もしこれが本当なら、環境の事を考えるとかいう世間の風潮こそ見せかけではないかと。
Extreme Performance Mode
Intelが次に発売する次期主力CPUである、第13世代コア、いわゆるRaptor Lakeの、デスクトップ版の中核となるRaptor Lake-Sにおいて、奇妙な話が聞こえてきた。
それが消費電力350WのExtreme Performance Modeと呼ばれる、特定の条件下でしか発動しない、特殊モードが存在する、という話である。
VideoCardz
https://bit.ly/3c5TGpX
大凡、15%程度の性能向上が可能になるモードで、ハンガリーのTech系サイトであるProHardverの話では、Intel 700シリーズチップセット搭載のマザーボードの一部に、電力上限を350Wに設定できる機能があるという。その一部のマザーボードでその設定を行い、相当な電力供給と冷却能力を与える事によって、この機能は利用可能になるらしい。
通常のRaptor Lake-Sでは、PL1は125W、PL2で253Wという消費電力となるが、Extreme Performance Modeが有効化される事で、第3の電力設定として350Wとなる。
もしこれが事実としたら、15%の性能向上のために100W近い消費電力の底上げとなるわけで、ワットパフォーマンスは極端に悪くなると言える。
ちなみに、過去にCore i9 13900KのQS品(信頼性評価用)を使用したテスト情報が漏洩した時、消費電力が345Wに達していたものがあったそうだが、考え方によってはそれがこのExtreme Performance Modeで動作していたもの、という事だったのかもしれない。
数字にして15%の性能向上というのは、ある意味スゴイ事ではあるのだが、消費電力を盛れるだけ盛って達成するという、バカみたいな力業での結果と考えると、頭の良いやり方という感じがしない。
Appleとは真逆の方向性?
このExtreme Performance Modeの事を考えると、Intelの方向性はAppleの方向性とは真逆に進んでいるように思えてならない。
Apple Siliconの性能を見ていると、いかにAppleがワットパフォーマンスを気にしているのかがよく分かる。もちろん、ハイエンド製品となるMac Proなどが、今後どういった方向に進んでいくのかはまだ判らないが、消費する電力を圧倒するぐらいの性能を持たせてきたのがM1でありM2である。微細化の進められたプロセッサの上に、CPUとGPU、ユニファイドメモリ、Neural Engineといった、主要なものを全て揃えて載せて、省電力化と高速化を実現させたやり方は、ある種徹底されたワットパフォーマンスの追求の行き着いた先ではないかと思う。
もっとも、同じダイの上にそういったユニットを載せた関係で、Apple Siliconを性能別に複数作る必要はあるのだが、行き着いたワットパフォーマンスは素晴らしいものがある。
Intelがいくら性能でそれらの性能を追い抜いたとしても、それは頭の悪いやり方でしかなく、私個人で言えば褒められたものではないと感じる。
もっとも、演算能力をひたすら求める事で結果を出す世界においては、私の考え方の方が間違っているのかもしれないが。
AMDは?
Intelはとにかく性能を誇示するためにはなりふり構っていられない、という方針で攻めてきているように見える。
それを受けて立つAMDはというと、心なしか余裕があるように思える。ただし、AMDの次期主力CPUであるZen4コアは、性能では現時点でRaptor Lake-Sに劣っていると言われている。
気になるのは、その劣っている性能でありながら、それでも強気でいられるところであり、おそらくそれはワットパフォーマンスで優れているのではないか? と期待させるところである。
AMDもZen4コアであるRyzen 7950Xなどでは、TDPが170Wにまで上昇する事がわかっている。だが、現時点でそれ以上の消費電力枠を盛っているという話は聞かない。つまり、性能的に劣っていても、同じ性能にした時の省電力性でIntelと勝負できる、と考えている可能性がある。というか、そうなのだろうと私が予測しているだけだが、Intelなら最終的な結果を示す部分で性能を誇示するところ、AMDはそういった最終性能で勝負していないのかもしれない。
コンピュータの世界では、性能はその商品の魅力の一つではあるが、その性能というものが、何を示しているかで大きく変わってしまう。
SDGsの重要性を説く現代において、Intelの指標はそうした世間の環境意識の延長上にあるとはとても言えないのではないだろうか?
Intelの言い分として、性能を高める事で処理を速く済ませれば、結果的に省電力である、とでも言うつもりなのだろうか?