ついに国内から「Matter」対応のスマートリモコンが発売された。
新規格のMatter
スマートホームの新規格として「Matter」ができたが、依然として国内に対応リモコンが登場していない状態だった。
「Matter」とは、スマートデバイスにおいてメーカー毎に利用される通信規格が統一されていなかった状況を改善するために誕生した規格で「Simplicity」「Interoperability」「Reliability」「Security」の4点の特徴をもつ共通規格として作られている。
IPv6通信が前提となり、Wi-Fi通信とThread通信の両方に対応し、Thread通信はメッシュ型のネットワークトポロジーであるため、遮蔽物があっても広範囲ネットワークを構築できるという、まさにスマートハウスを作る上で必要なネットワークを実現するよう規格されている。
これで「Siri」だから、「Alexa」だから、といったそれぞれのスマートスピーカーでしか対応しないデバイスがあったものが、全て「Matter」を介して扱えるようになるわけで、スマートハウスを構築する上で今後なくてはならない共通規格になったと考えていい。
こうなると、この部屋ではAlexa、この部屋ではGoogle Home、この部屋ではHome Pod、なんて混在したスマートデバイスネットワークでもスマート家電が扱えてしまう。
…逆に混乱しそうな感じすらあるが、とにかくスマート家電を扱う上で障害だったものが障害にならなくなるのが「Matter」だと考えて問題ないだろう。
ただ、そんな「Matter」だが、今すぐ全てのデバイスが「Matter」対応になるわけではない。今ようやくその整備が進み、今後発売されるデバイスが「Matter」に倣っていくという状態なので、これからの規格だという事だけは考えておかねばならない。
Nature Remo nano
Nature Remo nanoは、そんな「Matter」に対応したスマートリモコンとして発売された。
赤外線センサーとWi-Fi、セットアップ時に使用するBluetooth機能を持つが、基本は赤外線リモコンを記憶させ、それをNature Remo nanoがコントロール、リモコンなしでもNature Remo nanoから利用できるようにする。Nature Remo nanoは、ソフトウェアでスマートデバイスであるAlexaなどに繋がるので、Alexaへの音声コントロールでNature Remo nanoを操作、そのまま赤外線リモコンで操作する家電を操作する事ができる。
ただ、今回のNature Remo nanoは、そのデバイスの認識規格に「Matter」が使われているので、「Matter」に対応するデバイスなら何でも認識し、操作できるようになる、というものである。
何だかよく分からない話に聞こえるかもしれないが、これはスマート家電を使ったことがある人なら、何となくわかる話である。
Nature Remoは、元々が赤外線リモコンで操作する家電と繋がり、ネット接続できない家電をネットから操作できるようにするためのデバイスなので、Nature Remo nanoも赤外線リモコンしかない家電をスマート化するもので、それが「Matter」経由でいろいろなスマートリモコンを対象に扱えるようにできる製品という事である。随分と遠回しな説明になったが、難しく頭で考えるよりは実際に使ってみた方がずっと理解が早いだろう。
既存製品のMatter対応
メーカーのNatureは、今回Matter対応としてNature Remo nanoをかなり低価格で発売した。
この事そのものは高く評価される事だが、気になるのはMatter対応は何もハードウェア的に何か特別な事をしているわけではないという事。
つまり既存製品もアップデートで対応する事は十分考えられるのだが、現時点でNatureは明言を避けている。
おそらくファームウェアを記録するメモリストレージの容量問題なのかもしれないし、Matter対応に向かったが故に従来の機能を潰してしまう可能性もあったりと、私にはわからないレベルでトラブルが起きる可能性がある。
よって、残念だが現時点ではMatter対応はNature Remo nanoのみとなり、既存デバイスはそのまま利用を継続するしかない。
ただ、何となくNature Remo 3とかサイズの大きな製品は後々ファームウェアアップデートで対応しそうな気がしてならない。ま、希望的観測でしかないが。
とにかく、赤外線式のリモコンで動作する家電をスマート化するにはNature Remoシリーズのようなデバイスを使うしかない。そうした機器をスマート化させてみると今まで見えてこなかったものが見えてくるかもしれない。一度お試しあれ。