エミュレータなどは、本物が手に入らないとなるとより加速しそうな気がするが…。
エミュレータ登場
PlayStation4、PlayStation5を再現するエミュレータソフト「Kyty」がGitHubにて公開された。
まだまだ開発途上のもので、マトモに動くものとは言えないシロモノで、特にPS5のタイトルに関しては画面を映し出す事すらできない状態である。
動くというPlayStation4のタイトルにしても、限られたタイトルが15FPS程度で再現できる、というものなので、とても遊べるというものではないエミュレータである。
だが、エミュレータ開発の初期であれば、こういった事は当たり前の事であり、動く、という事が重要で、動いてさえくれれば、そこからの発展は可能性がかなり高くなる。
GitHub Kyty
https://github.com/InoriRus/Kyty
PS5 Slim
話をちょっと変える。
エミュレータというソフトウェアでPS5の構造を解き明かすという手法があれば、ハードウェア的に分解して再構成する…それもある意味PS5の解析と言える。
そんなワケで、ハードウェアにテコ入れし魔改造でPlayStation5 Slimを自作する猛者が現れてしまった。
PS5のバカみたいな熱を外に逃がすという事ができれば、薄型化はそう難しい話ではないという事は、原理としては理解できるが、実際にそれを作るというのは難しい話である。
PS5も、中身としてはPCとあまり変わらない構造であるため、マザーボードだけであれば薄い板という事になる。これにAPUが搭載され、そのAPUの冷却の為に大型のファンなどを搭載して、ドンドン大型化していく。
ただ、このファンに関しては数型のファンも存在していて、可能なかぎり排熱効率の高い薄型ファンを搭載してやれば、あとは電源まわりをどうにかすればPS5の厚みはかなり薄く出来る。
今回PS5 Slimを魔改造で作成した人は、冷却ユニットと電源を外付けにする事で、薄さ2cmというスリム化に成功したという。
ただ、本体全体で冷却する関係から、3枚の銅板をサンドイッチして大小2本の水路を作り、最終的には水冷式で冷却する事で実現したという。
水冷PCを検討した事がある人ならわかると思うが、水冷を設計から行うというのは、とても難しい事である。まして冷却ブロックから自作したのだから、その難易度は言う迄も無い。
水冷なので、おそらくメンテナンスも難しいと思われる。なのでSIEが水冷式PS5を発売する事はまずあり得ないが、薄型化されたPS5が登場する可能性は決して低くはない。
ま、その時には主要コンポーネンツの製造プロセスが微細化される事で、発熱そのものを小さくする事から始まるだろう。
x86という開発環境
話をエミュレータに戻す。
ハードウェアを改造する人もいれば、中身にテコ入れする人もいる、という話と考えると、やっている事はあまり変わらないという認識になるかもしれない。
今更だが、PlayStationプラットフォームは、今はもう完全にx86で動作するハードウェアの開発環境となっている。
だからWindows用ソフトウェアの開発に非常に近いところに来ていると言えるが、そもそも開発環境はプラットフォームが全く異なっていても、最近では統合アプリケーションなのであまり困る事はないという。
ただ、似たようなコードで走らせる事ができるようであれば、より開発が楽になる事は間違いが無く、今のPlayStationプラットフォームのゲーム開発はWindows PC用ゲームを制作する状況と親和性が高いと言える。
まぁ、それでもPS5ではメモリの取扱いやグラフィック処理の手法などで異なる部分もあるので、そこら辺をプラットフォーム毎でどのように調整するか、という事は開発環境を作る側の大仕事になるだろう事は予想がつく。
で、ここまでの話をすると、大凡の人も気づくと思うが、Xbox系のゲームも、結局はx86コードで動作しているので、親和性が相当に高いと言える。というか、むしろXbox系の方がWindows PCゲームに近いと言える。
なので、昔のようにハードウェアの特徴を最大限に活かしてゲームを面白く、かつダイナミックにする、というようなゲーム開発は、本体だけを使っている段階ではあり得ないのかもしれない。
SIEが、PlayStation VR2に向けて突き進んでいるのは、まさにこの差別化の一つと言えるだろう。
エミュレータが登場…となっているが、おそらくエミュレータが完成するよりも先に、PS5の生産が落ち着くとは思われる。入手難はまだ続くとは思うが、だからといってエミュレータの完成がすぐに終わるなんて事はありえない。
ただ、完全に行き渡る前にこんな動くレベルのエミュレータが出てきたというのは、前代未聞ではないかと思う。