メインPCが決めづらいのでモニタの更新からと思ったが…。
液晶の世代交代
先日から、液晶モニタの更新を優先してメインPCの入れ替えを後回しにするという記事を書いたが、その判断も危うく感じてきた。
理由は、液晶テレビのトレンドキーワードとして「量子ドット×ミニLED」が浮上してきたからだ。
私自身も、量子ドット技術やミニLEDといった技術が研究されていて、次第にそちらに移り変わるという事は知っていたが、それが2022年にテレビ業界から浮上するとは思っていなかった。
どうやら、日本メーカーからは2022年に液晶パネルを採用する映像機器において、量子ドット×ミニLEDを採用する製品がいろいろ登場する予定があるようだ。
しかも開発の勢いもあるようで、かつてバックライトが冷陰極管(CCFL)からLEDへと移行した時のような勢いで、まだまだ調整という部分では未熟ではあるものの、当時も新しい試みにいろいろなメーカーが飛び込んで、一気に製品技術が移行したが、今まさにそのような状況が再び繰り返されているような感じだという。
今はまだテレビ業界の話ではあるが、テレビのパネルがこの技術を使い始めれば、当然だがPCモニタの世界でもその動きは見えてくる。
となると、ここ数年のウチに液晶モニタも技術的にがらりと変わる可能性がある。…いや、あくまでも可能性の話ではあるが。
実は…重い
量子ドット×ミニLEDを採用したパネルは、従来の液晶パネルと比較すると同じサイズ比で1.5倍ほど重くなると考えた方がよいようだ。
原因としては、LEDの密度が上昇する事による発熱量の増大で、基板の重さと必要となる放熱板の重量増にあるらしい。
となると、PCモニタに採用した時に、モニタアームで運用する事などを考えると、その重量増大は逆に採用されにくい原因ともなる。
PCモニタは液晶化が進んだことで全体の厚みが断然薄く、かつ重量が軽くなった。それこそブラウン管を使っていた時は、重量20kgのディスプレイなど当たり前だった。それが液晶パネル&冷陰極管となった事で半分くらいの重量となり、今度は液晶パネル&LEDバックライトとなった事で数kgという軽量化が行われた。
この軽量化が行われた事で、取り回しがしやすくなり、またモニターアームを使う事が容易となったことでデスク周りの環境が一気に改善した。
この軽量化を捨ててまで、画質に拘るモニタが出てくるか、となると、確かに一部業務用として使用する上では需要はあるだろうが、一般的なモニタとして考えると、この重量というのがネックになる。
例えば…スタンド無しの状態で5kgのモニタなら、量子ドット×ミニLED化で7.5kgとなる。場合によっては、使用しているモニターアームの耐重量基準を超えてしまい、もう1クラス上のモニターアームに交換しなければならない可能性が出てくる。
私が目星を付けている37.5型のウルトラワイドモニタの場合、スタンド無しで8kgを超えるケースがあるので、もしこれが量子ドット×ミニLED化すると、12kgを超える事になる。
相当な重量物を支えるモニターアームにしないと行けない事になる。
もちろん、こうしたモニタに対してモニターアームではなくスタンドを使えばいい、という話もあるだろうが、現時点の液晶パネルの品質で必要十分だというケースだと、そもそも量子ドット×ミニLEDを選択する意味がなくなってしまう。
そう考えると、据え置きが基本で、壁掛けなどの用途に広がるテレビと、PCモニタは根底で必要とする要素が異なるのかも知れない。
今の現状を吟味して
奇しくも本日はRyzen7 5800X3Dの発売日である。
早速、一部PCパーツショップでこの新型Ryzenを使用したショップブランドPCも発売されたようで、Ryzen 5000シリーズも2年経過しつつまだ新型のRyzenが投入される状況で、ちょうど進化が一段楽しているような感じに見える。
この状況下で、予算を優先的に回すとしたら、やはり液晶モニタではないか、と改めて感じるのだが、水を差すように量子ドット×ミニLEDの話が浮上した。
もちちろん今年に量子ドット×ミニLEDを利用したものが大量に登場したとしても、イキナリ価格がこなれる事はないだろうし、課題も多い製品ばかりかもしれない。技術が安定し、品質が向上するのはあと数年先かもしれない。
そうなると…今一定のレベルに達している液晶モニタを購入し、あと数年待つ事で次世代モニタを持つ方が現実的かもしれない。
というわけで、全体的なコスト増もある中で、PCやモニタの更新を考えていく一つの理由をいろいろ考えて見た。
時間が経てば新しいものが出てくるのは世の常。問題はそればかりを考えていると、いつまで経っても何もできないので、どこかで見切りを付けるという事が重要である。
その見切りをどこに持ってくるか?
それを改めて考える必要がある。
そう考えると、この言葉が実に真理を突いているかがよくわかる。
「欲しい時が買い時」
これに尽きるのかも知れない。