4KとかHDRとか言われているが、主力はまだまだ。
1080p/60fps
私がキャプチャする際に使用している機材は、SKNETのMonsterX U3.0RというUSB3.0で接続するタイプのキャプチャユニットになる。
コイツはWindows7を使っていた時は途中で映像が途切れてしまったりしてイロイロと問題も多かったのだが、Windows10環境になった途端に安定し、今では遅延する事もなく1080p/60fpsでのキャプチャができるようになった。
これはコレで問題がなく使い勝手が良いのだが、そろそろ4K環境のキャプチャユニットというものが出回る頃かな、と思っていたら、60fps取り込みでは未だほとんどの製品の主力は2K、つまりフルHD環境の対応まで、というものばかりであった。30fpsでは確かに4Kという製品もあるのだが、そもそも再生環境として4Kという人もまだまだ少ないようで、この手の製品の主力は未だ2K製品に集中しているようである。
先日発売された、Drecapの新製品“DC-HC4FSPEC”も、1080pで60fpsの取り込みができるという製品で、インターフェースがPCI Express x1という所がMonsterX U3.0Rと異なる製品であった。
どちらかというと、電源供給の関係からPCI Express接続の製品の方が安定しそうな感じがあるので、今買うならDrecapのDC-HC4FSPECの方が良いように思うのだが、映像の転送速度の問題を考えると、完全にPCI Express 2.0(以下PCIe2.0と略)のx1スロットに接続する製品である事がわかる。
他と混在できないからOK
私がMonsterX U3.0Rを使用する時には、実はこの転送速度の問題でUSB3.0の増設カードを購入している。
しかも購入したカードは玄人志向の「USB3.0RX4-P4-PCIE」というx4カードで、よく見かけるx1カードは使わなかった。理由は単純で、MonsterX U3.0Rは転送速度として300MB/sという速度が必要で、事実上4Gbpsの転送速度というPCIe2.0のx1の理論値である5Gbpsに対して余裕がない状態だったからだ。だから私はPCIe2.0のx16スロットにx4のUSB3.0拡張カードを接続してそれにMonsterX U3.0Rを接続している。PCIe2.0のx4は理論値20Gbpsという帯域を持つため、これならば間違いなく遅延しないと言える環境を作ったのである。
DrecapのDC-HC4FSPECの場合、元々がPCI Express x1の拡張カードであるため、PCIe2.0のx1スロットへの接続の場合は、この時点で帯域幅はギリギリである。だが、USB3.0接続のように他機器と混在する事がないため、専用でその機能全ての帯域を利用できるので、問題にはならない。
USB3.0接続の場合、ついUSB接続なので他機器と混在してしまいがちになるが、DrecapのDC-HC4FSPECはそれが物理的に出来ない為、事故は起きようがない。だからキャプチャカードとしてはオススメなのである。
HDCP問題
キャプチャカードを扱う時、どうしても気にしてしまうのがこのHDCPである。
著作権保護機能であるため、当然外す事は法的に問題があるわけだが、コイツがあるおかげでPS3のHDMI映像のキャプチャができなかったりして昔はいろいろと苦労した。
PS4やXbox系は設定でHDCPをデバイス側で切る事ができるため、この問題は今や過去の問題と言えるが、その場合、PS4などでBlu-ray等を再生した時、映像を表示できなくなるという問題が起きる。ま、映像を観る時はHDCPをONにしてキャプチャを切り捨てるしかないワケだが、そもそもこのHDCP信号がスルーできてしまうと、Blu-ray再生時であっても、キャプチャできてしまい、切り替える必要はなくなる(ま、Blu-ray映像がキャプチャできてしまう事は法的に問題だが)。
DrecapのDC-HC4FSPECは、このHDCP問題にもちろん対応はしているのだが、基板上のピンを抜くとこのHDCPをスルーするようになっている。
これはHDCPが法的に義務付けられていない国で使用する場合や、そもそも著作権保護を必要とする対象物をキャプチャしないという人に向けて開放されている機能という位置付けで、別に法的に潜り抜けているから付いているという機能ではない。状況に応じて、HDCPに対応していけば良いだろう。
