Intelの8コアはミドルレンジにはこない?
Core i9 9900K
IntelがAMDのRyzen対抗で8コア16スレッドのCPUを計画しているという話は随分と前から出ていた。
それがCoffee Lakeの次にくるCanon Lakeを飛び越えてIce Lakeに登場するのではないか? という話もあったが、思いのほかIntelの10nmプロセスの立ち上がりが遅れていて、結果いつ、どんな形で出てくるかも見えていなかったわけだが、どうもCoffee Lake Refreshという形で登場するという話が浮上し、残すところはそのスペックがどうなるのか? という話題が現在の中心になっている。
そんな中、中国系のとあるサイトでCoffee Lake Refreshのものとされるスペックが掲載されたようだ。
それによると、8コア16スレッドのCPUはCore i9-9900Kとされ、その下位になるCore i7-9700Kは8コア8スレッドと、Hyper-Threadingを無効化したモデルになるらしい事が見えてきた。
まず見るべきは8コア16スレッドのCPUはCore i7ではない、という事。つまり、一つ上のCore Xの仲間であるという事と、従来のミドルハイレンジにくるCore i7は8コアを搭載するもの論理コアは実装されないという事である。
この構成が事実だとすると、クロック周波数は別としても、既存品との性能差で妙な結果を生み出す可能性が見えてくる。
上位なのに伸び悩む?
おそらく、最上位のCore i9-9900Kは間違いなくミドルハイレンジでは最高の性能を示す事になるだろうが、問題はその下位にくるCore i7-9700Kである。
物理コアは8コアあるものの論理コアが存在しないため、同時処理スレッドが8スレッドになってしまう。これは既存のCore i7-8700Kや8086Kの6コア12スレッドと比較すると、確かに物理コアは2コア多い事になるが、同時処理スレッドは4スレッド少ない事になる。
なので、物理コア数で処理結果が決まるプログラムでは良好な結果は得られても、純粋に同時処理性能で結果が決まるプログラムだとCore i7-8700Kや8086Kの方が処理能力が高くなる可能性が出てくる。
これはCoffee Lake-Sが登場した時にもCore i5系で同じような話が出たのだが、マルチコア系処理は単純な性能比較が出来ないという現状を反映した話である。
今回の9000シリーズは、その話がハイエンド(Core Xではないが)にも及んできた、という事になる。
AMDのRyzenではこのような話はなかなか出てこないのだが、ここ最近のIntelでは性能的下克上となるCPUがいろいろ出てきているので、少しでも高性能なCPUが欲しいという人は、それなりの知識などを求められるようになっている…そんな気がしてならない。
価格は跳ね上がる?
Core i9-9900Xは前述したようにCore i7系より上位という位置付けの製品になってしまったので、おそらくCPUの価格はまたしても上昇するだろう可能性が見えてきた。
私の予測ではどんなに安くても5万円は超える価格になるだろうと想定している。これは記念価格とも言われているCore i7-8086Kを超える価格になるだろうという想定でもあるわけで、純粋にCore数が多く性能が上なのだから、という理由での価格設定と言える。
AMDのRyzen7 2700Xが3万円台後半である事を考えると、比較にならない価格ではあるが、おそらくIntelとしてはブランドとして価格を抑えてくる事はしないだろう。
これも、IPCでは依然としてIntelコアが優位という裏付けが、その価格設定を許しているところがあるのは言う迄も無い。
PCはCPUだけで性能を語ることができないので、やむを得ない部分かもしれない。
ただ、総じてハイエンドクラスはもうRyzen系の強さが際立ってきているので、Intelが圧倒的優位という事はない。
AMDはコアあたりの単価が異様に安いので、マルチコア処理ではコストパフォーマンスが段違いに良い。なのでハイエンドクラスの処理を安く実現したい場合は、あえてIntelのCore i9-9900Kを選択する意味はないかもしれない。
どっちにしても、Intelからまだ正式な話は何一つ出ていない。
おそらく今回の噂から大きくかけ離れたものにはならないとは思うが、正式な話が出てから、また考察する事になるだろう。