世の中にBCI(Brain Computer Interface)という言葉がある。
要するに、脳とコンピュータをつなぐインターフェースという事だが、ちょっと前に脳波マウスというものが発売された。読んで字の如く、脳で考えてマウスを動かすという製品だが、手を使わず、考えただけで操作するという意味では、この脳波マウスもBCIと言える。
考えた結果をコンピュータに出力する事に限定しなければ、BMI(Brain Machine Interface)となるが、脳波マウスは出力結果をコンピュータに反映するため、BCIで問題ない。
そのBCIにまた一つ新しいものが登場した。研究機というものならもっと前から存在していただろうが、発売されたという意味では、新しいものと言える。
それがG-Tec社のIntendixで、同社はパーソナル用としては世界初だと謳っている。
Intendixは専用の帽子をかぶり、次々に文字が光るディスプレイを見つめ、入力したい文字が光ったときに“念じる”ことで文字入力を可能にする。
要するに、文字を思い浮かべて入力するのではなく、光った文字を念じる事で入力する為、基本的にセンサーは念じた事が分かればいいワケである。
その念じたタイミングの時、光っていた文字が何であるかで入力される文字が決まるため、センサーは特別複雑な分類を必要としない。まぁ、実に妥当な考え方である。
こんな装置でも民生品として発売されるという事に意味があるわけで、価格は一台9,000ユーロ(約110万円)。高価すぎて一般人には手が届かないと思われるかもしれないが、これが身体障害者用だとしたら、考えられる価格だったりする。
肝心の入力速度は、大半の人が10分の練習で1分間に5~10文字入力できるようになるらしい。また人によっては最速で1秒1文字のタイピングも可能だという事だが、どちらにしても慣れが相当必要なデバイスだろうと思う。
どちらにしても、これから先まだまだ進化しそうなデバイスではあるが、考えた事が結果として表示されるというある意味夢のような世界がまた一歩進んだという事。
人とコンピュータをつなぐインターフェースとして、キーボードやマウスが姿を消すのはまだ当分先とは思うが、全くそうならないとは言えない世界が、たぶんやってくるのではないかと思う。