そういえばLarrabeeなんてのもありましたな…。
IntelのGPU戦略
先日、当BlogでもAMDのRadeon開発グループのトップであるRaja Koduri氏がIntelに移籍した話を書いたが、その時はKaby Lake-G関係の開発という形で話を進めたが、どうもそれだけに留まらない動きらしい話が浮上している。
その話というのが、Raja Koduri氏はIntelで新しいGPU開発部門である「Core and Visual Computing Group」を率いるという事で、今までIntelが弱点としていたGPU開発そのものを根底から高性能化する事を目論んでいるような話に発展している。
今やGPUはグラフィックス分野だけでなく、GPGPUという画像処理、動画処理、人工知能といった部分で活躍するコアである事を考えると、Intelがこの分野で先行しているNVIDIAと真っ向勝負する為にRaja Koduri氏の手腕に期待していることは火を見るより明らかである。
かつてIntelもLarrabeeという自社開発GPUを手がけた事があるが、その時には性能が伸び悩み、結局AMDやNVIDIAと戦えるだけの性能を得られなかった。その後、結局Larrabeeはお蔵入りという事になったのだが、Intelはここにきて自社GPUの開発を再開するつもりなのかもしれない。
AMDはどうなる?
ただ、この話はIntelにとっては悪い話ではないのかもしれないが、AMDにとってはどうだったのだろうか?
Kaby Lake-Gの存在そのものも、AMDにとっては両手を挙げて喜べる製品ではないと私は思うのだが、とりあえずRadeonというIPをIntelコアの出荷数確保できるという意味では利点はあるのかもしれない。
しかし、このKaby Lake-Gの存在でAMDのAPUは路線をあくまでもハイエンドではなく、ローエンドからミドルレンジまでの幅で展開するしかメリットがなくなってしまう。残念だが、現在のZenではシングルコア性能でIntelコアを超える事はできない関係から、この図式は簡単に成立してしまう。実際、Kaby Lake-Gはエンスージアスト向けである事を表明しているから、想定している市場はハイエンドである事は間違いない。
Finally we will have serious gaming ultrabooks! pic.twitter.com/f788pYRqjg
— Bits And Chips – Eng (@BitsAndChipsEng) November 9, 2017
このTwitter投稿は、まさにKaby Lake-Gを搭載した画像を投稿したものだが、この写真から見て取れる構成は決してローレンジのものではない。
また、Raja Koduri氏がいなくなる事で、AMDのGPU部門は今後どうなるのか? という問題もある。Intelと違い、確かなノウハウが社内にあるため、何も出来なくなるという事はないだろうが、今までのRadeonの路線は大きな転換期を迎える事になるかもしれない。
ただ、Raja Koduri氏は現在のハイエンド製品であるVegaの生みの親でもあり、そのVegaがNVIDIAコアに叶わなかったことから、人によっては「AMDは厄介払いができて、Intelは貧乏くじを引いた」なんていう事を言う人もいるが、ではRaja Koduri氏でなければNVIDIAと同等以上のコアを設計できるのか、という答えには直結しない。
NVIDIAのPascalは、現行世代においては最高の効率を生み出すコアだけに、これと真っ向勝負できるコアを作るという事がいかに難しいかを考えると、Raja Koduri氏を厄介払いしたという話は、とてもではないが考えにくい。
NVIDIAであっても…
実際、IntelにRaja Koduri氏が移籍した事そのものが私に直接影響を今すぐ与える事はないのだが、私がAMDを応援している理由はNVIDIAの独壇場となっているGPU市場に競争を発生させる意味もあるが、AMDのRadeonにしかない機能もあったりするからである。
個人的に、今回私がAMD製ビデオカードを選択しようと考えた最大の理由は、Fluid Motionという機能がAMD製ビデオカードでしか実現できないからだ。
同じような機能がNVIDIA製ビデオカードでも実現できたなら、GPUの性能効率から考えてGeForceを選ばない理由は何もない。
ではGeForceで動画再生フレーム補完機能は実現できないかというと…実はできないわけではない。但し、ソフトウェアによる補完になるので、AMDのFluid Motionとは勝手が違う。
「SmoothVideo Project(SVP)」というソフトウェアによるフレーム補完があるのだが、これだとGeForceでも実現可能になる。
SmoothVideo Project 公式サイト
https://www.svp-team.com/wiki/Main_Page
無料でも使えるが有料のPro版でも15ドルと比較的リーズナブル。
だが、基本的にCPUでフレーム補完する為、PCの性能をかなり消費するのが問題である。
また、ソフトウェアなので32bit版だったり64bit版だったりと、OSによってインストールするプログラムの違いがあるため、注意しなければならない事が多い。
実際、私もGeForceを選択してSVPをインストールという方法を考えなかったわけではないのだが、結論からしてハードウェア能力に大きく依存できないという事と、ソフトウェアであるという自由度があるかわりにインストールすべきプログラムが多く、それらが連動しないと機能しないという問題が混在している事から、動画再生フレーム補完という機能の為だけに管理すべきプムログラムが増える複雑さを持つ事にメリットを見いだせないという結論に至った。
このため、今回のメインPCではRadeon系を導入する事で、Fluid Motionによる動画再生フレーム補完機能を実現しようと考えたのだが、あまりにもGeForceとRadeon RX Vegaの消費電力性能差が見られる為、私自身にも迷いが出てしまっているのが問題である。
それでも今回はRadeon
ただ、いろいろ迷ってはいるが、現時点ではRadeon RX Vegaの導入は決定事項として考えている。
消費電力は上がるが、性能は今の私が必要としている性能に届いているし、ここにきてベンチマーク性能が劣っている事を問題視するつもりはない。
それよりも体験できる機能が増える方がより重要で、意味のあるものだと思っている。
なので今の段階ではRadeon RX Vega56にするか64にするかの迷いの方が大きい。
価格的に56の方が安いが、絶対性能では56は64の85%ほどの性能であり、電力では80Wぐらい56が低い。
また、電源に関しては若干性能を落とすことになるがPower Saveプロファイルを使う事でもっと改善できるし、またBalanceプロファイルでは程良い程度に性能と消費電力のバランスも取れるので、あとは使い方次第といったところである。
あとは…コストバランスか。
何はともあれ、メインPCの構成をコスト的に明確にしないと、最終的な判断ができない。
そういう意味でも、Radeon RX Vegaのベンダーオリジナルカードが早い所出てきて欲しいのだが…。
果たしてその情報はいつ出てきてくれる事だろうか?