ここ数日PlayStation Vita(以下PS Vita)の事を書かずにいたが、そろそろ私なりに感じている事を書いていこうと思う。
世間では概ねPS Vitaの評価は高い。持っているインターフェースの多さ、表示される画質の高さ、何よりPSPの延長上にある事で明確になっているPS Vitaのポジション。どれをとっても明確に分かる要素であるし、スマートフォンや他機種との棲み分けもちゃんとできている。
そういう意味では先行しているニンテンドー3DSよりも好印象になるのは仕方がない。私は個人的にニンテンドー3DSを入手しているが、ニンテンドー3DSは立体視という要素以外にもDSからの強化点はいろいろあるが、それがほとんど目立たない。あえてそうしているのかは分からないが、立体視ばかりが注視されたといってもこの流れはマイナスにしかなっていない。今、ニンテンドー3DSを買おうという人は、このマイナス要素を飲み込んでいるか、気づいていないかだと思う。
PS Vitaはまだ未発売ではあるものの、E3での発表を見る限り、そうした弱さを感じない。存在感だけでもそうなのに、それを決定的にしたのは発表された価格だ。ニンテンドー3DSが25,000円という設定に対して、PS VitaはWi-Fiモデルで24,980円とほぼ同じ価格が設定された。恐らく、PS Vitaが発売されればそう遠くないウチにニンテンドー3DSは値下げせざるを得なくなるだろう。
この価格設定、大きくコスト割れしているのか、というとそうでもないらしい。
西田宗千佳のRandomTracking – impress AV Watch
PlayStation Vita 24,980円の勝算と新市場対応は?
この価格設定を可能にしたのが、ハードウェアを汎用品で構成した為である事は言うまでもない。初代PSPやPS3のように強烈な個性を打ち出すカスタムチップを開発せず、既存品のチップを使用することで開発コストを押さえ、さらにソフトウェア開発を容易にする事でサードパーティの参入の敷居を低くしているのは初代PSPには見られなかった形だ。
もちろん、このやり方にも問題はある。搭載しているARM A9のコアがあと2世代も進化してしまえば、それを搭載したスマートフォンの方が性能的には優位に立ってしまう。
そこから考えられるのが、今回のPS Vitaは、半導体的優位をもってビジネス展開していくのではなく、アイディアとソフトウェアをもってビジネス展開していくという事である。
ある意味、この部分はニンテンドー3DSに通じる部分でもある。
と、ここまでは他の記事でも書かれている事。
ここから私が感じた事を書いていこう。
今回のPS Vitaには有機ELパネルが使用されている。有機ELパネルはSonyが力を入れている表示デバイスであり、その画質の高さには定評がある。有機ELパネルが綺麗に見える最大のポイントは、液晶パネルと違って有機ELそのものが色を発色するところにある。液晶はどうしてもカラーフィルター越しの色合いなのに対し、有機ELは色づけされた素子そのものが光るため、鮮やかさに明確な差が生まれる。
そういう意味ではプラズマディスプレイよりも鮮やかに見えるのではないかと思うが、問題はその耐久性と大きなパネルを作る事にあると言われていた。
画面の大きさという面ではPS Vitaは5インチワイドであるため、問題とされなかったのだろう。耐久性に関しては、Sonyが幾度となく実験して既に市販化されたテレビがあるため、そこから搭載しても問題ないと踏んだのではないかと思う。
個人的には、この有機ELパネルを採用した事はとても大きいと思っている。
鮮やかさという面でコレを超えるデバイスは今の所ないのではないかとさえ思っている。
そして、PS Vitaに採用される事で有機ELパネルそのものの製造コストが今後安くなっていくことを期待したい、とも思っている。今まであまり大きく市場に出てくることのなかった有機ELパネルが多数使われる事で、有機ELパネルのテレビが液晶テレビ市場に乗り込んできてくれることを願っている。
それと、PS VitaはUMDドライブを廃止した事も個人的には評価したいところ。
