東北関東大震災(名称が変わった?)によって、東京電力福島第1原子力発電所が放射性物質漏洩という事態になった事に関して、欧米各国からの支援の一つとして原子力災害に対応できるロボットが投入されている。
が、このロボットを日本が有効に活用できていないらしい。
というのも、日本には事故を想定したロボット運用のノウハウがない為であり、政府や東京電力がこうした災害に対してのロボット政策(対策)を怠ってきたためだ、と批判が上がっている。
私個人としては、日本ほどロボット先進国はないと思っていたのだが、言われてみれば、たしかに災害や有事の際に活用される日本製ロボットというのをあまり見たことがない。
もちろん、災害時にひっくり返っても問題なく活動できるロボット、みたいなものを研究開発している事は知っていたが、結局それらはASIMOから比べても認知度が低く、また福祉などに使われるロボットから比べてもあまり知られていないと思う。
結局、日本では二足歩行ロボットばかりが脚光を浴びていて、その技術力は確かに凄い物があるのだが、有事に活用される、二足歩行に限らないロボットというのは、あまり力が入っていなかったという事だろうと思う。
写真は…数年前(もう十数年前になるか?)に、ネット上で話題となった中国製ロボット(の予想図)で、名を「先行者」という。
まぁ…知っている人はどれぐらいの話題性だったのかはよく覚えているだろうと思う。このロボットのおかけで、ネット世界で話題になった人もいるくらいだ。
この先行者、登場当初は日本のASIMOに対抗してきたロボットという位置づけだった。
もちろん、この先行者は実際には下半身しか作られておらず、上半身はただ取って付けただけというものだったようだが、中国では日本を超えるべく開発をしていたのも事実。
その後どうなったのかはわからないが、もし日本だけを目標に開発しているというのならば、ひょっとしたら中国も向かっている先は同じという事かもしれない。
その観点から見ると、中国は今の日本から学ぶことがあるだろうと思う。
二足歩行ばかりに気をとられてはいけないのである。
ロボットは本来人がやってきた危険作業を代行する手段としては実に有効なデバイスだろうと思う。
それがリモート操作で動くのか、それとも自律動作するのかは、目的や用途によって変わるだろうが、人の手が入りにくい所含めて、人の代行となる存在である。
日本では、サポートロボットの側面ばかり取り上げられた感じがあるが、欧米ではそもそも二足歩行は合理的でないという観点から多足歩行型が多かったように思う。
それが結果として災害時の対策メカになったワケだが、その運用の中には軍事目的から派生したものも少なくない。
米国では無人戦闘機の案などもあるぐらいだし、多分それは欧州でも同じだと思う。
人が死なない代理戦争。
もっとも、間違ってはいけない方向性だと思うが、ロボットという存在はそれを可能にしてしまう。
だが、そうした考え方から生まれたロボットが、災害時に有効活用できるというのは、ある意味救われる話だと思う。
日本はロボット先進国なのは間違いない。
ただ、それは人の代行となる危険作業をする分野ではなかった。
この災害から学ぶことは非常に多いが、もう一つ増えたとするならば、まさしく危険作業に関してのロボット運用という事ではないかと思う。
医療、福祉、娯楽だけでなく、もっと産業の根底に根付いた危険分野にこそ、ロボットの可能性を見いだして欲しいと思う。