PS4 Proもいろいろ問題があるようで。
何故かSATA2対応HDD
PS4 Proが発売されて数日経過したが、いろいろと問題が浮き彫りになってきているようである。
問題といっても、些細な問題なら良いが、私の感覚で言うと、それが些細な問題とは言えないような問題ではないかと思い、それをちょっと取り上げてみたい。
問題は2つあり、一つは搭載しているHDDの問題である。
発売になった全てのPS4 Proが対象なのかどうかは解らないが、搭載されているHDDが何故かSATA2対応品が搭載されているというのである。
というのも、元々PS4 Proは搭載HDDのインターフェースがSATA3に対応し、従来よりもアクセス速度が向上するといった事が一つの特徴になっていた。
SATA2は理論上のアクセス速度は3Gbpsだが、SATA3になるとこれが6Gbpsになる。
理論値とは言え、2倍のアクセス速度になるという事は、実速度で少なくとも数%~十数%、条件が良ければ30~50%ぐらいは向上する可能性がある(いや、本当はもっと向上しなきゃいけないハズなのだが)。
ところが、発売されたPS4 ProのHDDを確認してみると、搭載されていたHDDがSATA2対応品だったというのである。
AKIBA PC Hotline
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/sp/1030162.html
いくらPS4 ProがSATA3に対応したといっても、デバイス側がSATA3に対応していないとなると、その速度の恩恵が得られるわけがない。
一体、Sony側は何故このような事をしたのか?
全く理解に苦しむ話ではある。
もしHDDを交換せずにそのままPS4 Proを稼働させるとなると、知らずにSATA2で運用し、速度の恩恵を受けられないまま使用する事になる。
これを問題と言わずして何というのか?
HDD交換
前述のリンクに詳しい事も書かれているが、とりあえずPS4 ProのHDD交換は可能で、SATA3対応のSSHDに交換すると確実に速度は向上した事は確認された。
では、SSHDではなくSSDに交換した場合はどれぐらいの速度向上になるのか?
前述リンクの記事ではSSDの速度は検証されていない為、別の比較記事を参考にしなければならない。
YouTubeで、1TBのSSDに交換した動画等がアップされているが、それを見ると、起動時のHDDとの速度差で約3秒の差だという。
この起動はソフトの起動ではなくPS4 Pro本体の起動の話なので、前述リンクの記事との比較とは明確な比較ができないワケだが、HDDとの比較で僅か3秒しか違いがでない。
これは起動時に読み込むデータ量が思った程多くない為だろうと考えられる。
基本的に読み込むデータ量が多ければ多いほど、HDDとSSDの差は大きくなる。しかし、PS4のソフトはその構成上一度に大量のデータを読み込むように作られていないと考えられる。これは、ソフトをインストールしながらもソフトを起動させてプレイできる事からも理解できる話だ。
しかし、ここ最近話題のVR系のソフトは、最初に大量のデータを読み込む可能性もあり、そういう場合であれば、差はもっと広がる事になる。
ちなみにSSHDはHDDとソフト起動で1秒しか違いがでない。これはSSHDがキャッシュとしている8GB程度のデータ量では全てをカバーできない、という事なのか、或いはキャッシュメモリに描き込むプログラムデータと相性が良くないという事なのかもしれない。
総合的に見て、よほどお金に余裕があればSSDを検討するのも良いが、個人的にはSATA3への正確な対応を考慮し、2TBのSSHDに交換するのが最も良い選択肢なのではないかと思う。
4K+HDR
さて、昨日のHDMIの話でもちょっと触れたが、PS4 Proは4K対応とHDR対応が行われた機器である。
よって、搭載されているHDMI端子は2.0a規格になっているのだが、このHDRへの対応という所でテレビ業界といろいろもめ事が発生する問題に発展している。
これはPS4 Proだけの問題ではなく、実は米国で既に発売が始まっているXbox One Sでも起きた事なのだが、接続するテレビによって4K+HDRが出来なかったり、2K+HDRは出来ても4Kに出来なかったり、4KにするとHDR非対応になったりと、ケースバイケースでいろいろな事例が出てしまうという問題である。
