インターフェース。
入力機器と言い換えてもいい。
今のPCのインターフェースとしてもっともポピュラーなものはキーボードとマウスである。今はそれに加えてペンタブレット、トラックボール、タッチパッドなどがあり、タブレットPCをはじめとしたスマートフォンでは手その操作がそのままインターフェースとなる。
随分と進化した、と言えるが、これらの操作はその全てがデジタル媒体を扱う事のみを想定したインターフェースであり、あくまでもPC上のデジタルデータを操作する、という事のみで使用される。
だが、PCで扱うデータは、外部から情報として入力される必要がある。その情報がアナログだったらどうなるか?
おそらくスキャナー(プリンタと統合された複合機が今は主流)でその情報を取り込み、結果、それをPCの画面上でいろいろ操作して取り扱う。OCRソフトがあれば、アナログデータ上にあるテキストをデジタルテキストに変換する事もできるが、結局それも一度PCの画面上に落とし込んでからの話である。
だが、そうしたPCの画面上に置くというワンテンポを間に挟む事そのものが、ムダになるかもしれない技術を富士通が公開している。それが“指で直観的に操作可能な次世代ユーザーインターフェース”である。
この動画を見れば、インターフェースの進化を知ることができる。
キーボードの操作に不慣れな人であっても、アナログデータとデジタルデータの混在する情報を取り扱う事ができるかもしれない。
画期的だ、と直感的には思える。だが、私としては、本当にコレが使いやすいのだろうか? と疑問を感じる部分もある。
たしかに本の中の文献を利用したりする分には便利かもしれない。
だが、ゼロから情報をあつめて編集、文書を作成するにあたっては、私としてはキーボードの方が楽だと思う。
おそらく、こうした指先インターフェースと合わせて声による入力を加えると、かなり便利になるのかもしれないが、テキストを自ら落としていく場合は、残念ながら私はキーボードの方が使いやすいと思う。
しゃべった内容が自動でテキストになる…というインターフェースにしても、文字入力以外の事をやらせようとすると結構混乱するものである。
結局は、思った通りの事をデジタルデータにするには、こうした次世代インターフェースだけでは解決できないと私は思う。便利になってきたとは思うが、人間が考える意図をコンピュータが理解しないかぎり、結局はマニュアル操作が一番手っ取り早く、楽に操作できる事になる。
この次世代インターフェース、私は別にムダだとは思わない。
問題はこのインターフェースを何にどのようにして使っていくか? という事をもっと深く考える必要がある、と思うだけである。
便利になるようにいろいなインターフェースが今までも開発されてきたが、結局生き残っているインターフェースは数える程しかない。
前述したキーボード、マウス(トラックボール)、タッチパッド(トラックパッド)、ペンタブレットがそれに当たるだろうが、これらを超えるインターフェースはなかなか出てこないのが現実である。
たとえば、コンシューマゲーム機のインターフェースもそうである。任天堂がファミコンに十字キーを搭載したが、この十字キーに変わるインターフェースは、結局アナログスティックぐらいしかなく、しかもそれは完全な代替えではなく、併行して両方使われているインターフェースである。
本当に使いやすく、直感的でないかぎりは、インターフェースが生き残る事は難しいと言えるのだ。
そういう視点で見たとき、この富士通発の“指で直観的に操作可能な次世代ユーザーインターフェース”は生き残るインターフェースたり得るのだろうか?
このインターフェースのオモシロイ使い方が登場すれば、生き残る可能性はあるだろう。
要は画期的な使い方が提案できるか? 全てはそこにかかっていると私は思う。