、さすがにそれは無理。
じゃあ東北地方以外の製造業は仕事が安泰なのかというと、実はそうでもない。
東北地方に社屋を構えた一部の企業では、その損害から計画していた生産を縮小する動きが見えるからだ。日本のメーカーの製品で納期通りに製品が納品されないのであれば、日本メーカー以外から購入する…そんな外国企業がいるのも事実なのである。
こんな状況なので、日本の製造業は東北地方のみならず、末端の工場レベルでも全国的に不安要素を多分に抱えている。
じゃあ、外国企業は影響を受けていないのか? というと、それは大きな間違いで、日本からの部品供給が止まってしまった事で、工場の操業を停止する企業もある。
ここから見えるものとして、日米の競争力に大きな差がある姿が垣間見える。
震災でわかった日米の競争力格差 – Newsweek
http://bit.ly/fX8FbD
この記事では「90年代にアメリカが日本に経済的に勝利したという考えもまた、実際には神話に過ぎなかったことが明らかになりつつある」と報じている。
詳細は記事を参照してもらうとして、どういう事かというと、日本からの部品供給が止まってしまったため、米国GMの工場が閉鎖する事となった、というもの。
しかもそれはGMだけの話ではなく、他でも操業停止の危機に瀕しているというのである。
つまり、製品メーカーとしての日本は依然として苦しい戦いを余儀なくされたとしても、部品メーカーとしての日本は圧倒的な強さを見せていた、という事である。
この記事にも書かれているが“アメリカが被災しても世界は困らない”というのである。
もちろん、それは言い過ぎかもしれないが、少なくとも日本が被災した事で、世界中に問題が波及しているのである。
1億2,000万人の島国。
第二次世界大戦の後、著しい復興と共に歩んできた日本は、気がつけば世界になくてはならない国になっていたのである。
これは日本人として純粋に誇りに思っていい事ではないだろうか?
そして今現在被災地となった東北地方が、全世界にそのような影響を与えている事を考えると、東北地方は全世界に必要とされている地域という事ができる。
復興にどれだけの時間がかかるかはわからないが、少なくとも、世界を動かしていた人たちが住む街である。
かならず復興するだろうし、そこから這い上がってきた人々は今よりもより強くなって帰ってくる。
特に被災に遭った学生は人として大きく成長しただろうし、これから先は被災していない学生よりも圧倒的に気概に富んでいる事だろう。
今、真・三國無双6をプレイしているので、ちょっと三國志の話に触れてみるが、曹操が言った言葉にこういうものがある。
「神よ、我に百難を与えよ」
これは百難を乗り越える事でより大きく成長する事を意味する。
別に百難でなくてもいいのだが、困難は人を成長させる。
それが人災であれ、天災であれ、人はそこから這い上がってくる時に成長する。
だから被災地以外の人も覚悟しなければならない。何れ、東北地方の人たちに自分たちの存在を脅かされる日が来るかもしれない。
もちろん、東北地方の人たちは脅かしたりといった事はしないだろうが、それぐらい“人として差が付いてしまう”という事である。
だから、日本全体が気を引き締めなければならない時になった、と言える。
より強くなるため、一丸となるキッカケが震災だったと言えるかもしれない。
日本全体が、今また試されようとしている。
第二次世界大戦の後と同じように。
日本は今よりもっと強くなって帰ってくる。それだけの気概を持ち、それだけの知恵を持っている。
こんな国民性の国は世界にまたとない。
そんな日本人である事を私は幸せに思い、誇りに思っている。