1995年作のHDリマスター版。
名作とは受け継がれるもの
ロマンシング サガというシリーズがスクェア(現スクウェア・エニックス)から発売されていた。
正式なシリーズ名は「サ・ガ(SaGa)」という名称なのだが、私的にはロマンシング・サガという名称の方が印象に残っている。
「発売されていた」と過去形にしているのは、当時のプラットフォームがスーパーファミコンで展開されていたからであり、その後シリーズによってはいろんなプラットフォームに移植はされていたのだが、ふと自分の過去を振り返るとオリジナル含めて私は何一つSaGaシリーズをプレイしていないという事に気付いた。
名作と呼ばれながら、何故私は本作をプレイしていなかったのか?
すこぶる謎だが、おそらく私はスーパーファミコン時代は相当な時間をタクティクスオウガに費やしており、その他に費やしたタイトルは「ドラゴンクエストV」だったりするので、そのプレイ時間からSaGaシリーズは漏れてしまっていた可能性はある。
どちらにしても、名作とまで言われていたタイトルを未プレイというのは、自分としてはしくじったかな、という気分ではある。
そんなSaGaシリーズの6作目である「ロマンシング サガ3」がPS4/Xbox One/Nintendo Switch/Windows 10/Steam/PlayStation Vita/Android/iOS版としてHDリマスターが本日発売された。
実に8プラットフォームという、現存するプラットフォームの全てに対してHDリマスター版が発売されるという、前代未聞の快挙と言える。
このタイトルがこれだけのプラットフォームにリマスターされたのは、やはり名作と呼べるからではなかろうか。
今回のHDリマスターに際して、グラフィックスを一新、新ダンジョンの追加やオリジナル版では語られなかった新エピソードなど追加しているそうだが、そこも含めれば、旧作をプレイした人にも、再度プレイできるタイトルに仕上がっているのではないかと思われる。
フリーシナリオRPG
本作はフリーシナリオRPGと呼ばれる時がある。
8人の主人公の中から1人を選び、オープニングイベントが終わった段階で、後はプレイヤーの自由になる。どの街に行こうが、どんな冒険をしようが、プレイヤーの思うがままに進められる。
ただ、いくら自由にできるとはいえ、情報を入手しないと街もダンジョンも出現しない。まずはいろんな登場人物と会話して、行動範囲を広げられるだけの情報を入手するところから物語は始まる。
ただ、いくら自由にできるとはいえ、あまりにも自由すぎて「何をしていいのかわからない」という事が起きる人もいる。そういう時は、片っ端からいろんなイベントに飛び込んでいくという行動を取れば良いのである。ひょっとしたら本筋とは関係のないイベントかもしれないが、片っ端から関わっていくことで仲間が増えたり、自分の成長に繋がったりと、いろんな体験ができる。そうして進めていく事で、本筋が見えてくるハズである。
とにかく閃く!
本作シリーズ独特とも言える戦闘システムは、このタイトルで洗練されたと言ってもいいのではないかと思う。
キャラクターにはレベル概念がなく、パラメータは戦闘後にランダム成長し、強敵との戦闘になるほど「閃き」で新技を覚えやすいという特徴がある。伝統を踏襲しながらも、武器の技や陣形などは従来作より充実している。
この「閃き」が最大の特徴でもあり、これがある事で強敵とのバランスを取っている部分もあるのだが「閃き」が足りない戦闘を繰り返すと逆に躓く事もある。
本作シリーズでは雑魚敵との戦闘を繰り返すと、その分だけ敵が強くなる傾向があり、場合によっては詰んでしまうとも言われていたが、本作は従来作よりはこのあたりもバランスが取られているように感じられる作りになっているという。そういう意味では随分と遊びやすくなったと言える。
また、物理戦闘の技が強いというイメージが強い中で、術、つまり魔法は各地の術屋とよばれるところから購入して覚える必要がある。しかも販売している術はしょぼいというか弱いので、術をうまく使って行くというのがゲーム中で難しいのが問題と言える。
しかし、術には「合成術」という合わせ技(合せ術?)があり、やり込めばやり込むほど強くなる部分もある。ある程度プレイがこなれてきて、慣れれば使っていけるので、積極的に使って行きたいところ。
いわゆる1990年代のRPGの中でも結構異色な作りなので、戦闘含めたシステムも変わった部分が多いが、改めてプレイする事でかえって新鮮に感じるのではないかと思う。
受け継がれるべき作品
名作は受け継がれるべきだと私は思っている。
タクティクスオウガもPSP版でリマスターしたが、時代に合わせて時間を戻す事が可能になり、難易度はぐっと下がった感じだった。
時代と共に変化させなければならない部分はあるのは事実だが、オリジナルの厳しさをどこかに残しておかないと、その作品が名作になった部分までをも削いでしまう可能性がある。
そういう意味では、このロマンシング・サガ3は、当時の荒削りな部分が未だ残っていたりするが、それが逆に名作だった所以を感じさせるところがある。
個人的には、他にも受け継がれるべき名作は沢山あると思っているが、当時のテイストを100%伝える事は絶対にできなくても、名作だっただけの理由を残し、その上で作品を残していく事は重要だと思っている。
かつてこんな作品があってだな…というのはあまりにも惜しすぎる。
日本には、コンピュータゲーム黎明期の名作がホントに沢山あり、海外のコレクターが集めているという話もあるくらいである。
そうした黎明期の名作を今の人でも知っている…そんな状況が作れれば、ゲーム業界は廃れる事なく続けていけるのではないかと思っている。
最近は消費者サイドの時間の取り合いになっていて、昔ほどゲームに時間を費やさない人が増えているのも事実だが、その時間を再び奪い返すくらいの心意気で、現代のクリエイターには新作やリマスターに励んで欲しいと思っている。
さて…私は本作に対してどうしようかな…。
やはり未プレイというのは問題がありそうな気もする(-_-;)