…やっちまったとしか言い様がない。タイミング、悪すぎ。
Zeiss名義のUltron
以前、CARL ZEISS JENA Flektogon 2.4/35というレンズを購入した記事を書いた。実際、私が入手したFlektogonが中古レンズとして良いものだったのか、はたまたあまり状態の良くないものだったのかは、正直言えば私には判断が付かない。ただ言えるのは、自分で撮影した限りでは特に写りには問題はないし、綺麗に撮れている方だろうと思う。
このように中古レンズは、状態の善し悪しがどうしても付いて回る。もう40年以上も前のレンズだから仕方が無いのだが、どうしても中古でなければ買えないというレンズがあるのもまた事実であり、悲しい事に現代よりも光学的にトリッキーかつ味のあるレンズが多いというのも、中古レンズの魅力の一つと言える。
そんな魅力ある中古レンズの中でも、とびきりトリッキーなレンズが、以前にもBlogで取り上げた“Carl Zeiss Ultron 1.8/50mm”である。
レンズに中途半端に詳しい人だと「ZeissなのになんでUltron? UltronはVoigtländerとかコシナだろ?」となるわけだが、それは正解。しかし、事実Zeissの名でUltronという銘のレンズは一つ存在するのである。
1960年代後半、神聖ローマ帝国時代から存在する老舗Voigtländerは存亡の危機に立たされるわけだが、そこでVoigtländerが選んだ道がCarl Zeissとの融合であり、そこでZeiss Ikon/Voigtländerという会社が誕生した。もともとZeiss Ikonはいろんなメーカーの集合体で生まれたカメラメーカーだったワケだが、そこにVoigtländerが入り込んだ、というワケである。
こうなると、Zeiss Ikon/Voigtländerというメーカーのカメラに対して、Carl ZeissとVoigtländerという名立たるレンズメーカーがレンズを供給できる体制が出来たわけで、その中で新体制初のレンズとして出されたのが、Ultronだったわけである。まぁ…何故にUltronが選ばれたのかというと、新体制下で初めて供給するのだから、意味敵に「Ultron=極限の」という言葉本来の意味を製品に込めたかったのではないか?と私は邪推する。
ちなみに新体制下で初めて発売されたカメラは「Icarex 35」というカメラ。もちろん名機として名高いカメラである。
しかし、Zeiss Ultronが生まれるまでには非常に難しい問題があったのである。
元々VoigtländerのUltronは一眼レフ用のレンズとして作られていない為、マウント云々の問題とは違う意味で、そのままIcarex 35に取付ける事ができなかったのである。おそらくは光学的に問題があった…という事なのだと思う。
そこでZeiss Ikon/Voigtländerの開発者は大胆な光学設計を盛り込み、なんと最前面のレンズに凹レンズを持ってくるという、世界的にもこのレンズしかこんな事してないんじゃないか? と思うような方法で問題を解決、本来、5群6枚のレンズ構成だったUltronだが、1枚凹レンズを追加して6群7枚とすることで一眼レフ用の標準レンズに仕上げたのである。ドイツの開発力は時折ものすごい発想と技術で不可能を可能にする事があるが、このZeiss Ultronもその仲間の一つといえるかもしれない。
…でも、こういうところは日本も似てるかもしれないな(-_-;)
こうして、1967年にZeiss名義のUltronが誕生したわけである。
落札したものは…
で、私が今回落札したモノがコレである。
ちなみにこの写真は出品者が公開していた写真である。
外観含めて、これが40年前のものかと思うほどの美品…と思っている。
よく見ると、鏡筒部分にあるメモリの1つの白の墨入れが落ちてしまっている(写真で言うと一番上に見える16と8の間に1本白線がないといけない。溝はちゃんとある)のだが、そんなものは修正する事もできるし写りに何ら影響はない。
前玉にも一切の傷、シミなどなく、綺麗な状態と言える。
値段は安いとは言えないシロモノだが、これだけの上物となるとなかなか手に入れるとも難しいと判断し、今回落札する事にした。
ある意味、予想外の出費であり、PCの液晶の追加もしくは変更を考えていたタイミングとしては最悪のタイミングだったと言える。


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