Intel第13世代CoreのRaptor Lakeの発売が始まった。
性能は確かに高い
Alder Lakeの強化版と言われるRaptor Lakeが遂に発売となった。
Tech系サイトでは、最上位モデルであるCore i9-13900Kのベンチマークレビューが次々と発表され、その性能の高さを解説しているが、大凡それらのデータを見ていて、ゲームであれば頭一つ飛び抜ける性能であっても、一般アプリではRyzen9 7950Xと拮抗するような結果も見られ、ライバル同士が非常に良い仕事をしている環境になったな、と個人的に思えている。
確かに性能は高い。
だが、Ryzen9 7950Xと同様に、その結果から生まれる発熱や消費電力の大きさは、過去のCPUと比較すると、傾向が全く異なる領域に突入したようにも見受けられる。
最近のCPUは、消費電力であれ、発熱量であれ、リミッターを設け、そのリミッターにひっかける感じでサーマルスロットリングを働かせながらハードウェアを守り、ギリギリのところで性能を出して行く…そんな運用方法が採られはじめた。
だから最近のCPUは95℃~100℃くらいの間を常に行き来していて、その時の条件で出せる精一杯の性能で勝負してきている。
よって放熱性の高いCPUクーラーと組み合わせれば組み合わせるほど、CPUの性能は高くなると言えるので、ココまで来るとCPUの性能というよりはクーラーの性能で能力が変わるCPUという言い方になるのかもしれない。
どちらにしても、高性能を出そうと思えば空冷はあり得ない時代であり、最低でも240mmラジエーターの簡易水冷、もしくは360mmラジエーターの簡易水冷ユニットは必須と言える時代になったと言える。
気になるのは真ん中
で、Tech系サイトは大凡最上位モデルのベンチマーク結果を掲載している。
だが、私が気にしているのは実はその下のモデルのベンチマークであり、性能の傾向である。今回の第13世代Coreであれば、Core i7-13700Kだったり、RyzenならRyzen7 7700Xの性能である。
これでもCPU価格が7万円クラスになるので、安いとは言いにくい製品ではあるが、私が手を出せる限界点がおそらくはこのクラスになるので、正直、今情報として出ている最上位クラスのベンチマークよりも、真ん中に位置するクラスのデータが示される方が、私としてはありがたい話である。
この真ん中に来る製品に関しても、もう少しすれば情報は出てくるだろうが、どちらにしても従来よりも発熱と消費電力が大変な事になっている事は間違いないと言える。
そもそも性能の出し方が今までと異なるのだから、今までと同じような感じで付き合おうとすれば、失敗する事になる。
よく勘違いされがちなのだが、製造プロセスの微細化が進み、従来より省電力化される事で、発熱量は小さくなると思われるケースがある。この言葉はある意味間違っていないが、実は別の問題を引き起こす話にもなる。
それが熱スポットの集中である。微細化して小さくなるのは良いが、その小さな面積のところに今までよりも省電力とはいえ、より集中した部分に熱が集まるようになるため、排熱はより高度なものが必要になるのである。最近の空冷CPUクーラーがヒートパイプを使用していたりするのは、その熱スポットに集まった熱をより効率的に分散させる為に使用されている。
こうした事情から、新世代になればなるほど、より熱伝導性を気にした発熱対策が必要で、世代が進めば進むほど、そうした部分に苦労してくる事になる。
最近はそれに合わせて高性能化させるためにより電力を消費するような設定にしているので、排熱はさらに難しくなっている、というワケである。
効率が一番という場合
ワットパフォーマンスを第一として考えるのであれば、Core i7-13700KやRyzen7 7700Xではなく、もっと別のコアを狙うべきなのかもしれない。
正直、Ryzenで言えば、Ryzen7 5700XはTDP65Wながら8コア16スレッドでワットパフォーマンスが実に優れたコアでなかったか、と改めて思う。
実はRyzen7 5700Xは今現在最もワットパフォーマンスの良いコアと言われていて、次点にくるのがRyzen9 5950Xと言われている。
絶対的性能を求めるのであればこれらは選択肢に入ってこないが、ある程度の消費電力とある程度の性能を両立させようと思ったら、案外Ryzen 5000シリーズというのは、良い選択肢なのかもれしない。
ただ、ワットパフォーマンスという事だけでいえば、Ryzen9 7950Xは非常に良い製品になるのだが、コイツは絶対消費電力量が多いので、いくら効率が良くても手が出ない、という人もいるのではないかと思う。
…いや、それ以前に価格的に手が出ない人が多いかも知れないが。
以前、最新アーキテクチャのPCを組むよりも一つ手前の型落ちアーキテクチャでPCを組むのも一つの方法という話をBlogでしたが、コストという意味だけでなく、ワットパフォーマンスという意味でも型落ちPCはアリかもしれない。
絶対性能推しでなければ、コスト的にもメリットは大きいように思う。