以前、当Blogでも紹介した事のある「Orbital2」というデバイスをふと思い出した。
Orbital2
私はPCのインターフェースに関してはあまり妥協をしていないと自負しているが、唯一まだまだ甘いなと思っているのが左手インターフェースである。
使い勝手を向上させる為に、マウスに拘ったりキーボードに拘ったりしていても、比較的見落とされがちなのが左手インターフェースだったり、専用コンソールだったりだが、それはほとんどの人がPCを使う上ではキーボード+マウス(もしくはトラックボール)というスタイルだからだろうと思う。
つまり、左手はほとんどがキーボードのショートカット用として考えていて、右手でマウスなどポインティングデバイスを扱う事を基準にしている。
だから左手インターフェースは比較的見落とされがちなのだが、そもそもある種の特定の行動をする事がわかっているならば、左手すら専用デバイスで良いわけで、その方が本来は使い勝手が良いはずである。
なので左手用のゲーミングキーボードなどが存在していて、ゲームで使用することの多いキーのみを割り当てた専用デバイスが発売されていたりする。
だが…本当に快適な操作を得ようとした場合、キーボードという形そのものに意味はあるのか? と考えた時、おそらくその答えはNoではないかと思う。
キーボードというデバイスは、100近い数のキーを用意する事で割り当てた機能を実行したり文字に割り当てたキーを押すことで文字を成立させたりする事に適したものだが、全ての作業で文字を成立させる必要があるわけではない。
また、各種作業では画面の動きを制御したりする際に「回す」という行為が適している場合がある。そうした時、キーボードというデバイスは逆に不向きになる。
そんなワケで「Orbital2」のようなデバイスが登場するワケである。
回す、倒す、押す
「Orbital2」は、スティック状のデバイスであるが、その根本には回す事のできるダイヤルをもつものである。
つまり、回して機能を選択し、倒して機能を選択し、押し込んで機能を利用する、といった事をベースに考えられたものである。
しかもただそれだけでなく、回す事で画面を拡大縮小させたり、また別の使い方で回して画面そのものを回して表示させたりする事もできる。
ここらへんの挙動すらプログラマブルに設定する事ができるわけだが、こうした一連の動きを「回す」「倒す」「押す」という行為に置き換えて実行できるデバイスである。
テキスト打ちがメインの業務だとあまり意味を成さないかも知れないが、クリエイティブな業務だとおそらく相当な便利さを享受できるものではないかと思うのだが、ショートカット機能を割り当てたりする使い方でも、左手側に置いておくだけで意味があるかもしれない。
価格的に3万円を超えてくるので、なかなか手の出しにくいものなのかもしれないが、生産性を高めたいクリエイターなどは、元が簡単に取れてしまうのではないかとすら思える。
私はクリエイティブな事をしていないが、それでも一つ欲しいとすら思うほど、洗練されたものではないかと感じる。
何でもできるキーボード
この左手インターフェースである「Orbital2」もしくはそれに類推するものが、どうして一般的にならないのだろうか? と考えた時、私は一つの結論に至った。
それは「キーボードが万能すぎる」という事である。
キーボードは便利ではないかもしれないが、出来ない事がない。つまり、キーの数が多いので、そのキーの組み合わせで機能を割り付ければできない機能が存在しなくなるのである。
もしあるとすれば、1点を示すポインティングという行為などが苦手なので、それをマウスが担当している事で、キーボードは万能へと昇華してしまっている。
同様にタブレットで可能になるような曲線を描く等といった行為も同様にマウスが実現できる機能である。
だからキーボードとマウスの組合せで、ほとんどの行為は便利ではなくとも実現できてしまうので、左手インターフェースが普及しないのである。
変な予算をつぎ込まなくても使えればいい、という人であれば、まさにキーボードとマウスは万能機器なのである。
昔を知っている人ならわかると思うが、昔はマスウだってそんなに安いものではなかったのである。だが、マウスが当たり前になった今だからこそ、マウスは安ければ数百円で買える時代になった。
キーボードだって1,000円以下の安いものが存在するのは、それだけの数が作られているからである。
では「Orbital2」はどうか?
使う人が多くないのでどうしても単価が高くなる。これはもう数の暴力としかいいようがない。
なので、私としてはもっとみんなが便利になっていく為にも「Orbital2」という製品があるという事をもっと広めたいと思っている。
ひょっとしたら、タブレットの方が効果的かもしれないが、正確にかつ便利に機能させるデバイスとしては、やはり「Orbital2」の方が上である。
最近、YouTube等でクリエイティブな一般人がピックアップされる時代になった事を考えれば、私は「Orbital2」はもっと広まっても良いのではないかと思っている。
この利便性を当たり前のものにするためにも、メーカーには「Orbital2」を今のトレンドに合わせるような改良を続けてもらいたいところである。
例えば…USB Type-C接続にする、なんていうのは、イマドキのデバイスとしては避けられない変化ではないかと思う。こういうところに即時対応できれば、よりユーザーを掴みやすいのではないかと思う。
Orbital2
https://brainmagicproduct.com/
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