以前、Propellerheadという海外のソフトメーカーからRecordというソフトが発売になるという話を書いた。
PropellerheadはReasonというスタジオソフトを作ったメーカーで、PC内に仮想スタジオを構築し、MIDI制御でソフト音源をコントロールするだけでなく、それらに各種のエフェクトを可能にし、またそれらをPCの性能が許す限り無限に組み合わせて音を作る事ができるソフトである。
そして9月9日に発売されたRecordは、Reasonではほぼ出来なかったオーディオファイルを扱う事ができるというソフトで、DAWソフトのような感覚とReason的感覚を融合したソフトである。
Recordは、そういう意味ではReason以上にスタジオソフトと言えるソフトかもしれない。オーディオファイルを扱えるようになった事で、録音したボーカルや生楽器演奏の録音データを取り込み、自由にエフェクトをかけたり、また加工してミックスしたりできるようになった。
しかも、Reasonそのものを内部に取り込む事ができるため、Reasonが吐き出す音をオーディオとして扱い、それも自由に組み合わせる事ができる。
そのRecord、Reasonを所有している人には優待版があるという事だったので、発売日前日に注文したのだが、どうも日本の代理店であるMI7の予想を超えた注文本数だったらしく、私は初回入荷に間に合わなかった。
で、待つ事約2週間。
本日、ようやく手元に届いたのである。
Recordのパッケージは、Reasonと非常に似たものであった。
このあたり、同じPropellerhead製ソフトである。
私が購入したのはRecord for Reason Ownersというパッケージで、Reasonを持っている人を対象としたもの。
中身はRecordのディスクメディア、インストールマニュアル、機能ガイド、そしてReasonの最新版ディスクメディア、プロダクトコード、そしてPropellerhead Ignition KeyというUSBデバイスが入っていた。
Reasonの最新版が入っている辺りはPropellerheadらしい構成である。
おそらく、この内容物で一番疑問に思えるのはPropellerhead Ignition KeyというUSBデバイスだろうと思う。
勘のいい人はPropellerhead Ignition KeyはUSBドングルなのではないかと思うだろう。ドングルって何?と知らない人に説明すると、USBドングルはコピープロテクトの一種で、これを繋いでいないとソフトが起動しないというものである。
しかし、Propellerhead Ignition Keyは単純にUSBドングルなのではない。
今までUSBドングルを必要とするソフトは、そのUSBドングルがないと絶対に起動しないというのが定番であった。
これはある意味非常に不便で、例えば同じ人が2カ所でそのソフトを使いたいと思った場合、そのドングルを物理的に持ち運ぶしか方法がない。
Propellerhead Ignition Keyは、そういう不便さを解消するドングルであり、もしこのPropellerhead Ignition KeyがそのPCから検出できなければ、ネット接続し、そこでアカウントを確認して正規ユーザーであると判断できれば、起動可能とするという機能を持っている。
要するにネットによるアクティベーションである。ドングル自体の機能というよりは、ソフトウェアによる制御でユーザー認識を段階的に行っているというものである。
このPropellerhead Ignition Keyのメリットは、万が一ドングルを紛失してしまっても、ドングルがなければアクティベーションで使用する事ができるため、新しいドングルの手続きをしている間でも使用には困らないという事である。
ゲームソフトなどではあまり考えられない仕組みかもしれないが、こうしたプロでも使用する生産系ソフトの場合、こうした使えない時間が存在した時のリスクはとても大きいのである。RecordはPropellerhead Ignition Keyという機能によって、そのリスクがない状態を可能としたのである。
Recordの機能的な事に関してはココを見てもらうとして、使用感だけを言うならば、まだよくわからないというのが本音。
ただ、出来る事がものすごく多いという事と、いろんな機能があって自由度が相当に高いという事は間違いないと言える。
Reasonの時ですらそのラックに取り込むソフト音源の使い方に迷う事があったのだが、Recordはそれにくわえ、オーディオエフェクトが加わり、またReasonのエフェクトをRecordで扱うオーディオファイルに適用したりできる事で、その難解さはより上に向かったような気がした。
ただ、それらは難しくて使えないという事ではない。ReasonやRecordのスゴイ所は、わからなくても適当に各種ボタンを触っていると音にいろんな変化が出来、なんとなく使えてしまうところにある。
これもビジュアルがラックに収まる機材の形をしているが故の事ではないかと思う。場合によってはラックの裏側に回って、配線を変えてみたりするだけでも変化があるのだ。
これだけの高機能ソフトが数万円(私の場合は15,000円)で買えてしまうと、他の楽器メーカーがかわいそうになってくる。
ちょっとDTMやりたいなぁと思いつつ、でもやるならちょっと本格的にやってみたいなぁという人には、Reason+Recordという組み合わせは最適ではないかと思う。
ちなみに価格だけで言えばRecordよりReasonの方が高い。
何か楽器をやっていて、録音した音をいろいろ触りたいという人には、Recordだけでもいいだろう。
音を楽しむという側面からみても、このソフトはオススメしたいところである。