このHDCPは、HDMIスプリッタ(分配器)でもスルーさせてしまう(意図的でなければ“してしまう”と表現になるが)事ができるケースがある。
主に特定の中国製のHDMIスプリッタを使用すると、この状況になる事があり、本来働くべきHDCP信号が機能しなくなる。コノ手で煩わしい状況を回避している人もいるかもしれない。
また、私が使用するMonsterX U3.0Rは、以前にもこのBlogでも書いたが、初期ドライバでHDCPがスルーしてしまう問題があった。よって、現在も初期ドライバを使用するとスルーできてしまう。
ちなみにドライバはアップデートされればMonsterX U3.0Rの処理が安定するので、できるだけ新しい方がよいのは間違いないが、初期ドライバをWindows10上で使用していても、今の所遅延問題が起きたりする事はない。
キャプチャと録画
PCゲームをキャプチャして録画しつつ配信…これが一台のPCで全て完結できれば、一番スマートだとは思うが、実際フルHDの60fps映像を録画をしながら配信となると、結構1台のPCで全て完結させるのは難しい。
もちろん、できないとは言わない。PCがハイスペックであれば、それも可能ではあるが、そもそも昨今のPCゲームはハイクォリティになればなるほど処理は重く、またDrecapのDC-HC4FSPECやMonsterX U3.0Rで扱う映像データはソフトウェアでエンコードする為、エンコードする為の処理能力も必要になる。
となると、録画しつつ配信をしたい場合は、PCゲームを稼働させるPCと、録画及び配信を行うPCの最低でも2台体制が望ましい。
完全に良好な配信をしている人達は、ここまで機材を揃える事が多いらしいが、当然ここまでできる人は限られてくる。
なので私はPS4等の映像をPCでキャプチャして配信という手段を執っている。現時点で録画までしていないが、録画も問題なく可能である。この構成ならゲームをロードする機材とキャプチャ及び録画する機材が別なので、負荷分散される為、無理なく処理できる。
また、録画せずに配信だけ、という場合であればPC一台でも可能だろう。もっとも、その場合はPCそのものはそれなりの処理能力は必要になる。
私の環境であるIvy BridgeのCore i7-3770Kでは、フルHDであれば何とかいけるかもしれないが、最近は3440×1440の解像度でPCゲームをプレイしているので、そいつを配信するのは結構キツイかもしれない。
PCの世代交代
キャプチャ環境は前述した通り4K環境とかいいつつも、まだ主力は変わらないが、問題はどちらかというとPC本体そのものにあるかもしれない。
PCの世代が3世代ほど変わると、その処理性能は確実に50%以上離れる事になる。私がもつIvy Bridgeと現在最新のKaby Lakeでは、おそらく処理能力的には1.6~2倍程度になっているのではないかと予測できる。これはプロセッサの演算能力そのものにも違いがあるが、搭載している命令セットにも違いがあるからだ。AVX命令などの追加で、今世代のプロセッサは劇的に進化していると言える。
私がメインPCの刷新を考えている最大のポイントは、そうした部分であり、受け皿となるPCの処理能力を上げることで、できる事の幅を広げたいが故である。
今回、Ryzenに注目している私だが、そのRyzenのマルチメディア能力がどの程度なのか、実はそれが気になっていたりする。
AVX2.0の処理をさせると、Kaby Lakeに劣るという話も出ている為、迂闊にマルチコア性能だけを見て判断ができない。
Ryzenは一応命令セットをCPU-Z等で見るとAVX2.0には対応しているように表示されるのだが、プログラム側がRyzenを認識しないのか、Ryzenではこの方面の処理が特に苦手に見える。
私の杞憂であってくれれば良いのだが、4コアのKaby Lakeの方が私の求む機能としては優秀なんて事になれば、私のメインPC計画はまたしても変更を余儀なくされる。
RyzenがOSや各種アプリに最適化されるまでにどれぐらいの時間がかかるのかは予測できないが、今の勢いに乗じて、もっと広がって欲しいものである。