新年あけて、各社からいろいろな方針が打ち出された。
読めない今後
1月4日(日本時間)より、米国ラスベガスで世界最大のデジタル家電展示会「CES」が開催され、それに合わせて各社がいろいろな情報を公開しはじめた。
Intelは第12世代CoreシリーズのAlder Lakeのモバイル版を発表し、AppleのM1を超える性能と発表したり、それにあわせてAlder Lakeに対応する安価なチップセットを発表したりして、今後の展開幅を広げるビジョンを提示している。
NVIDIAは、GeForce RTXシリーズの「RTX 3050」やモンスターGPUとなる「RTX 3090 Ti」を発表し、今後もレイトレーシング技術をより向上させていく姿を見せている。
AMDはというと、Zen4という新しいCPUアーキテクチャを搭載したRyzen 7000シリーズを発表し、その製造プロセスは遂に5nmへと進化させるという。但し、このZen4搭載CPUは2022年後半を予定していて、当面はZen3アーキテクチャに3D Vキャッシュというダイをスタッキングする技術でL3キャッシュを96MBに拡張したRyzen 7 5800X3Dを2022年春に投入するとして、直近の動きを含めた情報を公開してきた。
いろいろな情報が公開されていく中で、私の今後のメインPCの構築プランも見直す時期にきたのかな、と今は素直にそう思っている。
だが、現状としては結構先が読めないな、というのがホンネ。
何故なのかというと、性能は見えてきていても、それにともなう電力効率がなかなか見えてこないからだ。
時代はハイブリッド?
IntelのAlder Lakeは、ある意味、BigLITTLE戦略を採るARMアーキテクチャのx86版といった感じで、結局のところ、高性能コアと高効率コアの組合せで、その状況に応じた使い分けレで性能と効率の両方を満たすという戦略で構成されたコアである。
ARMベースのApple Siliconと同様の方向性をもったx86コアなワケだが、今後、Intelのこの方向で性能を拡大していく予定なのだろう。
もともと、ARMアーキテクチャの性能とx86アーキテクチャの性能では、電力は消費するもののx86コアの方が性能では勝っているという感じだった。なので効率面ではx86系はどうしてもARM系に遅れはとるとは思うが、性能面ではおそらく上回る事はできる。Apple Siliconの性能が高いのは、メインのCPUを補佐するNeural Engineが絶妙に効いている事で、その性能が高く感じられるが、単純にコアでの処理ではx86系と大きな差はないのではないかと考えられる。
なので、IntelはAlder LakeでPコアとEコアという、性能を追い求めるコアと効率を追い求めるコアに分けて、状況に応じて使い分ける戦略に出た。適切なタスク予約を補佐するスケジューラをこれに組合せ、処理が効率良く行われるようにする事で、性能と効率を両立させたワケである。
Intelがこの方針を打ち出してきたことで、AMDがどうするのかとても気になるのだが、残念ながらまだZen4は製造プロセスがより微細化する事はわかっているが、その内容についてはまだ詳細を発表していない。
なので、メインPCを今後考えていく上で、AMDの方針がもっと明確に出てこない限りは、どちらのプラットフォームで構成すべきか、判断に迷う段階である。
いや、2022年の中頃までに組み上げるなら、現時点ではIntelのAlder Lake一択になるだろう事はハッキリしているのだが。
GPUの混迷
CPUは各社の今後の方針が明確になれば導入コアが決められるのだが、GPUだけは性能云々では決定できない程、その価格の高騰が目立つ。
Fluid Motionが使えない以上、既に私はRadeonである必要性がかなり薄れてしまっていて、あとは価格次第といったところである。
NVIDIAは安価なモデルの投入で、Ampere世代のGPUの拡販を狙う一方、RTX 3090 Tiという化けモノじみたハイエンドGPUを投入する事で市場のハイエンドクラスGPUの価格操作を行うつもりなのかも知れない。だが、実際には普及量から見て価格に変動は起きないだろう。
一方、AMDはRadeon 6000シリーズの価格が下がることなく、また安価なモデルの投入も遅れている現状が厳しい市場状況を作っている。レイトレーシングを使わなければ、ミドルレンジクラスではワットパフォーマンスに優れるRadeon RX 6600シリーズだが、コレより上のクラスを狙えばNVIDIAとあまり変わらない状況になってしまう。
GPUはもっと全体的に価格が下落しない事には、以前のような市場を形成する事はできないワケで、今のまま高騰した状態が続くようであれば、今後メインPCに組み込むGPUはミドルレンジクラスかそれ以下の製品が主力と考える必要があるかもしれない。
私にとって、メインPCの入れ替えで一番大きな変化を与える可能性のある部分がGPUと言えよう。
他にもマザーボードそのものの価格が高騰していたりと、半導体不足が引き起こしている問題は未だに続いている事は間違いない。
全体的な値上げ傾向が改善されないので、メインPCの総額は上がる事はあっても下がらない状況なので、私自身のメインPCの在り方そのものを考え直す必要があるのかもしれない。
自作PCは楽しいが、状況がそれを許さなくなってきている感じがして、何ともツマラナイ世の中になったな、と。