NVIDIAがGeForce RTX 30シリーズを発表した。超高価格なGPUが再び登場する事で、AMD Radeonとの差はまた広がるのだろうか?
第2世代RTX
NVIDIAより、GeForce RTX 3090、同3080、同3070が発表された。
価格は、上から順に229,800円~、109,800円~、79,980円~となり、普通の人が手を出せる価格としては、RTX 3070ぐらいかな、と思える価格帯での発売である。
RTXと冠された製品としては2世代目で、汎用シェーダ性能は30TFLOPSとなり、従来機種の2.7倍に達し、RTコアの性能は58RT-FLOPSで従来機種の1.7倍、Tensorコアの性能は238Tensor-TFLOPSで従来機種の2.7倍と爆発的な性能向上となったようである。
特筆すべきは、アッパーミドル向けとされるRTX 3070でも従来の2080 Tiを超える性能を実現しているという事で、最上位たるRTX 3090では8K解像度でRTXエフェクト(レイトレーシング処理を含めたものと思われる)を有効にした状態でゲームプレイが可能なGPUになったという。
また、CPUやメインメモリを介さずに、直接SSDからgameの描画データを読み込む「RTX IO」技術をアナウンスしており、これはMicrosoftのDirectStorage for Windows技術を利用する事でCPU使用率を20倍低減させてスループットを100倍に高められるようになるという。おそらくこれには各所の対応が必要となるので、登場すぐに実現できる機能とは思えないが、それを既に準備している、という事ではないかと思われる。
インターフェースに関しては、PCIe4.0接続となり、8K表示向けにHDMI 2.1にも対応する。
いよいよPCIeもGen 4.0へと広がっていく時代の到来という事かもしれない。
Founders Edition
今回もNVIDIAは「Founders Edition」と呼ばれるNVIDIAのリファレンスモデルを発売する。
冷却機構に拘っていて、18フェーズのPWM電源を搭載しながら基板を縮小、空いたスペースにファンを追加搭載し、カードの底面から吸気し上部へと排気するエアフローを実現する。これにより、エアフローを55%高められ、3倍静かで、冷却効率が30%向上するという。
おそらく、いつもと同じパターンなら、この「Founders Edition」は価格的には多少高めの設定で発売される事になるが、そもそも発売当初は弾数が少ないと予想され、初期には「Founders Edition」しか存在しないだろうと思われる。
一応発売時期としてはRTX 3090と同3080が9月17日、RTX 3070が10月以降という事のようだが、数量が潤沢に出てくるという事は考えにくい。
補足情報だが、半導体の製造はSamsungで行われ、8NプロセスをベースにNVIDIAがカスタムしたものとなるようだ。トランジスタ数は280億で、3090と3080は世界で初めてMicronのGDDR6Xを採用するとの事。
このGDDR6Xでは、250mVの電圧ステップで1サイクルあたり4つの値を転送可能な技術「PAM4」を採用しており、メモリ速度にも高速化が施されているという。
気になる消費電力
また、中核的スペックを説明すると、3090のCUDAコア数は10,496基、3080は8,704基、3070は5,888基となっている。ベースクロックは上位から1.4GHz、1.44GHz、1.5GHzで上位と下位で100MHzの違いがある。ブーストクロックは上位から1.7GHz、1.71GHz、1.73GHzと100MHz未満で微妙に異なっているが、ブーストクロックは1.7GHzあたりの設定で統一しているようである。
メモリは上位から24GB・384bit幅、10GB・320bit幅、8GB・256bit幅で前述したように、3090と3080はGDDR6Xで3070のみGDDR6となる。
こうして見ると、RTX 3080のメモリ搭載量が妙に少なく感じるのだが、これは16GBとかにはならなかったのだろうか?
そして最も気になる消費電力だが…とてもSamsungの8Nプロセスをベースにしているとは思えないレベルである。
上位から、350w、320w、220wと、過去の爆熱時代を彷彿させる消費電力である。
最近のIntelの多コアCPUと組み合わせると、システムのベース電力が600Wを超えるという状況になりそうなだけに、笑い事ではない話なのだが、またしても時代は消費電力に泣かされる時を迎えたのだろうか?
こうなると、AMDのRDNA2アーキテクチャがどれほどの性能で、どれほどのワットパフォーマンスを見せるのかが気になる所である。
NVIDIAと異なり、AMDは台湾TSMCとの関係が深いので、おそらくRDNA2世代のGPUは台湾TSMCによる7nmプロセス製造だと思うが、おそらく電力性能はそうした製造プロセスの違いだけでなく、アーキテクチャ本来の性能も関与してくるので、AMDの底力に期待したいところである。