これは搭載しているコントローラーチップの問題だったり、使用するHDMIケーブルの問題だったり、と原因が掴みにくい問題で、Xbox One SはファームウェアアップでMicrosoft側が対応した事で事態は収束に向かったそうだが、Sony側は未だ解決されていない問題なのだという。
この問題をより詳しく知るためには、HDMI規格の事をちっょと知る必要がある。
詳しくはWikipediaを見てもらうとして…ココでは簡単に説明する。
HDMIは基本的にHDMI1.4になった段階で4K画質に対応している。
つまり4K表示する為には最低でもHDMI1.4以上の規格が必要になる。このHDMI1.4の伝送速度は10.2Gbpsに達していて、フルHDに必要な伝送速度の2倍程度は確保できている。ところが、この10.2Gbpsという伝送速度であっても、4K画質の映像を30pでしか伝送できない。
4Kを60pで伝送するにはHDMI2.0規格が必要で、この時の伝送速度は18Gbpsと規定されている。
問題となるHDRだが、これが規格に規定されたのは2.0aになってから。つまり、4K+HDRを実現するにはTV側にもHDMI2.0aという規格が必要になる。
だが、問題なのはこのHDMI2.0aという規格だが、コイツを実現するコントローラーが問題で、完全に互換が採れていなかったりする(詳しくは後述する)。
本来共通規格として策定されているにも拘わらず、この不安要素があるが故に、とある機器では問題なく4K+HDRが実現できても、他の機器では2K+HDRでないと再生できないとか、場合によっては4Kは出来てもHDRに対応できていなかったりする。
接続するケーブルにも18Gbpsを安定的に伝送できる品質が要求される事はもちろんだが、コントローラー問題は実際如何ともし難い問題である。
ではこのHDMIのコントローラーが問題の原因かというとそうとも言い切れない。コントローラーは間違いなくHDMI2.0a規格に沿って作られている為、別に異常ではないのである。
となると、真の原因は何になるのか?
これはコントローラーを制御するプログラムに問題があると考えられる。
ハードウェアとしてのコントローラーは規格として定められているが、それを制御するプログラム側は、どうも抜けがあるのか、またソフトウェアの熟成度に問題があるのか、ところどころに甘いところがあるようで、この制御プログラムの問題で信号の発信側と受信側で上手く連携がとれないようなのである。
互いに相手が問題と…
PS4 Proを4K機器に接続した際、上手く4K+HDRで表示されないという事をSonyのサポートに連絡すると、時にTVのメーカーサポートに対応して欲しいと言われる。
しかし、TVのメーカーサポートに連絡すると、Sony側の問題だと言われ、Sonyに問合せするように言われる。
今、PS4 Proで問題になっているのは、まさにこの送信側と受信側のそれぞれのメーカーが相手側に対応を求めているところにある。
前述したXbox One Sは、Microsoft側が早々にファームウェアアップを行い、この問題をいち早く解決した(そうは言ってもまだ問題はあるかもしれない)ようだが、PS4 ProのSony側は問題はSony側にはない、と現時点では結論づけている節がある。
何故Sony側は頑なにそれを言えるのかというと、Microsoftとは違い、メーカーとしてTV等の機器を発売しているからだろう。つまり、自らがメーカーであり問題なく製品を出荷している以上、他社のTVメーカーの対応にこそ問題がある、と主張していると考えられる。
新しい事を何かしようとすると、必ずこのような問題が発生する。
メーカーとしては問題ない、と考えていても、それが業界全体で問題がないと言い切れるかどうかは、実の所ハッキリ言えないのではないかと私は思っている。
つまり、今のSonyは確かに自らのメーカーとしての責務は問題なく果たしているのだろうが、業界に属するメーカーとしての立場で消費者を捉えないといけないように思うのである。
この問題で誰が一番迷惑を被っているのか?
それは間違いなくユーザーである。
そうしたユーザーの視点でモノを見ていかないと、いくら今Microsoftに圧倒的に優位に立っていると言っても、何れ足下をすくわれる…Sonyにはぜひそのように考えて対応して戴きたいところである。
とりあえず、私の環境では4K+HDRはまだまだ先の話。
私がその領域に踏み込むまでにおそらくいろいろな問題が提起され、解決されていくだろう。
果報は寝て待て。真新しいものに即座に踏み入るのは、それなりのリスクを伴う行為だという事である。