AIがついに人間の仕事を奪い始めた?
The Futre of Work with AI
Microsoftがプライベートイベント「The Futre of Work with AI」にて、AI機能を統合したオフィススイート「Microsoft 365 Copilot」を発表した。
統合されるAIは自然言語処理を使用しているChatGPTのようなAI技術で、Office製品にコパイロット、つまり副操縦士のようにAIが寄り添うOffice製品という位置付けになるようである。
実際に、Copilotに自然言語で要望や指示を出すと、AI処理を施してビジネス文書の作成を代行、サンプル文書というよりもずっと高度な文書を自動生成し、ユーザーを補佐するという。
もともと、Office製品はとても機能が豊富だが、おそらくOfficeを使用している人はOfficeの機能を半分も…いや、もっと厳密に言えばおそらく10%程度の機能しか利用していない。
Microsoft製品を巧みに利用するための資格が存在する…というぐらい高機能なアプリケーションがOffice製品だから、一般的に使用する程度であればたしかに全ての機能の10%程度でも十分な事ができるのかもしれない。
しかし、その機能を実装しているMicrosoftからしてみれば、もっと搭載した機能を利用してもらいたいというのが本音だろう。
そしてその機能を使用したからこそ、よりリッチな文書を草製する事ができるという事を知ってもらいたいと思っているに違いない。
この発表された「Microsoft 365 Copilot」はユーザーがアクセスできるデータを利用し、フル活用して文書を作成するという。
OSの開発元であるMicrosoftだからこそ…という事ではないかもしれないが、ユーザーがアクセスできるデータをフル活用するという事は、ユーザーが保管している写真画像データなども活用して文書を作るという事であり、完全にOfficeの枠を超えた文書を作成するツール、という感じである。
あらゆる文書を自動生成
Office製品なので、その中にはWord、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams等が主となるツールと言えるが、これらの文書の全てをAIを駆使して自動生成する。
Outlookなら、メール文書を自動生成する事になるが、支持としては大まかな内容をCopilotに伝えると、適宜メールを自動生成する。文面の長さも指定すればその長さで生成する。細かい言い回しなどは予め指定していたもので生成するようなので、メール作成の時間が大幅に短縮される。
PowerPointの場合、プレゼン資料などを作成すると思うが、これもページ数を指定し、内容の大まかな指示すると、ユーザーが持つ関連データや画像データを参照して、プレゼン資料を自動生成する。また、アニメーションの追加も当然指示するだけで自動で挿入される。なお、この自動生成される文書におけるスピーカーノートも、自動生成ができるようで、資料だけでなく、実際のシナリオもAIが作成するという具合になる。
PowerPointでここまでできるので、Wordに関してはほぼ何でもできると考えていい。自動的に文面の長さも調節できるし、まさに至れり尽くせりである。
Wordらしい機能としては、長文の文書の要約を自動作成してくれる機能がある。
Excelに関しては、予め作成したデータ群を情報をとして与えると、四半期毎のサマリーを作成したり、そこから得られたデータの分析結果から、成長シナリオの生成もできるとの事。複雑なグラフを作ったりする時、Excelのグラフ作成の技術が必要になったりするが、そういうのも自動でできるので、人間のやる事はそのデータを与える事だけ、という事になる。
Teamsの場合は、会議の議事録の自動生成に始まり、その生成された議事録の要約の作成、カレンダーの予定からのタスクの作成、ファイルにアクセスしチャットに関連データを貼り付けたりと、Copilotへの指示でまとめ資料の作成がほぼ完璧に近い形でできる。
さらに今後の予定されている会議に関連する資料を自動検索してExcelデータなどから抽出させたり、そのデータでPowerPoint資料を準備する、なんて事もできるようだ。
実現には大規模言語モデルが必要
こうしたAI機能を実現するCopilotだが、これを実現するためには大規模言語モデル(LLM)が必要になる。
Copilotは、その実現にMicrosoft365アプリからのプロンプトを直接LLMに渡しているわけでなく、一度Microsoft Graphに投げて、ユーザーのメール、ファイル、チャット、カレンダー、連絡先といったデータを根拠付けして処理し、利用する。
これを編集したプロンプトとしてLLMに投げている。そしてこのLLMのレスポンスを元にもう一度Microsoft Graphに戻して根拠付けを行って、LLMの応答とともにユーザーに渡しているという仕組みを採っている。
Microsoft Graphとは、Microsoft 365やAzure ADのデータにアクセスすることができるエンドポイントのことで、ユーザーやグループ、メール、Teamsなど多岐にわたるデータにアクセスすることができるという機能APIの事。これを上手く活用してCopilotの機能を成立させているという事になる。
Copilotの機能は、今までMicrosoftが気づき上げてきたサービス群を上手く活用し、そこに大規模言語モデルを組み合わせて成立させているサービス、という事である。
ま、こういうのは一日にしてならず的なものなので、構築してきたものに大規模言語モデルのAIを組み合わせて可能にした、と考えれば、この機能の実現にも納得がいくのではないかと思う。
AIはここ一年くらいで一気に広がった感じがある。今後はこの出来上がったAIの機能を上手く使うことができるかどうかが、一つの能力として考えられる時代になりそうな気がする。
プログラミングが出来る、という能力は、この今あるITサービスを理解し使う事ができる、という能力も含めたものと、今後は評価される時代になるのではないかと思う。