昨日、財務省が国際収支速報を発表した。
東日本大震災から減り続けた経常黒字が比較可能な1985年以降最悪の3兆3千億円になったらしい。
日本、ダイジョウブか?
日本は資源を持たない加工貿易国…というのは、高度経済成長期の頃から言われ続けてきた事である。
資源を持たないから、資源を輸入し、加工して輸出して稼ぐ。この図式で成り立ってきたワケである。
だが、今までも輸入増で収支が減る事は幾度もあっただろうが、東日本大震災以降はその輸入額がハンパなく増加し続けている。理由は単純で、原子力発電に頼れなくなった反動で、火力発電用の燃料を大量購入したりしている事がその最大の原因である。
この経常黒字減少から脱却するには、単純に貿易黒字を拡大させれば良いというだけの事なのだが、世界的な競争を繰り広げる中、いくら円高が一時期から比べて改善したとは言え、持ち直すのは相当難しい話である事は、ある程度時事問題を周知している人であれば解る話だと思う。
そんな中、あの震災を受けた後の日本人であれば、大多数が「脱原発」を掲げたい話だろうとは思う。私だって本当はそう言いたい。
だが、生活レベルを下げずにかつての電力を確保する事は非常に難しい。安易な話でいくならば、原発を再稼働させたいというのは、利権にまみれた人たちだけでなく、一部のエネルギー問題に直面している人達も、多分同じ事を言うのではないかと思う。
そして今回東京都都知事選を制した舛添都知事は、原発再稼働派に名を連ねるワケだが、結果的に原発は再稼働し、一時のエネルギー問題は一時的に解決の方向に向かうだろうとは思う。
だが、これが本当に良かった事なのか? と聞かれると、半分くらいの日本人は「マズイ事だ」と言うだろう。日本は地震大国であり、いつ何時震災に襲われるか解らない。安全を担保した…とはいうものの、原発に地震が直撃すれば、またしても問題が発生してしまう。
この問題が解決できる唯一の方法は、やはり「脱原発」でしかない。
しかし、都知事選の流れを見てもそうだが、日本は全般的に「原発再稼働」を受け入れた事になる。
コレで本当にダイジョウブか?
いや、安全性という意味だけでなく、未来に向けてのエネルギー問題として、である。
淘汰された所から強くなる
私は思う。
日本は今こそ「脱原発」の動きに足並みを揃えるべきではなかったのか? と。
日本はレアアース問題の時も苦難の道を歩む事になった。
中国が輸出禁止したレアアースで、日本の製造業はかなりの痛手を被った。だが、代替レアアース等を見つけ、利用し、それを乗り切っている。
逆に中国は温存していたレアアースが売れなくなり、レアアースを売買する企業が潰れるといった事が起きた。
日本は危機に陥ればそこから立ち上がる為の努力を惜しまず、また新たな道を模索してきた歴史がある。
今回の「原発」問題も、今こそ危機と考え、新たな自然エネルギー開発の足がかりにすべきではなかったのか? と思うのである。
現在日本では、太陽光、地熱、風力、波力と様々な自然エネルギー開発が行われている。一定の成果を上げている研究もあれば、暗礁に乗り上げている研究もあるが、私はまだまだ進歩の途上にあると思う。
特に地熱は自然からどんどんと流出する地熱を利用した発電方法だけに、日本ではもっとも効率を稼げる発電方法ではないかと思う。観光協会と戦う必要があるのかも知れないが、この莫大な自然エネルギーを使わない手はないと思う。
そうした、自然エネルギーへの開発が急務である事は全体が解っている事だが、原発再稼働によって安易にエネルギーを得られる状況になれば、自然エネルギーへの切り替えに対して甘えが出るのは自明の理である。
一筋縄ではいかないだろうが、ここは自ら危機を招き入れ、より研究開発を促進する方が、未来の日本を創り上げる事ができたのではないかと思う。
ま、こんな所でこういう話をしてもどうにもならないのだが、日本人はもっと日本人の能力を評価しないといけないと思うし、期待して良いと思う。
安易な道を辿るより、苦難の道を歩み、進化する。
私はその方がよかったのではないかと、常々思っている。