stereo 2013年1月号にUSB DACが付録として付いてくるという話を以前した。
その後、何とか予約しようとAmazon.co.jpで検索を続けたが、なかなか検索に引っかからないという状態が続いていたのだが、先日ようやく商品が登録されたのか、予約できる状態となったため、2冊予約した。
1冊2,800円でLUXMANが設計したUSB DACが付いてくるというのは、ある意味かなりお買い得だと思うのだが、実はコレには裏がある(と思っている)。
今回付属するUSB DAC“LXU-OT2”は2012年1月号の付録であるアンプ“LXA-OT1”と比較しても性能的に残念な部分が多い。
仕様が9月号および10月号で公開されたが、それが以下の内容。
入 力:タイプBのUSB端子
出 力:RCAステレオ端子、ヘッドフォン端子(ミニステレオ)
DAC:16bit/32KHz・44.1KHz・48KHz
使用IC:DAC:バーブラウン(TI)製PCM2704
使用IC:ラインアンプ:JRC製オペアンプNJM4558D
使用IC:ヘッドフォンアンプ:JRC製NJM4556AD
電 源:USB端子より(ACアダプターは不要)
付属品:長さ1mのUSBケーブル
その他:S/PDIFデジタル出力(光、同軸)端子を増設可能
音響好きが何より残念に感じているのがDACの出力上限が“16bit・48KHz”という所。これは交換可能なオペアンプがラインとヘッドホンのアンプ部だけで、DAC部は交換不可という所からくる制約だと思われる。
音響好きなら24bitデータの再生が欲しかったところだろうし、残念な気持ちも分かる。だが、2,800円程度のDACでそれが出来てしまうと、世の中のDACの価格と釣り合わなくなる事は容易に想像が付く。
初秋に発売された“DigiFi No.7”のUSB DACも同じ出力特性だった事を考えると、どのメーカーもこの辺りに落ち着けるしかないのかもしれない。
この仕様を考えて不要と言い切ってしまう人はそれで一つの選択肢だと思う。ただ、私はそれでも2,800円で買える入門用DACとしては十分かな、と思う。
おそらくこの“LXU-OT2”というUSB DACは“LXA-OT1”と合わせて使用する事を前提としているように思う。RCAステレオ出力を“LXA-OT1”に繋ぎスピーカーを利用するとすれば、音はもっと良くなるだろうし、唯一、16bit/48kHz出力がダイレクトで影響するのは、ヘッドホン出力という事になる。
stereo誌は今までもスピーカーユニットを付録としてきているから、利用の中心をスピーカー出力と定めたのではないかと思うワケである。
なので、そういったある種の割り切りがないと、このUSB DACはあまり意味のある製品とは言えないと思う。
私がそれでも意味があると感じるのは、オペアンプを交換して音の変化を楽しんだり、電子工作に挑戦してみようか、と思う人々にとっては価格から考えても大きな冒険にならない製品だ、と思うからである。
あくまでも入門用。
それで割り切れば、実に遊べるDACなのではないかと思う。
私は2冊予約したが、それは“LXA-OT1”を2個持っているから。1個は現在使用中で、2個目は電子工作のバックアップ用として保存中である。
まだ電子工作を進めていないが、今回の“LXU-OT2”も交換できる部分があればいずれ挑戦する為にも、2個あれば憂い無し、という判断である。
仕様性能と比較して高いとみるか安いとみるかは完全に個人の思惑によって変わるものだけに、万人にお勧めはできないが、手軽に安価にDACが欲しいとか手始めに入門用としてと考えるのであれば、最適解の一つではないかと思う。