PS3にはCell Broadband Engine(Cell B.E.)が搭載されている。
そんな事はちょっと詳しい人なら知っている事だ。
ただ、PS3に搭載されているCell B.E.はそのサブプロセッサとも言えるSPEが本来8基搭載されているところ、7基利用できれば採用されている。
これは製品歩留まりの関係で1基使えなくてもPS3で使用可能にするために取られた措置であり、PS3では7基利用する事で製品品質を一定にしている。
そして現在のPS3は、このSPEを利用してグラフィックスを処理している。本来搭載しているGPUであるRSXでは、今現在ハイエンドと言われているCGを支えきれないからだ。
つまり、Cell B.E.はグラフィック処理を含めた処理も内部で行ってしまうヘテロジニアス(異種混合)コアなワケだが、その異種混合という部分を活用するソフトが現れた。
株式会社フィックスターズが、PS3をアクセラレータとしてMPEG-4 AVC/H.264動画変換を高速化できるというPC用ソフト“CodecSys CE-10”を、米国で開催される放送機器展“NAB Show 2009”で参考出展すると発表したのである。
詳しい仕組みはわからないが、インストールしたPCとPS3を接続することで、PS3をアクセラレータとして利用、負荷の高いAVCエンコードをPS3に処理させる事で大幅に高速化できるという。
実際の製品の発売は6月を予定しているそうだが、PS3の処理能力が高いことを裏付ける製品である。
今思い出したが、いつだったか米軍がPS3を大量購入したという話もあった。
これはCell B.E.を最も安価に入手しようとしたらPS3だったという事でPS3を大量購入したという話だったが、米軍が何かしらの形で膨大な処理能力を求めた結果の話である。
つまり、PS3にはハードウェアとしての優位点がある事を意味している。
そして、民生品にはPS3をそういった部分で超えるハードウェアが今現在ない。
だからこそ、この部分をもっと生かせるソフトさえあれば…
PS3ユーザーでそう思っている人は多いのではないかと思う。
何はともあれ、SCEはゲーム以外でももっとPS3を生かすためのソフト資産を生み出していくしかない。
果たしてその気があるかどうか…。
問題はそこにあるのではないかと思う。