Radeon RX 5700シリーズが遂に発売。
流通量は少ない?
7月7日に第3世代Ryzenと共に発売解禁となったRadeon RX 5700シリーズ。
秋葉原では結構な数の人が店頭に並ぶという、一種お祭りのような状態になったそうだが、Ryzenと異なり、Radeon RX 5700シリーズは結構流通量が少なかったという情報が出ている。
まだ歩留りがハッキリと分からないので、実際にどの程度の生産量なのかも分からないのだが、第3世代Ryzenの歩留りは85%にまで達してきているというから、残念ながらGPUはまだそこまでの歩留りには達していないのかも知れない。
どちらにしても、発売はされた。あとは供給が安定するのを待つという事になるわけだが、やはり気になるのはその性能である。
いろいろ事前の噂は出ていたが、そのほとんどがワットパフォーマンスでNVIDIAには程遠いというものであった。
今までのVegaアーキテクチャがあまりにも悪すぎた事もあって、それを引きずったような噂ばかりだったが、実際の所はどうなのか?
こちらもテクニカル系サイトでは7日の22時にはレビューが解禁になったため、その実態が明らかになっている。
Superで1ランク変更
このRadeon RX 5700シリーズが発売される5日程前、NVIDIAからGeForce RTX 2070Superと同2060Superが発表となった。
どちらも多少なり現行同カードを性能強化したもので、価格は据え置きという製品群である。
これは完全にRadeon RX 5700シリーズが発売になる際にNVIDIAが対抗策として打ち出した販売戦略であるが、その結果、AMDもRadeon RX 5700シリーズを30~50ドル程度値下げするという対抗措置を打ち出してきた。
この結果、当初RX 5700シリーズの対抗製品は2070系と言われていたのだが、価格が変わった事で2060系が直接のライバルという事になった。
なので、実際にはRadeon RX 5700XTとGeForce RTX 2060Superが直接対決する製品という事になったようである。
詳しい性能は各テクニカル系サイトのレビューを参考にして欲しいが、結果からいうと、まさに2060Superとほぼ同格の製品になった、と言える。
impress PC Watch
http://j.mp/2YGIQuk
ただ、残念なのは消費電力で、こちらは2070Superと大凡同格という結果である。
なので確かにワットパフォーマンスではまだNVIDIAに軍配が上がりそうな感じはあるのだが、以前のVegaアーキテクチャの時が惨敗だった事を考えると、かなりの改善が行われた結果であると言えそうである。
ただ、ここで一つ注意しなければならないのは、2060Superはレイトレーシングに関してハードウェア対応可能な製品だが、RX 5700シリーズはハードウェアとしてレイトレーシング機能はサポートしていない。
この違いは人によっては大きいかも知れないが、依然としてまだDXRをはじめとしたリアルタイムレイトレーシングは普及が進んでいないので、RX 5700シリーズは現行製品としては十分戦っていける製品ではないかと思う。
気になるNavi20製品
今回の結果で今後気になるのは、やはりハイエンド製品として展開していくであろうNavi20である。
今回のRX 5700系はNavi10と言われているが、今後廉価版としてNavi12やNavi14といったコードネームの製品が浮上してくると考えられる。
だが、それと同時にハイエンド向けのNavi20が控えていて、噂ではこちらにはリアルタイムレイトレーシング向けのハードウェアを実装させているのではないか、という話もある。
元々、AMDはハードウェアアーキテクチャの設計と共に追加機能の設計も同時に行っていて、いくつかの組合せができるように設計していると言われている。なので次期PlayStationや次期Xboxには、この比較的安価なNaviシリーズにレイトレーシング機能のハードウェアを組み合わせるのではないかとされている。なので、次期ハイエンド系のNavi20にはレイトレーシング機能を実装してくる可能性も十分考えられるわけである。
個人的にはまだレイトレーシングはいらないかな、と思っているが、純粋に気になるのはその演算性能とワットパフォーマンスである。
今回の結果で予測するなら、残念ながらワットパフォーマンスに関しては改良を重ねたとしてもNVIDIAと同格にする事がせいぜいなのではないかと思う。あとはドライバの熟成などを合せて、いかにアプリケーションレベルで最適化を図るか、というところで、ハイエンド性能の善し悪しが出てくるような気がする。
Vegaの時も似たような事を説明した記憶もあるが、今回は元となるNaviの素性はVegaよりずっと良いので、性能面では期待できるような気がする。
問題はNVIDIAの7nm世代
ただ、安心ばかりしてもいられない。
NVIDIAは未だ12nmプロセスでの製品展開しかしていない。同じ7nmプロセスで現行製品を作ってきたなら、この次点でワットパフォーマンスは惨敗する事になる。
プロセスがハーフノード進んだだけでも、その省電力性は確実に向上するし、同じ消費電力ならば動作クロックが上昇し性能が向上する。
最近は製造コストが下がるという事はまずなくなってしまい、逆に割高になるような感じもあるが、それでも省電力性と性能向上は起こる事は間違いない。
AMDは一足先に7nmプロセスへと進んだが、NVIDIAはおそらく来年の2020年に7nmへと製造プロセスを進める予定とされている。
であるならば、もしNVIDIAが7nmプロセスの製造を始めたなら、今のRadeon RX 5700系はそのワットパフォーマンスはまた差を付けられる事になり、もしNVIDIAが同じワットパフォーマンスを維持してきたなら、性能で差を付けられる事になる。
これは半導体という製品の避けられない仕組みの結果なので、AMDはさらなる改良の手を止める訳にはいかないだろう。
少しでも省電力に、高性能に向かっていかないと、また差が付いてしまう事は、もはや既定路線で予測された事である。
AMDはCPUでは見事な逆転劇を見せたが、残念ながらGPUではまだまだ不安要素を抱えていると言える。
とりあえず未来の話はおいておくとしても、現状ではようやくNVIDIAと並ぶ程度の製品には仕上げてきた感じがある。
Fluid Motionが新ドライバで消えたとかいう噂も出たりもしたが、どうもβドライバによる影響らしい事も噂として聞こえてきた。もちろん消える可能性もあるが、今の所はまだ機能面ではRadeon有利の状況に変化はないようである。
なので、Fluid MotionをアテにしてRadeonの性能に甘んじてきた人にとっては、今回の製品はまさに朗報と言えるのではないかと思う。
https://blog.angel-halo.com/2019/03/undervolting%E3%81%A7%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%8B/
以前、Radeonの低電圧化(undervolting)について書いてましたよね。
Radeonのサーマルスロットリング制御の拙さはRDNAでも変わらずなので、低電圧化を施すと性能が上がるという報告が挙がっているようです。
あと僕は2万円台のRDNAグラボ(Navi12, RX5600?)を待ち望んでいます。4万円以上となると、手が出せません…
返信
Radeon RX 5700シリーズにもサーマルスロットリング制御の問題があるのですか…。
熱を出しすぎて自らのオーバークロック制御に引っかかって性能を落とす…安定した個体で制御プログラムを作ってればこんな事は起きないと思うんだけど、ひょっとして個体差が激しいのかな?
どちらにしても、安定したコアでちゃんと制御プログラムを組み直さないとちゃんとした性能が出ないのかも知れませんね。
価格に関しては…最近は全体的に高額化しているので、何とかして欲しいですね。特に日本では米国価格よりずっと高い価格になってるので。
とりあえずNavi12以降を待つしかないですね。
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