GeForce RTX 3060の対抗馬となるのか?
12GB版のXT
AMDが3月3日にRDNA2を採用したRadeon RX 6000シリーズの新製品を発表する事を予告していたが、その新製品とはどうやらRadeon RX 6700 XT(以下RX6700XTと略)のみになるような感じである。
同時に発表されるであろうと予想されていたRadeon RX 6700(以下RX6700と略)は、一度仕切り直しになるようで、3月18日にはRX6700XTのみが解禁されるようだ。
ちなみにRX6700XTは、AMD準拠のリファレンス仕様とベンダー設計のカスタム仕様ともに同日に解禁されると予想され、残念ながらその数も限られたものとなると見られている。
今の所、RX6700XTはメモリを12GB搭載する製品のようで、丁度メモリ量ではGeForce RTX 3060の12GBと拮抗する事となる。また搭載するGPUであるNavi22はフルスペック仕様のようで、40CU、2560spとなるようである。RX6700はそのカットダウン版になるだろうと言われているようだが、具体的な性能についてはまだハッキリとはしていない。
価格は少し安い?
また、現時点でGeForce RTX 3060は日本円で6~7万円程度とみられるが、私の予想ではRX6700XTはそれよりも少し安くなるのではないかと予想している。
理由は、7nmプロセス製造であるが故に、最終的なダイサイズがRX6700XTの方が小さくなるとみられる事と、レイトレーシング性能ではNVIDIA製品の方が上だからである。
性能的にどうしてもワンランク下回る事になるので、価格的に安めに設定しないと、ユーザーメリットが出てこない。
そうなると、RX6700XTはレイトレーシング以外の性能はほぼGeForce RTX 3060と同程度と考えられる。
先日のベンチマークテストでは、RTX 3060TiとRTX 3060では35~40%ほどの性能差があると判明している。つまり、RX6700XTもその上位機種であるRX6800系と比べるとその性能は大きな隔たりがあると考えられる。
もしこの予想が当たっているなら、ミドルレンジの中でも上位の製品は今だマッチする製品がないように思われる。NVIDIAはまだ製品ラインナップが広いが、AMDは6800シリーズと6700シリーズの性能差が大きすぎる。些か不自然にも思える状況である。
供給しきれるのか?
AMDが新製品を発表するのは良いとして…問題はこれらの新製品がユーザーの手元にちゃんと届くのか? という事である。
以前から当Blogでも言っているが、今のN7プロセス製造品はとにかく品薄で、生産が間に合っていない状況にある。
PS5、Xbox SX/SS、Ryzen 5000シリーズ、Radeon 6900/6800シリーズ…これら全てがTSMCのN7プロセス品である。
種類はともかく、それぞれの出荷数が半端なく多いので、どう考えても製造ラインが逼迫している事は間違いない。
この状況で、もっとも売れ筋になるであろうミドルレンジのGPUを発表したとして、果たしてユーザーの手に渡るだけの数が確保できるだろうか?
秋葉原のPCパーツショップの店頭では、ミドルレンジ以下のGPUしか棚に並ばない、といった事態も起きているという。つまり、それほど逼迫した状況だという事が店頭レベルでわかる状況が今の状態である。
メーカーとしては新製品を全域にわたって発表しなければ都合が悪いというのもわかるが、発表だけ行われて品物が買えない、という状況は、ユーザーにとって好ましい状態ではない事は言う迄も無い。
今回のこの半導体不足は単純な問題ではないのだが、今まであまり起きなかったような問題だけに、メーカー側としてもどのように開発と発売、販売をしていけばよいのかが多少手探りな感じを受ける。
早期にこの問題が解決される事を願っているが…おそらくそう簡単には収束しないだろう。
PCの更新などを計画している人は、タイミングが難しそうである。