2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響で、アイレムソフトウェアエンジニアリングが発売を予定していたPS3用「絶体絶命都市4」が発売中止となった。
あれから3年9ヶ月
東日本大震災によっていろんなものが自粛という名の下に見送られたが、その中でもゲーム業界で話題となったのが、内容がそのまんまとも言える「絶対絶命都市」シリーズであった。
「絶体絶命都市」シリーズは、実際に災害が起きた大都市の中で主人公が生き延びていき、脱出を計るという内容のゲームで、初代は2002年4月にPS2用タイトルとして発売された。
その4年後、続編が同じくPS2用タイトルとして発売され、そこからさらに3年後、PSP用タイトルとして3作目が発売された。
サバイバルゲームとしては良く出来た内容とも言え、生き延びるという事に焦点を当てたという意味で4作目が開発・発売中止になった事を惜しむ声も多かった。
一応、公式では東日本大震災がその原因だとは言ってはいないが、時期から考えてほぼ間違いないだろう、と言われていた。
その東日本大震災から3年9ヶ月後、石川県金沢市に拠点を置くグランゼーラという企業が、絶体絶命都市シリーズの版権を取得したと発表した。
この版権は旧作も含めての話であり、お蔵入りとなった4作目の開発も含まれている、と言われている。
旧作はPS2アーカイブス等で公開のようで、新作となる4作目についてはプラットフォームなどは一切明かされていない。元々PS3用として開発されていたもの、と言われていたが、この4作目がどのようなカタチになるのかの発表が2015年秋という事なので、ひょっとしたらプラットフォームをPS4にしようとしている可能性もある。
今後の動向が気になるところだ。
何故アイレムは?
一番気になるのは、アイレムがどうして絶体絶命都市4をお蔵入りさせたのか? というところだ。
当時、発売間近というわけでもなかったと思うが、それでも開発そのものを中止してしまったところが気になるところだ。
大方の見解では「東日本大震災の影響を考えての事だろう」という事になっているが、そもそも絶体絶命都市シリーズは、被災した際の知恵をゲーム上で疑似体験できるものであり、逆に被災した後の活きる知恵にもなる。それでも開発を中止したという事に疑問を感じる人は、当時も少なくなかった。
私ももちろんその一人だが、この理由を詳しく説明してくれる人は今の所まだ出ていない。
そして今回、グランゼーラがそのほとんど全ての版権を取得した、という所に一つの因果を感じるのは私だけではないかも知れない。
石川の名の下に
元々はナナオ(現EIZO)はその傘下にアイレムという会社を持っていた。ディスプレイを作る企業の傘下にゲーム会社という構造だったワケだが、1994年に一度ゲーム開発から撤退する、という状況となった。その際、アイレムは独立し1997年にはアイレムはダイエーが大株主となった事でその後アピエスと社名を変更した。
一方、EIZOはその後100%子会社としてアイレムソフトウェアエンジニアリングを設立し、旧アイレムのゲーム事業や版権等を取得した。
そのアイレムソフトウェアエンジニアリング(以下アイレムと表記)から、今度はグランゼーラという会社が絶体絶命都市シリーズの版権を取得したワケだが、アイレムとグランゼーラの共通点は、その拠点が石川県にある、という事である。
元々七尾に拠点を持つナナオから派生したアイレムがあり、そしてグランゼーラは野々市市で生まれ拠点とした。
自分が金沢市生まれだという事も多分に影響があるとは思うが、ここに因果を感じてしまうのは、むしろ当然とも言うべきである。
何がこの2社を繋いだのか?
私にはそれが気になって仕方が無い。
ひょっとして元アイレム関係の人がグランゼーラを立ち上げたのか?
そとれともグランゼーラの中の人が、アイレムのお蔵入りしたタイトルの復活を強く望んだのか?
ホントの所は分からないが、気になって仕方が無い。
まぁ…私が気にしたところで何がどうなるという話ではないのだが…。
埋もれてしまった遺産を復活させる事に意味はある。
まして、絶体絶命都市シリーズは災害に対する知識を得るには中々よい題材だと言える。
それをこのまま埋もれさせてしまうのは実にもったいない話であり、埋もれさせてしまった所と復活させようとしている所が同郷企業だという事の意味は、やはり因果…いや、運命を感じるというものである。