UMDデバイスはコピー対策にはなるが、容量的には既に優位ではないし、消費電力的にも有利とは言えない。既にROMの容量がそれ以上をカバーできる環境にあるため、それを使わない手はない。また、UMDドライブを本体に持たせない事で筐体内のスペースに大きな空きができるのもポイント。メリットしか浮かんでこないぐらい、UMDは時代とかけ離れた存在になってしまった。それを廃止したのは当然の結果という事か。
あともう一つ。
今回、PS VitaはPS3では力を入れている3D表示に対応しなかった。これは個人的に大きく評価したいところである。
ニンテンドー3DSのキモとなるポイントを否定する事になるのだが、立体視液晶パネルを搭載するより、有機ELパネルを搭載する方がメリットが大きいと私は考える。
もちろん、有機ELパネルに立体視可能なものが出てくればまた違った事を考えるかもしれないが、現時点では立体視は不要だと思っている。
ニンテンドー3DSの立体視は確かに珍しさはあるし、立体的に見える所に魅力があるのだが、立体視ならではのデメリットもある。それが視点距離である。
モバイルデバイスは、基本的にほとんどの人がかなり目と近いところで見ているのではないかと思うが、ニンテンドー3DSは立体の度合いを最大にしたときに、目から30cm以上は離さないと綺麗に見えない。もう少し近い距離にしないとほとんどの人は視点が合わないのではないかと思っている(もちろん私も同じ)。
そうした各個人の視点距離をいろいろ考慮するよりは、スッパリ3Dを切り捨て、より鮮明な画質を求めたのは大正解だと思う。
その分、今までにないインターフェースで臨場感を出していくというスタイルは、現時点では大きく評価したいポイントである。
とまぁ、まだ発売前であるため、この程度しか感じる事は出来なかったワケだが、実際に実機を見たりするとまた感想は変わるだろうと思う。
見た人の反応を見ると、その質感の高さもかなり高評価になっている。iPhoneや初代PSPの質感の高さ、と言えるようだ。たしかに初代PSPはかなり質感が高かった。
そうしたポイントを総合的に見て、PS Vitaは期待して間違いないデバイスになりそうである。
あとはローンチタイトルが気になる所。
ニンテンドー3DSはこのローンチタイトルで失敗しているだけに、気にしたいポイントではある。
私はゲーム機を買うとき、ソフトで選びますが、VITAはとりあえず本体が欲しい!って感じました。現PSPのダウンロードタイトルはそのまま動くらしいから、全くするものがない訳じゃないし。
なので、予約開始したら飛び付く予定です。
3Gのキャリアがどこになるのか気になるけど、買うのはWifi モデルですかねー。
それにしても、流行りの3D描画を切り捨てて高画質にこだわった点は、私も素晴らしい決定だと思いました。左右アナログスティックや背面タッチパネルは慣れが必要かも知れないけど、DSが初めて出た時と同じくらいのインパクトがあるんじゃないかと思います。
まだ先ですが、発売が楽しみです。
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誤解されないように言っておくと、私は立体視そのものが不要とは思っていません。
ニンテンドー3DSの立体視の視点距離が明らかに現実的な距離になっていない事が問題であり、そういう流れならない方が良い、と思っているに過ぎません。
ただ、一方で立体視にしなかったことでより映像が綺麗になるのならば、それは一つの方向性としてアリだと思っています。その上でPS Vitaは、高精細高画質に向かった結果が良かったという事です。
私は金銭的な問題がクリアされるなら、3GもしくはWi-Fiのどちらかを狙いたいです。
3GモデルにはGPS機能が付いていますが、Wi-Fiモデルにはないんですよね。まぁ、GPS機能が必要になるソフトが出てくれば、この差は大きいかな、と。
とりあえず今はローンチタイトルが気になります。
初代PSPの時にも結構寂しい登場だっただけに、その点が気になる所ですが、今回はARM A9を使っている事で、サードパーティには作りやすい環境なのではないかと思います。そこが初代と違う所で、差を付けて欲しいところです。
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