3D V-Cache対応版がすぐ後に待ち構えているという可能性。
9月頃に登場予定?
AMDの次期主力CPUである、Zen4アーキテクチャのRyzen7000シリーズだが、噂では今年9月頃には登場するだろうという話が出ている。
正直、年内には出てくるだろうと思っていたが、まさか9月に発売される可能性があるというのは、私としては意外である。
おそらく、前倒しして9月頃に発売するという状況を作っているのだろうと思うが、もちろんその理由はIntelの次期主力CPUであるRaptor Lakeへの布石である。
Intelの次期CPUはEコア数を増大させ、連続稼働するプログラムにおいてより高性能化させる動きを見せると言われている。
その分、Pコア(高性能コア)は性能的には現状維持とも言われていて、唯一テコ入れするのがキャッシュ容量を増やす事で、Eコア数を増やす事と併せてCPUの総合力を高めてくる戦略と思われる。
AMDはそうしたRaptor Lakeの特性を理解した上で対抗策を考えていると思うが、Zen4アーキテクチャの設計そのものはかなり前から決められている関係で、今いきなりRaptor Lakeに性能で対抗するという手段は採りにくい。というか、これは常識的に考えも無理な話である。
なので、AMDとしてはRyzen7000シリーズ、通称Raphaelはできるだけ早い内に発売を開始して先行したい、と考えているのだろうと思われる。
性能的にRaptor Lakeに大きく劣るという事はないだろうが、IPCではIntelに届かない可能性が高い。
次なる一手
で、AMDは次なる一手を打つ事にしたと思われる。
なんと、Zen3ではたった1モデル、しかも数量は限定的とも言われていた3D V-Cacheを採用したRaphaelを早期に発売する、というのである。
Raphael-Xと呼ばれるソレは、登場時期は年内と言われていて、Raphaelが登場してから3ヶ月以内に発売するというのである。
具体的にどの製品の3D V-Cache対応製品が登場するかはわからないが、複数のSKUが用意されるのではないかという話もある。
もし3D V-Cacheでキャッシュ容量が増加すれば、一定のソフトウェアで劇的な性能向上が見込めるというのは、Ryzen5800X3Dで実証済みである。Ryzen5800X3Dでは1つのCCDで64MBというキャッシュ容量を増加させていたので、もし複数のSKUの中にRyzen9 7900X3Dなんて製品が存在していたなら、2CCDなので通常のRaphaelのキャッシュ容量に128MBもの容量が追加される事になる。流石にこれだけの容量となれば、Intel CPUのキャッシュ容量に劣るという事は考えにくい。
だが、本当に3D V-Cacheを搭載したRaphael-Xが年内に登場するのだろうか?
熱問題に始まり、歩留りの問題は大丈夫なのだろうか?
半導体不足
世の中、未だに半導体不足と言われているが、不足している半導体はハイエンド市場に投入されるCPUなどのような半導体ではなく、チップコンデンサを初めとする電源系の半導体や、制御系の半導体と言われている。
ただ、GPUが足りていないという事も事実で、それが原因でビデオカードの高騰が続いていた。だが、そのGPUに関しては、今、多少だが価格は下落傾向にあるという。
理由は単純で仮想通貨の価値が暴落しているから。これでマイニング需要が一気に下火になり、GPUがあまりはじめたのである。
このように、半導体不足の原因を探っていくと、CPU関係は単に生産ラインの問題が中心で、比較的順調に生産される可能性が見えてきている。
といっても、全体的なリモートワークの流れから必要絶対数が延びているので、その影響で入手が難しくなっているというのも事実。
こういう状況下で、IntelやAMDも次期CPUを発表、発売していくわけだから、そこには入手難という状況は十分考えられる。
Intelは自社ファウンドリを活用する事で、その供給量を確保する事が容易ではあるが、問題はAMDである。台湾のTSMCの生産に頼っているところがあるので、TSMCがドン詰まると供給量は一気に下がってしまう。しかもAMDはGPUをもTSMCに頼っているところが大なので、今年の末も供給不足は否めないのではないかと予想している。
何はともあれ、半導体不足のこの状況下で、IntelとAMDは少しでも先を見据えて勝負に出てきている。
消費者にとって良い展開になればそれで良いが、いざ製品は発表したが、供給が追いつかず価格が高騰しました、では消費者がただ無くだけの話になってしまう。
メーカーにはそういった適性な判断を強く求めたい。